俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

一物全体食

2013-07-16 10:34:38 | Weblog
 動物を丸ごと食べれば生命のために必要な栄養素を残らず摂取できる。勿論、摂取できても吸収できるとは限らない。栄養素は吸収可能な形に分解されて初めて有効なのだから、コラーゲンを食べても体にコラーゲンが増える訳ではないし、脳を食べても脳の働きが活性化する訳でもない。
 最も身近な一物全体食は卵と小魚だろう。鶏卵は最も完全栄養食に近いと言われている。それなのに卵を1日に2個以上食べるとコレステロールが増えて有害だという迷惑な俗説は誰がどんな意図で流したのか理解できない。小魚も卵に負けない完全栄養食だろう。
 しかし魚は怖い。家畜や野菜なら産地を特定できるが魚は自由に泳ぎ回る。移動力の乏しい貝ならともかく、その魚が福島第一原発の傍に棲んでいなかったとは誰も保証できない。このことを声高に語ることは風評被害を招く恐れがあるとしてタブーにされているようだが、危ない物を好き好んで食べる必要は無い。それぐらいの自由は認められるべきだ。
 嫌な言い方だが国産の魚よりも輸入魚のほうが放射能で汚染されている可能性は低い。中でもシシャモ(カペリン)が良い。確実に輸入魚であり、大量の卵を持っている。これを丸ごと食べれば成体と卵とのダブルで一物全体食ができる。
 身土不二という言葉があるが残念ながら史上最大の海洋汚染は今なお続いており日本近海の魚は信用できない。安全で値段も安いシシャモが現時点では最も好ましい一物全体食ではないだろうか。

Yの悲劇

2013-07-16 10:09:39 | Weblog
 哺乳類はXXの遺伝子を持てばメスでXYならオスだ。ところが男性ホルモンに反応しないアンドロゲン不応という体質の場合、XYでありながらメスの体を持つ。
 動物の基本形態はメスだ。男性ホルモンを浴びたXYの胎児がオスの体に変わる。ところが男性ホルモンを受け付けない異常体質のXYはメスの体のままで成長する。
 遺伝子がXYの女性ならさぞかしいかついまるで男女のような姿を想像するだろう。たまにスポーツ選手に見られる筋骨隆々の「女らしくない」姿と考え勝ちだ。それは部分型アンドロゲン不応症と呼ばれる症状で性器などだけが男性化しない。オリンピックで失格になる選手がそれで、その一方、完全型アンドロゲン不応症の人は非常に美しい人が多いらしい。
 それはなぜか。女性も男性ホルモンを持っているからだ。女性は大量の女性ホルモンと少量の男性ホルモンの影響を受ける。ところが完全型アンドロゲン不応症のXYは全く男性ホルモンの影響を受けない。そのために本当の女性以上に女性らしくなると言われている。彼女らは豊かなバストとヒップを持ち体毛は少なく長身の人が多いらしい。ミスコンに出場する美女をイメージすれば良かろう。もしかしたら各国代表の美女の何人か、あるいはグランプリを獲得した人までもXYの女性かも知れない。初めて完全型アンドロゲン不応症のXYに出会った男性医師は大きなショックを受けて女性観が変わる人もいるそうだ。
 XYの女性は生殖力を持たない。外見は女性であっても遺伝子がXYだからだ。従って子孫を残すことは無い。
 ではなぜこんな特異な体質が淘汰されないのだろうか。アンドロゲン不応症の女性がいるからだ。彼女らは男性ホルモンを受け付けないから飛び切りの美女になる。この特性が女性に遺伝するなら生存競争において有利だ。ところがY遺伝子を持つ子供に受け継がれるととんでもない悲劇になる。