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【今回は5作品をイッキ読み!】
今回は評論第二十六弾として最近読んだ5作品を勝手に評価したい。
内容は歌野晶午作品1つ、中山七里作品1つ、柚月裕子作品2つ、赤松利市作品1つについて読書感想文として紹介しよう。
「それは令和のことでした、(2024年4月 単行本文芸フィクション) 歌野晶午 60」
短編集。
歌野晶午ワールド全開の叙述トリック満載集。
序盤作は良かったが、段々、結末の叙述トリックの多さやその精度が落ちてきて終盤は読み手がダレてしまうかも。
まあ、これはこれだと割り切って読めば・・・
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「静おばあちゃんと要介護探偵(2021年2月 文春文庫)中山七里 81」
岬洋介シリーズに登場する強烈キャラ「香月玄太郎」氏70歳と単作シリーズでちょいちょい登場する元判事の「高遠寺静」氏80歳が織りなす痛快ミステリー小説(短編連作集)。
結果的にタッグを組んで物事を解決していくのだけど、なにぶん双方キャラが濃いので、これまでの各作品を順読みしたうえで読んで欲しい作品であり、クセなく読める作品だ。
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「ミカエルの鼓動(2021年10月 文藝春秋)柚月裕子84」
主人公がストーリーテラーの医療系ミステリー。
その主人公の生きざまとプライド等が折り重なる人間模様が本筋。
メインの手術シーンでは、そうなる結果が見えてしまっていたり、登場人物があまりにも多いことが煩雑さを過ぎらせてしまったが、柚月裕子ワールドが詰まった本格ストーリーだったと思う。
ただ、ドラマ用なのかラストの演出がなぁ・・・
伏線回収にはなっていなかった気もするため、申し訳ありませんがこの点数で。
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「教誨(2022年11月 小学館)柚月裕子 86」
一人の死刑囚の半生をストーリーテラーと教誨士が描いている多角的に展開する作品。
一応ミステリー作品ではあるが、その答えなんかよりも深く、そして自分自身が持つ「何か」に訴えかけられているよう。
そんな切れある角度がポイントの読みものであるが、きっと多くの人が読み終わった際に思うことがある作品であろう。
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【今回のMVPは?】
「藻屑蟹(2019年3月 徳間文庫)赤松利市 90」
今でも入手困難なちょっと前に話題となった小説作品。
こちらは「大藪春彦新人賞」を受賞した有名作。
ほぼほぼホームレス状態だった作家が原発関連を深く切り取って描いたサスペンスミステリー。
現実と空想が入り乱れる震災ビジネスの光と影を描いている。
日本人として絶対に知っておかなければならないことがここには書いてある。
もちろん、現実であるかの線引きは読者に任されているところも小説として成熟している。
なお、ストーリーは大きく分けて2部構成になっており、個人的にはピークが前半戦(ちょうど真ん中あたり)だったと感じた。
それと最終的な着地も理解が難しかったものの、トータル的には大きく楽しめた作品だったと評価したい。
ぜひ一度は読んでいただきたい。
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