俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

薬物

2014-07-05 10:18:07 | Weblog
 脱法ハーブや麻薬や覚醒剤の危険性が騒がれているが、一層危険なのは薬(ドラッグ)だ。特に抗精神病薬は危険だ。日本人が薬を怖がらないことは実に奇妙なことであり理解に苦しむ。
 薬はなぜ効くのか、異常を正常に戻すからではない。薬の効能とは人体に異常反応を起こさせることだけだ。薬によって起こる異常反応によって運が良ければ正常に戻る。運が悪ければ一層異常になる。敵の敵は必ずしも味方ではないし、裏の裏が表になるとは限らない。
 軽度の欝状態の人が抗鬱剤を飲めば気分が軽くなる。最もよく使われる抗鬱剤のSSRIは「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」という名称のとおり、脳内のセロトニンが吸収されることを妨害する。SSRIの効果は吸収されることの妨害だけでありセロトニンを増やす薬ではない。本来吸収されるべきセロトニンを吸収させないだけだ。セロトニンを吸収させないことによってどんな障害が生じているかはよく分かってはいない。所詮一時凌ぎにすぎず、長期的に服用すれば依存症=薬物中毒になる。呆れた話だが、SSRIの最大の副作用は欝状態の悪化だと言われている。
 三大成人病(生活習慣病)の「治療薬」はどれも脳に悪影響を与える。6月30日に起こった難波での暴走事件は糖尿病薬による低血糖が疑われているが、降圧剤なども思考力を低下させる。
 細い血管で充分な血液を流すためには血圧を高めて血流を早める必要がある。老化などによって血管が狭くなれば血圧を上げなければ充分な血液が脳に届かなくなる。老人の高血圧の多くは、風邪による発熱と同様、人体による適応反応だ。脳に血液を届けるために高められた血圧を薬によって下げればどんな結果になるかは素人でも分かる。
 こんな殺人紛いの行為が罷り通っているのは専門医制度のせいだ。心臓病の医師は心疾患を免れることしか考えず、その薬が原因で認知症を患うことになろうとも関知しない。それは担当外のことだ。医療は部分ではなく全体を診るべきだろう。総合医療という視点が急務だろう。

人治国家

2014-07-05 09:44:43 | Weblog
 中国は憲法35条で「言論・出版・集会・結社・行進・示威の自由」を認めている。誰もが知っているとおりこの憲法は守られていない。憲法よりも共産党の決定が上位にあるからだ。小平氏が権力を握っていた時代には奇妙なスローガンがあった。何と「共産党員も憲法を守ろう」だ。つまり共産党員は憲法を守っていなかったし今も守っていないということだ。
 私はイギリスの大憲章や権利の章典を高く評価する。これらが国王の権力を制限するルールだからだ。たとえ最高権力者であろうとも法に従わねばならない。それが法治国家だ。それ故、安倍政権による憲法曲解と歪曲に基づく憲法の空文化・死文化を糾弾する。権力者が憲法を守らなければ日本は中国と同じ人治国家に堕する。公明党との「新3要件」など絵に描いた餅だ。憲法を踏みにじるのだからこんな約束事などいつでも無視できる。こんなものが全く無意味であることは余りにも明々白々だ。
 集団的自衛権によって国民が危険に晒されるかどうかなど些細な問題だ。最大の問題点は、権力者が法を蹂躙しても構わないかどうかだ。権力者を縛るルールが無くなれば権力に歯止めが利かなくなって暴走を防げない。今回の閣議決定による憲法解釈の見直しは、憲法よりも権力者が上という前例を作る暴挙だ。
 私は決して法律万能主義者ではない。法律とは最低限のルールだ。実際の社会は法律よりも遥かに厳しいマナーやモラルに基づいている。しかし法律さえ守られないのであればマナーやモラルなど論外だ。
 法律や契約は相手を拘束するだけではなく自らをも拘束するという両面性を持つ。権力者が超法規的立場に立てば社会は時の権力者の意のままになる。安倍首相は憲法を超越する「神の地位」を手に入れた。
 最近、東京都議を含めて地方議員や首長の愚行が目立っている。それと比例するかのように国会議員も劣化しているようだ。政治家は聖人ではないのだから法に背くこともあるだろうが、せめて憲法ぐらいは守って貰いたいものだ。平気で憲法を蹂躙する政治家が作る法律に正当性はあるのだろうか。
 憲法を守るよりも国民の安全を守ることのほうが重要だという主張もあるが、憲法すら守れない国に秩序などあり得ない。憲法が守られない国で法律が守られる筈が無い。たとえ誤ったルールであってもそれを改めるためには正規の手続きを踏むべきだろう。