俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

閏秒

2015-07-04 10:15:19 | Weblog
 7月1日の午前9時の直前に閏秒が挿入された。そのため7月1日は86,401秒になった。しかしこんな修正は必要だろうか。
 閏秒が必要なのは、元々一日が86,400秒より少しだけ長かったことと地球の自転周期が一定ではないことが原因だ。ここ数十年はほぼ毎年数ミリ秒長い状態が続いている。だからズレが1秒になった時点で閏秒を入れて、セシウム原子の周波数に基づく原子時計の時刻を天体時刻に合わせている。
 1972年以来26回、閏秒が挿入された。つまり43年間で26秒修正されたということだ。次は2022年に実施される予定らしい。
 学者とは愚にも付かぬことをやりたがるものだとつくづく思う。彼らは閏秒を導入しなければ昼夜逆転が起こると言う。つまり原子時計の時刻と天体時刻のズレが12時間になると言う。しかしこの43年間ずっと修正しなければどんな支障があっただろうか。ズレはたった26秒だ。日の出や日の入りの時刻が26秒ズレたところで困る人など誰もいない。それよりも頻繁に標準時刻を修正する弊害のほうが大きい。
 コンピュータなどの時刻を修正するために多分、日本だけでも数百億円掛かっているだろう。今回は余り無かったようだがシステムトラブルも起こり得る。殆んど無いメリットのために被るデメリットが大き過ぎる。
 私は100年に一度の修正で充分だと考える。現在のペースであれば100年で1分近いズレになるからその時にまとめて修正すれば良かろう。
 たまたま同じ7月1日に一部の企業や官公庁で日本式のサマータイムが実施された。1秒や1分どころか1時間繰り上げるのがサマータイムだ。夜明けが早い夏場の時刻を繰り上げて、涼しい朝に始業してまだ明るい内に終業することによってエネルギーの節約が期待できる。
 サマータイムとして標準時刻を繰り上げている国は少なくない。日本でも米軍占領下の1948年から1951年までの4年間導入されたが、成果よりも混乱のほうが大きかったようでその後は実施されていない。
 一斉に時刻を変更することは煩わしい。基準値は余りいじらないほうが良かろう。メートル法は北極点から子午線の長さの千万分の一として定められたが、たとえこれが不正確であっても今更修正すべきとは思わない。為替は今では変動相場制だが、かつて固定相場制の頃は為替の変動リスクに備える必要など無かった。もし店頭の商品の価格が刻一刻変動すればレジに並んでいる内に価格が変わって面倒この上無い。
 時刻をいじるよりも、国家公務員の一部が始めた「ゆう活(ゆうやけ時間活動推進)」のように勤務時間のほうを繰り上げたほうが良かろう。時刻のような生活の基準値をいじって混乱を招くべきではない。基準の変更はストレスを増加させる。

自由診療

2015-07-04 09:31:36 | Weblog
 医療費は病気や怪我の治療のために使われるべきであり、安楽化のために使われるべきではない。もし風邪に使われる解熱剤や鎮痛剤が薬であるなら、意気消沈した人が飲む酒も薬だろう。両者を薬として認めるか、どちらも薬として認めないかのどちらかが選ばれるべきだと思う。
 全く治療効果の無い「医療」に多くの医療費が使われている。これを改めるだけで医療費は半減するし、病院の待ち時間も激減する。そして何よりも、国民の健康が増進する。
 風邪を治療する薬は未だ発明されていない。だから欧米では不快軽減薬に過ぎない風邪薬は保険の対象外だ。日本でも同様に対処すべきではないだろうか。
 マスコミが総力を挙げて喧伝しているせいで日本人は薬信仰に陥っている。病気は薬で治ると信じ込んでいる。この邪教を打倒すべきだろう。
 私は風邪薬を禁止すべきとは主張しない。それを欲しがる人がいる以上、ポルノや煙草やパチンコなどと同様、たとえそれが有害であっても、特定の思想に基づいて禁じる権利は無いと考える。あくまで保険の対象外にして自己負担にすれば済むことだ。
 風邪の患者に対して医師は、風邪症候群と診断した上で安静を勧めるべきだ。薬は処方しない。もし患者が薬を求めるならそれは医療ではなく自由診療だ。歯のインプラント治療などと同様、健康保険の対象外であり全額、自己負担とすべきものだ。
 診察は保険の対象だから診察費は一部負担になる。しかし風邪薬は本来必要でないものの処方だから全額自己負担になるのは当然のことだろう。
 有害であっても解熱剤や鎮痛剤を欲しがる患者は少なからずいる。それは彼らの無知に基づく欲求だ。医師はこんな患者を一人一人説得していられない。風邪薬を受け取る権利があると思い込んでいる人と議論しても虚しいだけだ。だから風邪薬を保険の対象外にして患者に全額を負担させれば彼らも少しは考えるようになるだろう。風邪薬とは一時の快適感(=不快感の軽減)を提供する有害な薬物に過ぎない。
 誤った常識があるから無効で有害な薬物を欲しがる人がいる。これは麻薬や覚醒剤を欲しがる人と変わらない。しかし現時点で風邪薬は禁止薬物ではないから要求する権利は認められる。但し治療効果が無いことが証明されている風邪薬を保険の対象にする必要性は全く無い。一時の快適感しかもたらさず治療効果の無い薬は、癌などの末期医療以外では薬とは認められない。自由診療と位置付けるべきだ。