俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

冷蔵庫

2014-07-17 10:02:48 | Weblog
 未だ梅雨明けしていないが蒸し暑い日が続いている。冷蔵庫のドアを開ければ冷気を感じて涼しい。では開けっ放しにすればどうなるだろうか?室温が上がる。冷蔵庫は庫の外側で発熱することによって冷気を作っている。燃焼が典型だが、エネルギーは総てプラスでありマイナスエネルギーは存在しない。だからエアコンは室外を温めることによって室内を冷やしている。室内の熱を室外に放出しているように錯覚しそうだが、実際には室外を温めることによって冷気を作っている。トータルでは加熱になるのだからヒートアイランド現象の一因ともなっている。
 泳いでいる時に顔を上げれば体は下がる。体が下がれば抵抗が大きくなるのでスピードが落ちる。クロールなら体を回して呼吸をするので余り上下動をしないが平泳ぎであれば上下動になる。ストローク数の少ない北島康介選手がストローク数の多い選手よりも早いのは上下動が少ないからだ。ピッチを上げることがスピードアップに繋がらないのだから平泳ぎは難しい。
 旅客機事故のショッキングな映像が印象に残っている。その旅客機は滑走路ギリギリの高さで海上を飛んでいた。このままでは危ないと判断したのだろうか、その旅客機は空港島の直前で機首を上げた。その瞬間、機体の後部が下がった。下がった後部が岸壁に激突した。
 機首を上げるのが数秒早ければこんな事故にはならなかっただろう。機首を上げれば機体は上昇する。しかし機首を上げた瞬間には機体後部が下がるということに対する理解が不十分だったのか旅客機の長さを過小評価していたのかは分からないが、もし機首を上げなければギリギリで着陸できていたように思えた。「上げる」と「浮かぶ」の違いを実感させられる事故だった。

皮膚癌

2014-07-17 09:34:14 | Weblog
 紫外線を浴びると皮膚癌になるという馬鹿げた情報は一体誰が発信源なのだろうか。日本人の皮膚癌は極めて少ない。国立がん研究センターの「部位別がん死亡率(2012年)」に依ると10万人当たりでの癌死亡者数は男性が378人(0.378%)で女性が255人(0.255%)だ。その内、皮膚癌はそれぞれ1.2人(12人ではない)と1.3人に過ぎない。白人と比べて黄色人種の皮膚癌が少ないことは知っていたが実数を知って改めてその少なさに驚く。
 勿論、このごく少ない皮膚癌の患者は必ずしも紫外線だけが原因ではなかろう。他の癌と同様、複合的な要因によって発症したと考えられる。
 私は多分、日本人平均の数百倍の紫外線を浴び続けている。ここ数年は行っていないが以前は春と秋にはフィリピンに旅行して真っ黒になって帰って来たものだ。しばしば「皮膚癌になる」と脅されたものだが脅した人は皮膚癌が日本人にとっては奇病にも等しいことを知らない。
 日本人女性に、日焼けと汚れを同一視させ、更に皮膚癌の恐怖を植え付けたのは多分化粧品会社であり、その片棒を担いだのはマスコミだ。彼らのプロパガンダによって日焼け止めや美白化粧品が売れただけではなくUVカットの雑貨の市場も拡大した。
 その一方で美白化粧品の薬害による「斑肌」の患者が大勢生まれ、日光浴不足が招くビタミンD欠乏症のくる病の患者も増えている。皮膚癌発症率の高い白人が日光浴の必要性を知っているのに日本人はその必要性を全く知らないし知らせようともしない。稀な病気を針小棒大に騒ぎ立ててその結果として病人を作るなど犯罪にも等しいことだ。
 色白こそ美しいと信じている人の偏見を改めさせる必要など無い。それは個人の趣味の問題だし、どうせ聞く耳も持たない。必要なのは正しい医学知識だ。紫外線と皮膚癌の因果性は不確実だが、カネボウの美白化粧品と斑肌や紫外線不足とくる病の因果性は確実だ。紫外線は怖いと騒ぐばかりではなくその必要性も伝えるべきだろう。