俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

第三新卒

2014-06-16 10:05:06 | Weblog
 和民やすき家などで求人難による閉店が発生しているそうだ。これが少子化が招いた問題であるなら解決策は当然、高齢化に求めるべきだろう。つまり学生アルバイトの代わりに高齢者を雇えば良い。
 内閣府が13日に発表した調査によると、60歳以降も働きたいと考えている人が81.8%を占めているそうだ。しかし勤労意欲のある人が充分に活用されているとは思えない。既に人生から半分降りた私なら今更フルタイムで働きたいとは思わないが、外国人労働者の輸入より先に、勤労意欲のある高齢者の完全雇用を実現すべきではないだろうか。彼らが働かない最大の理由は、人を馬鹿にしたような最低賃金以下の仕事しか斡旋されないからだ。
 児童福祉法があるので子供の雇用は制限されるが高齢者の雇用に関する規制は無い。認知症や病弱者でなければ労働力、それも上質の労働力だ。新卒者とは違って充分な社会内訓練を受けており、修羅場を経験した人も少なくなかろう。中には、新卒であれば到底雇えないような高度な能力を備えた人もいるだろう。こんな人を低賃金で雇えるのだから第三新卒は宝の山とさえ思える。
 高齢者を一括りにして考えるべきではない。高齢者の格差はどの世代よりも大きい。極端な言い方をすれば勝ち組と負け組に二分できる。現役時代にそれなりの地位を得てストックがありフロー(年金)も充分な人と、ストックもフローも乏しい人だ。勤労意欲が高いのは後者であり、前者は職よりもむしろ名誉を求める。
 企業が主に狙うのは後者だ。アルバイト並みの賃金で高齢者を雇えば双方にメリットがある。高齢者としてもシルバー人材センターやボランティア紛いの仕事よりもずっと高賃金だ。
 私には竹馬の友とも言える、小学校から高校までずっと同じ学校に通い良き競争相手でもあった友人がいる。彼は50代半ばで病院勤めを辞め、今ではフリーの医師として働いている。健康を害しかねない過酷な勤務医を辞めたことによって余裕を持って暮らしている。これが勝ち組の理想的な老後ではないだろうか。金銭的に余裕があればフルタイムで働く必要など無い。専門知識を生かせるコンサルタントやアドバイザーとして短時間働くことが彼らには最も相応しかろう。

嘘と事実

2014-06-16 09:32:10 | Weblog
 人は都合の良い嘘を信じる。事実よりも願望が優先する。宗教はその典型だ。霊魂の不滅とか天国とかいった願望に過ぎない嘘を信じる。死後は無だという事実よりも死後に報われるという嘘のほうが心地良いからだ。
 社会に流布する嘘の多くは人の欲望に付け込んだものだ。たらふく食べてダラダラ暮らし、それでも美しく痩せたいと考える人は○○ダイエット法といった明らかに嘘と分かる手法にのめり込む。それが高価であればあるほど有難がって無駄遣いを重ねる。
 肉食は殺生でありそのことに後ろめたさを感じている人は「肉食は健康に悪い」という怪しげな情報を信じて他人にまでそれを強制しようとする。倫理と健康は全く無関係なのに倫理に基づいて事実を歪めようとする。彼らは草食も殺生であるという事実は無視する。都合の悪い事実からは目を背ける。
 色白を美しいと信じる人は紫外線の有害性しか見ず有益性を無視する。日本人よりも紫外線に弱い白人でさえ日光浴をするのに彼らは紫外線を放射線のように忌み嫌う。そんな人が子供をビタミンD欠乏症のくる病にしてしまう。
 エネルギーの浪費を憂える人はCO2による地球温暖化を根拠にしてエネルギーの使用削減を訴える。こんな理論武装は有害だ。エネルギーの使用を抑制すべきだと考えるなら事実に基づいて主張すべきだ。省エネは国策でもあるから怪しげな情報であっても批判し辛い空気が生まれておりマスコミもこれに便乗している。こんなオカルトに頼るのは「嘘をついたら閻魔大王に舌を抜かれる」と嘘をついて子供を仕付けるようなものだ。
 贔屓チームが勝てば嬉しいから公正な判断ができない。アウトかセーフか、あるいはゴールかノーゴールかはあくまで事実に基づいて判定されるべきであって好き嫌いに基づくべきではない。
 個人の価値観とは全く独立して事実は存在する。価値観に基づいて事実が歪められることは人間の困った欠点ではあるが、どれだけ事実を直視できるかということだけで彼の徳のレベルが露呈する。