俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

救助責任

2014-04-23 09:50:24 | Weblog
 地震などで生き埋めが発生した場合、救助は最初の72時間が最も重要だと言われている。72時間を過ぎると生存率が極端に下がるそうだ。海難事故のタイムリミットが何時間なのか知らないが、多分もっと短いだろう。
 韓国ではセウォル号の船長ら15人の操船担当者が、救助活動を怠った上で全員救助されたとして徹底的に糾弾されている。幾らヘソ曲がりの私でも彼らを弁護する気にはなれないが、もっと悪い奴らがいるのではないだろうか。
 危機に直面した当事者の職務怠慢だけではなく、危機に直面していなかった関係者の職務怠慢も同様に問われるべきだろう。次のような状況を想定して欲しい。
 ある家庭で出火があった。速やかに通報したこともあり小規模な火災で鎮火した。ところが消防隊が引き上げた後の深夜に消し損ねていた火種から燃え広がり未曾有の大火災になった。
 こんな場合、最大の問題点はどこにあるだろうか。当初失火した人以上に鎮火し切らなかった消防士の責任が重大だろう。災害において最も重要なのは初期対応だ。
 セウォル号の船長達は加害者であるのと同時に被害者でもある。生命の危機に瀕して気が動転していたことも事実だろう。こんな時は周囲の人がしっかり対応せねばならない。つまり政府や海洋警察や海軍海難救助隊が最善の対応をしたかどうかが問われるべきだろう。
 日本の海上保安庁に支援要請をしなかったのは反日が原因かと思っていたが、何と在韓米軍の支援まで断っていたことが明らかになった。被害がこれほどまでに拡大した最大の原因は政府の認識の甘さと初期対応の不手際だろう。
 朴クネ大統領が指摘するとおり「船長らの行為は殺人にも等しい」悪事だ。しかしもし「海猿」などを擁して世界最高レベルの海難救助能力を持つ日本などに支援要請をしていれば、全員とは言わないが10人か20人ぐらいなら救助できていたのではないだろうか。最後まで生き延びていたであろう数人は政府の不手際のせいで死なされたと言っても過言ではなかろう。この不手際に対する反省は全く見受けられず、只管、船長らを罵り続けている。
 船長達は言わば人身御供だ。船長や運航会社の悪事を政府が次々に暴き立てて、韓国や日本のマスコミは大喜びしてそれを報じているが、これは彼らを極悪人に仕立て上げることによって責任追及を逃れようとする陽動作戦だろう。初期対応が適切でさえあれば少なくともこんな大惨事にはなっていなかっただろう。すぐに責任転嫁をしたがることは韓国人の最も悪しき性癖だと思うが、ここまで悪質になると流石に呆れ果ててしまって私の表現能力の限界を超えてしまう。