俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

機械と人間

2014-08-07 10:11:26 | Weblog
 身近に機械が溢れているせいか、人間を含めた動物をまるで機械のように思っている人が多い。飼っていたカブト虫が死んだ時に「電池を替えて」と言う子供がいるそうだ。子供だけではなく大人まで、医学・生理学においては人間を機械と混同している人が大半だ。メインテナンスについて2つの大きな間違いを冒している。1つは自然治癒力に対する無理解であり、もう1つはエネルギー論だ。
 自然治癒力に関しては最近かなりしつこく書いているので余り詳しく書かないが、もし自動修復機能を持った機械があればトラブル時にどう動くかを想像して欲しい。本来の機能を停止して修復作業に取り掛かるだろう。このメカニズムを知らない人であれば機械が狂って異常行動を起こしたと誤解して、この「異常行動」を停止させるために手を尽くすだろう。こんなことを避けるために自動修復機能を備えた機械には必ずパソコンのように「修復中」と表示するだろうが、人体には「修復中」と表示する機能が備わっていない。だから人体の「異常行動」に対して対症療法を行ってしまう。自然治癒力の妨害をすることは治療ではなく自傷行為だ。
 もう1つはエネルギー論を模倣したカロリー論だ。機械であれば動くためにのみエネルギーが使われる。必要なエネルギー量は動く量とほぼ比例する。動物はそうではない。摂取する栄養の大半が体のメインテナンスに使われ、動くために使われるものなどほんの一部に過ぎない。こんな事情を無視してエネルギー論を模倣したカロリー論を使うから栄養学は砂上の楼閣になった。事実から懸け離れた机上の空論に堕した。必要なのは蛋白質と脂質とビタミンとミネラルだ。エネルギー源にしかならない炭水化物など殆んど必要無い。
 人類は多分元々は肉食動物だったと思う。それはセルロースを分解する能力を持っていないからだ。総ての草食動物は微生物と共生して、微生物の力を借りてセルロースを消化吸収する。セルロースを分解できない人類が草食動物であったとは考えにくい。身体能力が高くない人類の祖先は多分、小動物や屍肉を漁っていたのだろう。

取り消し

2014-08-07 09:42:26 | Weblog
 一昨日(5日)、朝日新聞が突然「従軍慰安婦の強制連行」の記事の誤りを認め一部を取り消した。初出以来32年、虚言癖のある吉田某の死去から14年も経ってからようやく誤報と認めた。
 これまで散々捏造を非難していた私が今度は取り消しを非難する訳には行かないが、どんな状況の変化があったのだろうか。昨年6月7日の「記者有論」では「文書の不在は、そのまま事実の不在を意味しない」とまで開き直った強弁をして強制連行の存在を主張していた朝日新聞に一体何が起こったのだろうか。
 これは「ご免」で済む話ではない。心優しき日本人なら許すだろうが、朝日新聞の記事を信じて世界中に従軍慰安婦問題を発信してしまった韓国の立場はどうなるのだろうか。今頃になって梯子を外されたら堪ったものではない。
 案の定、6日の朝鮮日報日本語版には「?」と思う記事が掲載された。5日の朝日新聞の記事について「朝日新聞が誤報を認めた」ではなく「朝日新聞が安倍首相に反撃」という何とも奇妙な見出しを付けた記事を掲載した。韓国側としてはそういうことにせざるを得ないのだろう。
 不良品を販売した企業はそれを回収しそれによって生じた被害を償う義務を負う。朝日新聞社に回収をさせようとは思わないが、間違った記事によって損傷を負った脳を修復する義務がある。どう責任を取るかは朝日新聞社が決めることだが、少なくともたった2回の誤報釈明記事で責任を全うしたとは思えない。
 これまでに多くの企業犯罪があったが、朝日新聞ほど長く非を認めなかった企業は無い。足尾銅山であれミドリ十字による薬害エイズ事件であれチッソによる水俣病であれ、解決までには時間が掛かったが当事者はかなり早くから非を認めていた。
 朝日新聞の犯罪は80~90年代の誤報ではなく、その後の会社ぐるみでの隠蔽工作にある。誤報はエラーだ、誰でもやることだ。しかし32年間に亘って強弁を繰り返し詭弁の限りを尽くしたこと、このことこそ捏造として咎められるべき企業犯罪だ。組織ぐるみで嘘に嘘を重ねたことは個人による犯行ではなく組織犯罪だ。報道機関として絶対に許されないことだ。
 孔子曰く(「論語」より)「過ちて改めざる 是を過ちと謂う」「過ちては則ち改たむるに憚ること勿れ」
 日韓関係の悪化の火種を作った朝日新聞だが、マッチポンプから本当の火消に生まれ変わってくれることをほんの僅かだが期待したい。