俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

2014-04-06 10:00:21 | Weblog
 明治の初めに来日したドイツ人医師のベルツは「日本人は長州人と薩摩人によって構成されている」と記録した。長州人とは弥生系であり、薩摩人とは縄文系のことだ。日本人自身は余りにも身近で見過ぎているためにこの違いが分かりにくいが外国人にはよく分かるらしく似た話をしばしば聞く。
 縄文人は雑種民族だ。西・南・北からバラバラに集まった種族が日本列島に隔離されることによって縄文人になった。その後、紀元前4世紀頃から大陸あるいは半島から渡来する人が増えて、縄文人と混血して弥生人になったとされている。その流入ルートは主に北九州と山陰だが、政治・文化の中心地であった近畿に居住する人が少なくなかった。
 ブラッド・ピット氏は失顔症で顔の識別力が乏しいそうだが、彼が異常であると言うよりも人間が顔に極度に敏感であることのほうが不思議なことだ。どの顔も目が2つで鼻と口は1つ、みんな同じようなものだ。慣れ親しんでいるからこそ微妙な違いを識別できるのだろう。
 昔、西洋人は東洋人の顔を区別できないと言われた。皆、同じ顔に見えたそうだ。国際交流が盛んになった現代では昨年のミスコリア候補者以外なら見分けできるだろう。日本人は今でも黒人の見分けが苦手だ。流石にオバマ大統領なら分かるが、典型的ネグロイドを見分けることは苦手だ。
 結局、よく知っていれば区別できて見慣れていなければ区別できないということだろう。若い人には老人が同じように見え、中高年者の多くはAKB48のメンバーが区別できない。
 脳はかなり怠け者であり慣れ親しんだものが好きだ。同じ音楽を何度も聞けば好きになるように、見慣れた顔を好むようだ。「美人は3日で飽きるがブスは3日で慣れる」と言うが慣れることは飽きることにも繋がる。ハーフを特に美しいと感じるのは親近性と新奇性のバランスが絶妙だからだろう。

資産税

2014-04-06 09:25:50 | Weblog
 消費税が実は資産税であることに気付いた。現金資産に対する課税だ。
 現役時代はそう感じなかった。収入があったからだ。消費税率が上がってもその後に収入があるので余り痛みを感じなかった。ところが引退すれば虎の子の現金資産が目減りすることが分かった。
 老後のために1000万円貯えたとする。消費税が無ければ1000万円をそのまま使える。ところが消費税率が10%であれば909万円しか使えず91万円は税金として取り上げられる。消費増税によって現金資産が目減りするということだ。
 消費税は逆進性ばかりが問題にされるが現金資産が目減りするということには誰も注目しない。殆んど金利の無い預金にしていれば財産が劣化してしまう。
 現金資産が目減りするからと言って現物資産に投資しても困ったことを招く。投資の本命は消費税の対象外の土地だろう。人口減少社会においては人は都市に集まり地方は過疎化するから都心の地価は上昇して地方では下落する。当然、投資は都心に集中する。老人の資産が都心の土地に投資されて地価が上がっても有効活用されることは少なかろう。資産にすることが目標なのだから塩漬けにして値上がりを待つ。そんな状況では都心で働く人のための土地供給が不足するから土地が更に値上がりして、都心で働く人が近郊ではなく遠隔地に居住することを強いられるようになるだろう。通勤時間が長くなって働くためには不便になる。投資が労働条件を悪化させる。
 もっと困る消費税対策は、消費税の無い国に移住することだ。物価が安くて消費税の無い国に行けば国内より数倍贅沢な暮らしが可能だろう。しかしこれは資産の流出であって国内産業にとって好ましいことではない。それどころか1000兆円と言われる老人の資産が海外に流出してしまえば国家財政が破綻してしまいかねない。