俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

麻薬犬

2013-07-05 11:00:05 | Weblog
 麻薬犬の存在は現代科学に対するアンチテーゼだ。現代科学が犬の嗅覚に及ばないことの証だ。
 考えてみれば奇妙な話だ。検出すべき物は特定の化学物質だ。こんな物は検査器を使えば簡単に検出できる筈だ。科学は単純な分析において最もその力を発揮できる。逆に単純化できない複雑な問題、例えば地球温暖化のような複合現象は複雑過ぎて手に負えない。麻薬検査は単純な分析であるにも関わらず、最新の技術を駆使しても犬の嗅覚に敵わないのだろう。ここに現代科学の限界を感じる。
 麻薬を検出する方法は色々あるのだろう。その中で一番精度が高いから麻薬犬という方法が選ばれたのだろう。ちゃんと比べた上で選ばれたのだからこれは「科学的方法」と言える。科学とは「検証可能」であることが絶対条件だ。検証不可能な主張なら科学ではなくオカルトだ。
 阪神大震災以降、地震の調査研究のために約3,600億円が投じられたそうだ。それにも関わらず、東日本大震災を初め、1度として予測が的中したことは無い。こんな役に立たない研究に巨費を投じることなどやめてナマズの研究でもしたらどうだろうかとさえ思う。麻薬犬に見られるように動物の能力が現代科学を凌駕することは決してあり得ない話ではない。

幸福の国

2013-07-05 10:34:58 | Weblog
 貧しければ不幸だ。より正確に言えば、貧しい人の大半は不幸だ。こんな主張は反発され易い。漫画や映画の「3丁目の夕日」のように昭和30年代の日本人は貧しかったが希望に充ちていた、と言いたがる人が多い。
 金銭的豊かさは十分条件ではないが必要条件だ。貧しければ充分な食事もできず栄養不良から健康を損なうこともあり得る。健康を損なえば不幸になる。
 ここでもまた異論があるだろう。健康でなくても幸福にはなれる、と。しかしその人が健康になれば多分もっと幸福になれるだろう。
 物質的満足よりも精神的満足をと主張する人は少なくない。彼らにとっての理想は「幸福の国」ブータン王国だろう。経済よりも幸福、GDPよりもGNHと唱える小国をマスコミは絶賛した。
 しかしどうやら化けの皮が剥がれつつあるようだ。ブータンからの亡命者は10万人を超えるらしい。総人口60万人の2割近い比率だから北朝鮮以上だ。美男・美女の国王・王妃に何となく好意を持っていた人にとっては知りたくない情報だろう。
 大体、国民の97%が幸福だと感じているという話は余りにも胡散臭い。どんな理想社会を構築できても97%を幸福にすることは不可能だ。もし可能な方法があるならそれは愚民政策だろう。
 アダムとイブは知恵の木の実を食べたためにエデンの園から追放された。この話は知恵は幸福の妨げとなるという寓意だろうか?
 特別養護老人ホームこそ地上の楽園かも知れない。その楽園の住民になるためには認知症に罹る必要がある。周囲からはどんなに惨めに見えようとも、彼らの主観においては最後のそして至上の楽園だろう。
 但し私はこんな楽園の住民になりたいとは思わない。