俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

規制

2014-06-23 10:03:01 | Weblog
 有益な規制もあるが、中国や韓国の例からも分かるように、多くの規制が国益・省益や政治家個人の利益のために悪用されている。
 8月から煙草を理由にしてコンビニの出店規制が強化される。現在は1箇月に25,000本以上売る店の半径100m以内での新規出店が規制されているが、これを「15,000本以上」に改めると言う。
 煙草1本が20円とすれば月商30万円ほどだ。粗利益率が15%であれば月収4.5万円に過ぎない零細店を守るためにコンビニの出店を規制する必要などあるのだろうか。これはコンビニの出店を規制することだけが目的と思える。
 零細煙草店は品揃えが悪いし商品も古い。埃を被った煙草を平気で売るほどサービスの悪い店もある。こんな店を守る必要など無く、競争を通じて淘汰されるべき店だろう。
 この規制は煙草を隠れ蓑として使っている所が狡猾だ。批判があっても「有害な煙草に対する規制だ」と言い逃れができる。日本では反煙草ヒステリーが蔓延しており、煙草の規制であればまるでオウム真理教の信者に対する処罰のようにどんな理不尽なものであろうとも許容されている。
 コンビニが煙草を扱わなければ良いと考える人は小売店の実態を知らない。煙草はコンビニの売上高の2~3割を占めるドル箱商品だ。冷蔵も不要で商品の改廃も少なく継続購入による集客も見込める煙草を扱わなければコンビニの経営は成り立たない。これは煙草規制に名を借りたコンビニ規制だ。
 小型店であるコンビニを規制することは難しかった。大店法などによる規制対象外だからこそコンビニは50,000店を超えるまでに増えた。煙草規制を口実にしてコンビニを支配することが財務省の狙いだ。役人は本当に狡賢い。この知恵と権力をもっと有効に使えないものだろうか。

勉強

2014-06-23 09:32:25 | Weblog
 語学は最も効率の悪い勉強ではないだろうか。科学であれ歴史であれ1時間も勉強すればそれなりに知識が得られる。ところが語学の入門書を1時間読んでも何の知識も得られない。最低でも数百時間勉強せねば使い物にならない。
 医学・薬学・栄養学はなぜか学校では殆んど教えられないが、非常に役に立つ。テレビ・新聞・雑誌などがこれらをしばしば採り上げることからも分かるように、国民の関心も高い。医療系の教育の不備がオカルト医療を招いているとも思える。少しでも時間があればこれらを真っ先に勉強すべきだろう。勉強すれば、巷に嘘が溢れ返っていることに驚愕することだろう。
 知識が有用性によって評価されることは少ない。知識のための知識のほうが高尚だという極論もあるが、役に立つ知識こそ必要だ。例えば気象学を学べば天気予報に対する理解が深まって告知される情報以上の細かい予測が可能になる。
 役に立たない知識の代表は哲学だろう。こんなものを学んでも理屈っぽくなるだけで何の役にも立たない。しかし哲学を専攻した者の一人として少なくとも2つのメリットを挙げたい。
 1つは悩みの解消だ。私は子供の頃に宇宙の果てや時間の始まりを考えてノイローゼ気味になったことがある。これにはカントが答えてくれた。「経験という有限の世界の知識しか持ち得ない人間は無限について考えることなどできない」ということを「純粋理性批判」の二律背反を通じて明かしてくれた。理性の限界を知ることによって理性の暴走が食い止められた。
 もう1つは考える力が付くということだ。「哲学を学ぶことはできないが哲学することを学ぶことならできる」とよく言われる。これは決して言い訳ではなく、スポーツと同じということだ。幾ら教えられても運動能力は向上しない。自ら運動して初めて向上するのと同じように考えることによってのみ思考力は磨かれる。要するに自分でしっかりと考えるということであり、考えるために必要な技術が身に付くというメリットがある。