救急車の利用が増え続けている。2013年の出動件数は約591万回だったそうだ。しかし実際に運んだ人の半数が軽症者であり、論外として搬送されなかった人も少なくない。この弊害は大きい。通報から病院に着くまでの時間は全国平均で39.3分でありこの10年で10分ほど遅くなっているそうだ。
これを解決するために救急車の有料化の話が出るがすぐに立ち消えになる。それは、有料化すれば却って安易に利用する人が増えると主張する人が必ずいるからだ。その論拠になっているのはこんな話だ。
イスラエルのある保育園で指定時間までに迎えに来なかった親に3ドルのペナルティを課することにしたところ、遅れる親が激増した。ペナルティが抑制のために役立たないどころか増加を促してしまった。
この話が根拠になってモラルを金で置き換えるべきでないと言われるようになった。金銭を賤しむ日本人の心情にも合致する。信頼関係は金銭で代替できないことだからこそあらゆる犠牲を払ってでも信頼に応えようとする。これが金銭関係に置き換えられれば損得が基準になるので遅れることが倫理の問題ではなくなる。金で解決できることになれば、多少無理をしてでも約束を守ろうとする動機が薄れて遅れる人が増えるということだ。
しかし救急車の利用料は保育園の遅刻ペナルティとは全く質的に異なる。保育園の場合は免罪符的な役割を果たすが救急車の場合は公共サービスに対する対価だからだ。
もし商品が無料で配られたら多くの人が群がってたちまち品切れになるだろう。これは要らないものでも貰おうとする人がいるからだ。これがチャリティバザールであればそんなことにはならない。たとえ少額とは言え代金を払うのだから節度が生まれる。
介護については8月から一部の人の本人負担が1割から2割に増額される。これを無料にすれば利用者が減るなどと本気で考える人はいないだろう。無料にすれば確実に利用者が増える。
サービスを受けるというポジティブな行為の対価とペナルティのようなネガティブな支払を同一視すべきではない。言う迄も無く救急車の利用料はペナルティではなく公的サービスの対価だ。これを有料にしても安易な利用者が増えるとは考えられない。屁理屈を並べるよりもどこかの地域で実験してみればすぐに分かることだ。救急車の有料化は倫理の問題ではなく現実的課題だ。空理空論よりも実験が有効だ。
これを解決するために救急車の有料化の話が出るがすぐに立ち消えになる。それは、有料化すれば却って安易に利用する人が増えると主張する人が必ずいるからだ。その論拠になっているのはこんな話だ。
イスラエルのある保育園で指定時間までに迎えに来なかった親に3ドルのペナルティを課することにしたところ、遅れる親が激増した。ペナルティが抑制のために役立たないどころか増加を促してしまった。
この話が根拠になってモラルを金で置き換えるべきでないと言われるようになった。金銭を賤しむ日本人の心情にも合致する。信頼関係は金銭で代替できないことだからこそあらゆる犠牲を払ってでも信頼に応えようとする。これが金銭関係に置き換えられれば損得が基準になるので遅れることが倫理の問題ではなくなる。金で解決できることになれば、多少無理をしてでも約束を守ろうとする動機が薄れて遅れる人が増えるということだ。
しかし救急車の利用料は保育園の遅刻ペナルティとは全く質的に異なる。保育園の場合は免罪符的な役割を果たすが救急車の場合は公共サービスに対する対価だからだ。
もし商品が無料で配られたら多くの人が群がってたちまち品切れになるだろう。これは要らないものでも貰おうとする人がいるからだ。これがチャリティバザールであればそんなことにはならない。たとえ少額とは言え代金を払うのだから節度が生まれる。
介護については8月から一部の人の本人負担が1割から2割に増額される。これを無料にすれば利用者が減るなどと本気で考える人はいないだろう。無料にすれば確実に利用者が増える。
サービスを受けるというポジティブな行為の対価とペナルティのようなネガティブな支払を同一視すべきではない。言う迄も無く救急車の利用料はペナルティではなく公的サービスの対価だ。これを有料にしても安易な利用者が増えるとは考えられない。屁理屈を並べるよりもどこかの地域で実験してみればすぐに分かることだ。救急車の有料化は倫理の問題ではなく現実的課題だ。空理空論よりも実験が有効だ。