俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

消防隊

2014-08-05 10:17:02 | Weblog
 火事が起これば消防隊が来る。火事が無ければ消防隊は来ない。火事と消防隊には因果関係がある。しかし消防隊の妨害をしても火事は減らない。
 この寓話が甚く気に入っている。対症療法に依存した現代医学の問題点を説明するのに非常に便利だからだ。
 機械であれば異常の発生した場所かその接続元に問題がある。飛行機のバッテリーが燃えたら、バッテリーか電気系統のどちらかが原因だろう。
 動物は機械ほどに単純ではない。自動修復機能とも言える免疫力・自然治癒力が備わっているからだ。免疫力・自然治癒力の活動は異常の発生を示すサインではあるが病状ではない。
 一番分かり易い例は下痢だ。有害物を食べた動物は下痢をする。これは有害物を一刻も早く対外に排泄するための防御反応だ。堺市での病原性大腸菌O-157による集団食中毒であれ和歌山の砒素カレー事件であれ、患者は激しい下痢をした。下痢を病気と考えた医師によって下痢止めが処方された患者の死亡率はどちらの事件でも非常に高かった。
 年齢と共に血圧が上がることも人体の優れたメカニズムだ。歳を取れば血管が固く細くなる。その状態で脳に充分な血流を供給するためには血圧を上げる必要がある。こんな高齢者の血圧を降圧剤によって下げてしまえばしばしば痴呆状態に陥る。
 風邪の発熱も病状ではなく自然治癒力の発動だ。体温が上がれば熱に弱い病原体の活動が抑えられ、同時に免疫機能が活性化する。解熱剤で熱を下げればウィルスを二重に利することになる。
 関節の損傷と炎症も同じようなものだと考える。炎症を起こすことによって血流が増え代謝機能が活性化する。アイシングで炎症を抑えてしまえば自然治癒力が働きにくくなる。
 これまでにバラバラに書いて来たことが消防隊の寓話で1つにまとまった。対症療法に偏重した現代医学は病状と免疫反応とを区別できていない。原因を問うこと無く症状の軽減だけしか考えて来なかったからしばしば免疫力・自然治癒力を攻撃している。まるでゲリラと政府軍が闘っている最前線にミサイルをブチ込んで敵も味方も殲滅させるような愚劣な行為が医療の名の元で行われている。正しく原因に対処する必要がある。

腫れ(続々・炎症)

2014-08-05 09:42:33 | Weblog
 「炎症」「続・炎症」と続けて記事を書いたきっかけは私自身の足の腫れだ。左足の第一指(俗に言う「親指」)を捻挫したのに、足首から先の足全体が腫れてスリッパもツッカケも履けなくなった。これは奇妙なことだ。損傷は第一指なのになぜ足全体が腫れるのかと不思議に思った。
 これは幸運なことだった。もし打撲傷であれば広い範囲が腫れても不思議ではない。関節以外も傷んでいる可能性がある。ところが第一指の捻挫で足全体が腫れたことによってこれが全く別の意味を持つからではないかと思った。
 すぐに思い浮かんだのは風邪をひいた時の抗ウィルス反応だ。発熱は病状と誤解され勝ちだが実は免疫機能を高め、同時にウィルスの働きを抑えるという大切な自然治癒反応だ。腫れも同じような効能を持つのではないかと思った。
 ネットで調べてみると一部の医師がアイシングの危険性を訴えていた。しかしアイシングが炎症を予防するという事実によって彼らの主張は殆んど無視されていた。このことで一挙に全体が繋がった。損傷部の治癒のために炎症が起こっているのであれば炎症を起こさせないことは損傷を温存することになる。自然治癒のプロセスは次のとおりだと思う。①損傷→②炎症と痛み→③血流の増加による代謝機能の活性化および損傷部の保護→④治癒。医師は炎症を起こさないことをエビデンス(根拠)として冷やすことを奨励するが、これは全くの短絡だ。本来、治すべき対象は関節部の損傷であり、それを治癒するための炎症を症状と思い込んで抑え込んでしまう。これでは損傷は治癒されない。
 その時まず犯罪と警察の関係を考えた。犯罪があれば警察が現れる。犯罪と警察には因果関係があるが、警察の妨害をしても犯罪抑止力とはならない。記事にする時にはもっと分かり易くするために火事と消防隊という寓話に変えた。
 炎症とは、温め、血流を増やし、代謝機能を高めるという3つの反応によって損傷部を治癒する働きだと思う。炎症を抑えることは消防隊の妨害をすることに等しい。だから肘を悪化させて手術が必要になる投手が続出するのだろう。
 アイシングは、運動中の給水禁止以来の最大級の誤謬であり、このために多くの優れたアスリートが選手生命を断たれたのではないだろうか。これは素人による仮説に過ぎないがもしこれが証明されたらスポーツ界は大騒動になるだろう。