俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

狂気

2014-07-22 10:30:44 | Weblog
 二日酔いの時は気力も知力も低下する。思考力が低下していると分かっているから深く考えることを半ば諦める。酔っている時は思考力の低下を感じる能力まで低下しているから、くだらないことを色々考える。
 鬱病の人は自分の精神状態が異常だと自覚することが多い。その一方で統合失調症の人は自分が狂っているという病識さえ持っていないから余計に危険だ。
 オウム真理教は狂っていることを自覚しない狂人が支配していたから最も危険な組織になった。現実離れを超現実と思い誤ったのだろう。
 多くの戦争も狂気の対立だ。特に宗教絡みの戦争においてはお互いに相手を邪教徒だと信じている。パレスティナ自治区であれイラクの内戦であれ、相手を邪教徒と信じているから始末に負えない。一神教徒は邪教徒を人間とさえ認めない。これはキリスト教徒の例だが、魔女裁判や南北アメリカでの虐殺において殆んどの約束は反故にされたそうだ。約束は人間間でのみ有効であり、魔女や邪教徒は人間ではないという理屈だ。
 マレーシア航空機撃墜事件は、今のところ証拠は充分ではないが、ウクライナ東部の親ロシア派がやった可能性が極めて高い。それは軍の輸送機と旅客機との区別さえできないド素人がミサイルを発射したと考えられるからだ。ウクライナ軍であれロシア軍であれ、そんなド素人にはミサイルの発射を任せない。組織化・専門化の不充分な烏合の衆の犯行と考えてほぼ間違い無かろう。
 多分プーチン大統領も親ロシア派による犯行と知っているのだろう。だからロシアの主張は格段に歯切れが悪い。直接原因には触れず、間接原因に過ぎないウクライナ政府の責任を問おうとする。都合の悪い直接原因があるからだろう。
 必ずしもロシアの意向に沿わない烏合の衆である親ロシア派であろうとも見捨てる訳には行かないからロシアの立場が一番難しい。私はトカゲの尻尾切りがベストだと考える。あくまで一部の兵士のミスと認めて謝罪することが唯一の解決策だろう。嘘に嘘を重ねていれば問題は拗れるだけだ。
 キチガイに刃物と言うが、烏合の衆が地対空ミサイルを持ったからとんでもないことになってしまった。テロリストや烏合の衆のゲリラが核ミサイルを持てばどういう恐ろしいことになることやら。

脳の構造

2014-07-22 09:41:10 | Weblog
 脳は多重構造を持つ。人類独自の脳は皮質だけでありそれ以外は他の動物と共通だ。最新のソフトをインストールした旧式のパソコンのようなものだ。だから人類は人間であると同時に動物でもある。
 生きるだけであれば人類固有の脳など必要無い。皮質よりも中央部の損傷のほうがダメージは大きい。それは動物としての機能を失うからだ。皮質部分を剥ぎ取ってしまっても猿か犬のように生きることは可能だろう。但し猿や犬よりも身体能力が劣るから野生生活は困難であり家畜かペットとしてしか生きられまい。
 脳の構造において動物の脳が基幹を占めるように精神活動の基幹も動物的反応だ。先に動物としての脳が反応してしまう。危険と判定してしまえば理性は働かずにパニックに陥る。戦場での残虐行為においても理性は関与しない。
 理性を正しく使うことは難しい。論理化・言語化できない深い知恵があるからだ。言語化できるのは既に共有されている知識だけだ。未だ共有化されていない知恵は言葉にできない。
 例えば自転車とか煙草のようなものでも、それを見たことの無い人に言葉だけで説明することは殆んど不可能だろう。未だ共有されていない理念を言葉によって伝達することはこれより遥かに難しい。
 近年、土居健郎氏の「甘え」の理論が西洋でも注目されているらしい。日本人にとっては古典的名著の「甘えの構造」が出版されたのは昭和46年だから数十年掛かってようやく西洋語には無い「甘え」という理念が東西で共有できるようになったということだろう。
 明らかに異なる2つの能力が「直観」と呼ばれて混同されている。一方は動物的な反応であり快・不快や損得が基準になっている。これは「直感」と表記すべきであり論理以前のレベルだ。
 もう1つはまだ言語化されていない理念であり、言わば超論理だ。多くの場合それは比喩によってしか伝えられない。論理によってではなく芸術としてのみ伝達可能なものだ。例えば「実存」という言葉はそれが共有されるまでは曖昧で空虚な理念に過ぎなかった。共有されていない理念は言葉にできないし意味も持たない。これが論理による伝達の致命的弱点だ。このレベルにおいては芸術に頼らざるを得ない。