俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

白黒テレビ

2015-07-08 10:26:46 | Weblog
 マスコミは「正義の味方」気取りで企業や官公庁などの不祥事を暴く。暴いてはいけないなどと言う気は無いがイエス・キリストを真似て「罪の無い者はこの女に石を投げよ」(「ヨハネによる福音書」より)と言いたくなる。少なくとも、咎める相手よりも誠実であることを期待したい。
 一昨年11月の魔女狩りは酷かった。「鮮魚」や「ステーキ」や「鮭」などについて勝手な定義をしてその基準に合わない飲食店を総て「虚偽表示」として断罪した。これは言論による暴力だった。今から考えれば大半が言い掛かりだったが謝罪したマスコミは殆んど皆無だ。散々吊し上げておいてあとは知らん顔をする。
 断罪された飲食店よりも遥かに多くの捏造をマスコミは繰り返している。ダイオキシンや環境ホルモンなどの記事は未だ訂正されていない。殆んどのマスコミが騒ぎ立てたのだからどの企業にも責任は無いと考えているのだろうか。正に「みんなで渡れば怖くない」を実践している。その一方で、危険性が危惧されているアクリルアミドやトランス脂肪酸については一部の新聞しか報じていない。どこかが騒いでから追随して責任を回避しようとしているのだろうか。それとも裏で良からぬ申し合わせでもしているのだろうか。
 速報性が要求される事件での誤報はある程度許容される。犠牲者数を多少多く報じても許されよう。しかし長期間報道していたことをいきなりひっくり返す手法は迷惑だ。従軍慰安婦の強制連行だけではない。コレステロール摂取量はグレーの間は「黒」と言い続けていたのに突然「白」と言い始める。傷口を消毒しないことが普通になったのはいつからだろうか。済崩しでそうなったように思えるがそれまでの報道を訂正する記事を見た覚えが無い。黒から白に変わるまでに「グレーではないか」と疑いを挟むべきだろう。特にテレビの報道は極端に白黒が転じる。これでは「報導」であり、グレーを欠いた「白黒テレビ」だ。
 マスコミが「情報を鵜呑みにするな」と主張することは恥知らずの極みだ。誤った情報がしばしば発信されるから読者・視聴者が識別すべきとは厚かましいにも程がある。もし飲食店が「産地が違ったり品質が劣った材料が混入することは避けられない」と言おうものならマスコミは吊し上げにするだろう。己のことは棚に上げて。
 私は和歌山砒素カレー事件の林眞須美死刑囚は冤罪だと思っている。判決文を精読したつもりだが物的証拠が不充分だ。6月6日に弁護団が再審請求をしたがこのことは余り報じられなかった。名張毒ぶどう酒事件の奥西勝死刑囚の再審請求なら毎回大きく報じられるのに林死刑囚の再審請求が余り報じられないのはこれが松本サリン事件での河野義行氏と同様、マスコミが作り出した冤罪だからではないだろうか?

ゴネ得

2015-07-08 09:42:27 | Weblog
 ゴネ得をしようとする人は少なくない。理不尽な要求をする人々に我々は義憤を覚える。
 ギリシャの要求は正にそれだろう。どんな事情があっても「♪貸した金かえせよ♪」は基本ルールだ。借りた側の開き直りによる借金棒引きはたとえそれが民意に基づくものであろうとも許容されない。国民投票による借金踏倒し要求は世界史に残る珍事であり碌な結果を招かないだろう。
 中国による南沙(スプラトリー)諸島占領は、軍事力を背景にしたゴネ得狙いだ。大体、国内法に過ぎない「領海法」に基づいて領有を正当化することなどできる筈が無い。
 私は元々嫌韓ではなかったが朴クネ大統領就任以来、すっかり韓国嫌いになってしまった。日韓の補償問題は1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」筈だ。それを際限無く蒸し返すことは「多少理不尽であろうとも要求したほうが得」とする国民性の表れであり、民族の恥晒しだ。
 ゴネ得を狙う日本人も少なくない。支払能力がありながら給食費を納めない43人に対して埼玉県北本市の中学校が「未納が3か月続いたら7月から給食の提供を停止する」と通知したところ全員が納付または納付の意思を示したそうだ。ペナルティが無いとゴネ得を狙う輩が現れる。
 全国の未納者の中には「上の子は納めずに済んだのになぜ下の子の給食費を払わねばならないのか」と抗議する親もいるそうだ。同様に、払わない同級生がいることを根拠にして支払わない親もいるだろう。ゴネ得を放置すればますます付け上がらせることになる。
 日本では未納をモラルの問題と捕え勝ちだが、自業自得になる年金の未納とは違って、無銭飲食は犯罪でありルールの問題だ。罰則があって当然だろう。
 仮にギリシャがゴネ得をすればイタリアやスペインまでゴネ得を狙いかねない。だからEU側としてはこれまで以上に頑なになるとさえ考えられる。EU諸国が財政援助をしてもその金は公共交通機関や高速道路の無料化などのバラ撒き政策に使われ、財政再建は見通しさえ立たない状態だ。自国民の財産がギリシャのポピュリズム政策に浪費され続けることをEU諸国は許さないだろう。どう決着するのか分からないが、ヨーロッパ人が日本人ほどお人好しでないことは確実だ。