俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

サトゥルヌス

2015-07-14 10:21:10 | Weblog
 「我が子を食うサトゥルヌス」という絵画がある。「裸のマハ」や「着衣のマハ」などで有名なゴヤの作品だ。薄気味悪い作品だが私は妙に気に入っていて、学生時代はこのポスターを部屋に貼っていた。
 ローマ神話のサトゥルヌスはギリシャ神話のクロノスに当りゼウスの父だ。クロノスはクロックの語源となっているように「時の神」でもある。時の神が我が子を食うことが現実になりつつある。
 高齢者が若年層を食い物にしている。以前であれば老人は子孫を頼りにした。多少不自由であろうとも我慢して「老いては子に従う」ことは決して女性だけのルールではなかった。ところが現代の老人は若者から搾取することを当然の権利と考えている。我儘のし放題であり、未納や滞納があっても「年金が少ない」と制度に責任転嫁をする。自業自得という意識を欠いた我儘老人による社会破壊を放置すべきではなかろう。
 「理想は現実的であるべきだ」と私は常々考えている。非現実的・空想的な理想は狂人の妄想に等しい。例えば高福祉・低負担はあり得ない。高福祉を望むなら高負担が付随するし、低負担を望むなら低福祉になる。現在の70歳以上の高齢者は超低負担だった。甘やかされ過ぎた老人が特権を要求している。これが呪うべきシルバー民主主義だ。
 ギリシャが追加支援を求めている。しかし追い貸しを受けるためには返済力を証明する必要がある。放漫財政の末に借金まみれになったギリシャに対する追加支援など可能だろうか。8兆円も貸し出して、あろうことか債権の一部放棄まで求められているドイツ人の怒りは当然だ。返済の確約か担保でも無ければ踏み倒されかねない追い貸しなどできない。これは他山の石ではない。約581億円のサムライ債の第一回返済期限が14日に迫っている。これが返済されなければ日本人もドイツ人の怒りを少しは理解できるだろう。
 日本の老人の厚かましさはギリシャ人に似ている。無制限な高齢者優遇を要求する。優遇の裏には若年層に対する冷遇があることを理解しようとしない。ドイツを始めとするEU諸国は身勝手なギリシャに食われ、日本社会は身勝手な老人に食われている。日本人の寿命が長くなり過ぎたことが不幸の根源なのだろうか?

鼻薬

2015-07-14 09:43:27 | Weblog
 ここ数日、急に暑くなったために各地で熱中症の被害が発生している。マスコミは水分補給やエアコンの使用などを訴えているが、マスコミが報じない意外な危険物がある。それは風邪薬だ。
 風邪をひけば体温が上がる。解熱剤は体温を下げるのだから熱中症を防ぐ効果がありそうなものだが、総合感冒薬には様々な対症療法薬が含まれており、鼻炎を抑える成分が熱中症の原因になる。まるで言い掛かりのような理屈と思われるかも知れないが、鼻炎薬がどんなメカニズムで鼻水を抑えるのかを理解すれば納得できると思う。鼻水が止まるのは鼻に直接働くからではなく、全身の水分を体外に放出されにくくするからだ。水分放出の妨害が鼻炎薬の効能だ。水分が放出されにくくなれば発汗も抑えられる。だから発汗による体温調整が充分に機能しなくなり体温上昇が止まらなくなるから熱中症に罹るということだ。
 薬の危険性を啓蒙している奇妙な薬剤師の宇多川久美子氏は熱中症の患者にこう尋ねるそうだ。「このところ、風邪薬を飲んでいませんでしたか?」(「薬が病気をつくる」より)
 汗が蒸発する時に気化熱を奪うのだから幾ら小まめに水分補給をしても発汗しなければ体温は下がらない。薬はピンポイントに効くのではなく全身に働き掛けて全身が異常反応を起こす。その最も極端な物が抗癌剤であり、全身の細胞に無差別攻撃を仕掛ける。もし癌細胞の耐性が弱ければ癌細胞が先に死ぬが癌細胞のほうが強ければ癌細胞だけが生き残る。命懸けのチキンレースのようなものだ。
 総合感冒薬は様々な対症療法薬がブレンドされている。解熱剤が中心であれば、他の副作用はあっても、熱中症の原因にはなるまい。気を付けるべきなのは鼻炎に特化した風邪薬だ。主な症状が鼻炎である風邪症候群(所謂「鼻風邪」)の患者が鼻炎特化型の風邪薬を飲んだ場合、汗が充分に出ないために熱中症を患う恐れが高まる。
 製薬会社から大量の鼻薬を受け取っているマスコミや医師は、スポンサー様に遠慮して、鼻炎薬の危険性を公言できない。だから水分補給ばかりが強調される。危険なものを報知できないから放置されている。鼻薬恐るべし。