俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

リスクとリターン

2014-07-18 10:07:07 | Weblog
 リスクとリターンはリンクしている。ローリスクであればローリターンであり、ハイリスクであればハイリターンだ。ハイリスク・ローリターンであればすぐに淘汰され、ローリスク・ハイリターンなものが可能であれば模倣されて類似品だらけになる。その結果、どれも同程度にローリスク・ローリターンになってしまう。
 原発や超高層ビルのようなハイリスクな物を作るのはそれがハイリターンだからだ。ローリターンであれば誰もそんなものを作らない。ハイリスクであることだけを根拠にしてこれらを否定する人はハイリターンであることを半ば意図的に無視している。
 狂気としか思えないのはノーリスクを求める人だ。ノーリスクであれば当然ノーリターンであるのに、あろうことか彼らはハイリターンを求める。そんなものはあり得ないのだから、結局、彼らは詐欺師の餌食にならざるを得ない。つまりノーリスク・ハイリターンを求めてハイリスク・ノーリターンを得ることになる。インチキダイエット法もその一例だ。
 進学であれ就職であれ結婚であれ、どれもリスクを伴う。リスクを回避した人がリターンを得ることは無い。
 食品添加物を毛嫌いする人は、なぜそれがわざわざ使われているのかを考える必要がある。保存料であれば食中毒というリスクを軽減するからだ。保存料というリスクと食中毒というリスクを秤に掛けて初めてそれの評価が可能になる。私は保存料というリスクは食中毒防止というリターンに充分に見合うと思う。その一方で、着色料については充分にリターンがあるとは思えない。これによってリターンを得るのは食品メーカーだけであり消費者ではない。
 「薬はリスク」そのものだ。薬とは毒物であって、毒を以って毒を制すということが服薬の本質だ。だから治療効果の無い対症療法薬は、我慢可能な限り使わないほうが良い。例えば頭痛薬を飲めば頭痛が緩和されるがこれは治療効果ではなくただ単に感じなくなっているだけだ。症状はそのまま続いている。傷口に対する痛み止めと同等の効果しか持ち得ない。傷口には治療が必要なように二日酔い以外の頭痛であれば真因に対処する必要がある。
 

雑食

2014-07-18 09:36:18 | Weblog
 人類は毒に強いから増殖したのではないだろうか。人類は最も雑食だ。こんなに何でも消化吸収できる動物は他にいない。ユーカリしか食べないコアラや竹しか食べないパンダが絶滅を危惧されているが人類は増え続けている。雑食という生存戦略は強力だ。
 猫や犬は人類の友として肉食から雑食に変わった。「♪お魚くわえたドラ猫追っかけて♪」という主題歌があるように、日本人はサザエさんの影響もあり、猫を魚好きの動物と思っている。しかし猫は水を怖がるので本来、魚を食べない。世界で唯一の例外はイリオモテヤマネコであり浅瀬で魚を獲る。特殊な環境の元で特殊な習性を身に付けたのだろう。
 家畜の食物は人類が操作すれば大きく変化する。草食動物の筈の牛を穀物によって育てたりビールを飲ませたりして脂身の多い肉質に変えることもあるし、かつてはBSE(狂牛病)の原因となった肉骨粉(牛の脳と内臓と骨)まで食べさせていた。それでも大半の家畜やペットはタマネギなどを食べることはできない。薬の動物実験が可能なのは彼らのほうが毒物に敏感だからだ。
 人類の消化器官は異常と思えるほど丈夫で獣も鳥も魚も虫も植物も菌類(キノコなど)もことごとく食べ、更にはミドリムシのような原生動物まで食用にする。今では殆んど無いがかつては人肉まで食べていた。
 人類は最強の雑食動物でありこの特性が思わぬ所で役立つ。酢は人類にとって有益かつ無害だがオニヒトデにとっては猛毒らしい。サンゴを食い荒らすオニヒトデの駆除のために酢が使われている。オニヒトデに酢を少量注射すればすぐに死んでしまうそうだ。死んだオニヒトデは生態系の中で分解されるので環境を悪化させることも無い。ほんの僅か海水が酸っぱくなるかも知れないが、人類は勿論、他の動植物にも殆んど無害だ。もし人類にとって酢が有害であればこんな駆除策は使えないところだ。