俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

着色料

2015-07-23 10:21:56 | Weblog
 私は、合成保存料はあっても良い、それどころか、あったほうが良いと考えている。保存料の危険性と食中毒の可能性を秤に掛けて考えれば、保存料は食品の安全性を高めていると言えるだろう。それだけではない。保存可能期間が長くなることによって価格が下がり家庭での長期保存も可能になるのだから経済合理性もある。保存料を使わない食品は使い勝手が悪い。店から持ち帰るためには保冷剤が必要であり、その日の内に食べ切らねばならない。
 逆に全く必要性を感じないのは着色料だ。多分、大した毒性が無いから広く使われているのだろうが、タラコをより紅く、沢庵をより黄色く見せることなど必要だろうか。これは消費者を欺くための添加物に過ぎない。新鮮で高品質であるように見せるために使われているのだから品質偽装とさえ言えるだろう。他社が使っているから競争上、使わざるを得ないのであれば、業界で申し合わせて自粛すれば済むことだ。
 確かに食物には見た目の良さも必要だ。例えばフィリピンの料理は見た目が悪く美味しそうには見えない。たとえ味は良くてもこれでは駄目だ。その点、和食やフランス料理は見た目にまで配慮されている。それでも着色料に頼るべきではなかろう。
 薬がカラフルなのも着色料を使っているからだ。これは個々の薬を識別し易くするために様々な色に染められているのだが、こんなことが必要だろうか。余りにも綺麗だから子供がお菓子と間違えて食べてしまうのではないだろうか。薬が裸で出回ることは無いのだから容器やパッケージで区別できれば充分だろう。
 市販の薬は様々な劇物がブレンドされている。特に総合感冒薬は訳が分からない。解熱剤、咳止め、鼻炎緩和剤etc.etc.。これらに加えてそれぞれの副作用抑止剤が混ぜ合わせられている。これに更に着色料が加わる。これほど様々な化合物が同時に摂取されたらどんな化学反応が起こるか、どんなアレルギー反応が起こるかなど誰にも分からない。危険性の高い薬物を更に危険にする必要は無かろう。どうせ毒性が高いのだから多少高まっても構わないとは誰も考えないだろう。毒だからこそ少しでも毒性を下げるべく最大限努力すべきだろう。

多数者

2015-07-23 09:48:34 | Weblog
 鳥取・島根・高知・徳島から選出された自民党の参議院議員などが大反対する中、自民党は合区を含めた10増10減案を正式に決定した。しかしこの案での最大格差は2.97倍であり、これでは選挙後に違憲とされる恐れがある。合区を認めるなら格差が1.95倍に収まる民主・公明の12増12減案のほうが優れている。自分の選挙区が無くなる議員は激しく抵抗して造反劇もありそうな気配だが、議席増となる地域の声は殆んど聞こえない。これはメリットとデメリットが非対称だからだ。
 議席増になる地域の議員にも当選し易くなるというメリットがある。しかし最も多くの利益を得るのは議席増によって新たに当選する議員だ。しかし彼らの声は声にならない。現時点では議員ではないからだ。彼らは未来の議員であり現在においては存在しない議員だ。
 既得権益を持つ人はそれを失うまいとする。しかしそれと関係の無い人はそんな権益があることさえ知らない。だから権益のある人の声ばかりが大きくなる。
 100年後に大災害を招く施設であれば災害を蒙るのは次々世代の人々だ。現在の世代にとってはメリットだけがあってデメリットは無い。だからそんな施設が現在の世代の多数決に基づいて作られる。施設だけではなく制度もそうだ。借金のツケを次世代に回せば被害者は次世代であって現世代ではない。だから税金は徐々に重くなる。消費税は未来永劫増税され続けるだろう。次世代もまたその次の世代にツケを回そうとするだろうから、こんなことをしていたら生活は苦しくなる一方だ。
 親の借金であれば相続を放棄すれば免れることができるが、国の借金は無条件に継承される。こんな不公正なやり方が認められるべきではない。
 民主主義が「最大多数の最大幸福」を目指すなら、未来の人々を含めた最大多数を考慮すべきだと私は常々考えている。だから私は多数決に反対する。現在の多数者は未来も含めた多数者ではない。それどころか圧倒的多数者となる筈の未来の人々を犠牲にしても構わないと考える刹那的民主主義者が多数を占める。
 戦後の日本は公害を垂れ流していた。それを否定できたのは当時の人々が被害者になっていたからだ。四日市喘息などの公害病が現実になっていたからだ。もし被害が現実化していなければ今の中国と同様に対策を先送りしていただろう。100年後の人々が蒙る害については今尚充分に考慮されていない。私は未来の人々まで含めた多数決があるべきだと考える。