俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

漫画家の寿命

2013-10-17 09:29:40 | Weblog
 医師や元スポーツ選手(特に力士)の寿命が短いことは割とよく知られているが、漫画家が短命であることも顕著だ。私の特に好きな漫画家5人のうち3人が60代で亡くなっている。
 「漫画の神様」手塚治虫氏は62歳、「サイボーグ009」や「仮面ライダー」などの石ノ森章太郎氏は60歳、「鉄人28号」や「三国志」などの横山光輝氏は69歳で亡くなった。存命なのは「あしたのジョー」などのちばてつや氏と「エイトマン」などの桑田次郎氏だ。
 この2人については特殊な事情がある。ちば氏の場合、実弟でやはり漫画家だったちばあきお氏が41歳で自殺した。その後ちば氏は、印税収入もあるので無理な連載を避けているようだ。桑田氏は漫画家をやめて今では新興宗教の教祖だ。
 なぜ漫画家は短命なのだろうか。社会的地位が決して高くないのに影響力が大きいことが一因だろう。読者数は非常に多い。このアンバランスな境遇のために締切りに追われて無茶な生活を強いられる。ストレスを溜めて徹夜を続けていればどんな健康な人でも病気になるだろう。
 13日に亡くなったやなせたかし氏は94歳だった。やなせ氏の場合、所謂「売れっ子漫画家」とは違って執筆量は余り多くない。「アンパンマン」がヒットしたのは1980年頃で、その後もマイペースで仕事をできる環境だった。
 一方、多くの漫画家は、人気のあるうちにできるだけ多くの作品を描こうとする。これは必ずしも誤った戦略ではない。芸能界でもピンクレディの2人は、人気絶頂期には睡眠時間を2・3時間に削ってまで頑張ったからこそ、今ではあくせく働かなくても悠々自適の生活が可能だ。しかし幾ら人気商売でも健康を損なっては元も子も無い。日本が世界に誇れる偉大なサブカルチャーである漫画界の人材を守る方法は無いものだろうか。

禁止

2013-10-17 08:56:26 | Weblog
 昔から「遊泳禁止」というルールに不満を持っていた。今ではどうなっているのか知らないが20年前の沖縄本島のビーチには縄が張られており、その外に出れば監視員に注意された。離島に行けばそんな規則は無く、沖で自由に泳げた。
 外国にもそんな規則は無く、大半のビーチにはCaution(警告)の看板がありクラゲの大量発生やサメの出没などが告知されており、Guard Yourself(自己防衛せよ)と書かれていた。勿論これは遊泳禁止という意味ではない。
 内外のこの違いはなぜだろうか。海外では沖で自由に泳げるのに国内では「危ないから」と禁止される。小学生ではあるまいし。日本では自由が軽視されている。誰だって死にたくないのだから沖で泳ぐかどうかぐらい自分で判断できるだろう。
 監視員の制度も違う。海外にはLife Saver(救命員)がいるのに日本にはLife Guard(保安員)しかいない。このことだけでも姿勢の違いが現れている。海外では救命が仕事であるのに対して日本では禁止するだけ、つまり沖に行かせないことだけが仕事だ。
 もし日本にグランドキャニオンがあれば間違い無く「立入禁止」にされるだろう。何しろ年平均13人が事故死するという危険な場所だからだ。それでも多くの日本人観光客がわざわざ訪れている。
 危ないからという理由で「遊泳禁止」や「立入禁止」にする権利は認められるのだろうか。私は「自由」が優先すると考える。日本ではお上が民事に介入し過ぎている。余計なお節介ばかりをするから個人の危機管理意識が育たない。危機管理意識が低いから戦場へノコノコ出掛けて人質にされるという醜態を晒す者まで現れる始末だ。
 生肉食の禁止なども過剰介入だろう。国内で禁止されているから日本よりも衛生管理が悪い外国で生肉を食べて食中毒を起こす。こんな余計な干渉は国民のためではなく役人が面倒を避けるためだろう。禁止にしてしまえば厄介払いができるからだ。そのうち河豚料理も茸料理も禁止されるのではないかと私は危惧している。