スティーブ@茅ヶ崎さんからの投稿です。
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出張で大阪に参りましたが、この日は仕事が午後なのでまずは中之島公園にある市立東洋陶磁美術館です。
世界的に有名な安宅コレクションを展示しており、中でも2つの国宝「油滴天目茶碗」と「飛青磁花生」はあまりにも有名です。
今回は開館25周年記念特別展という事で「美の求道者・安宅英一の眼」という特別展示を見ましたが、2点の国宝と13点の重要文化財が含まれており豪華で優雅な内容です。
この美術館は平成11年3月には新たに「日本陶磁コレクション」並びに「李秉昌(イ・ビョンチャン)韓国陶磁コレクション」を展示する新館も加わり、東洋陶磁のコレクションとしては現在世界第一級の質と量を誇ると言われています。
油滴天目茶碗
安宅コレクションとは、かつての安宅産業株式会社が収集した美術品コレクションで、韓国・中国、日本を主体とする陶磁器のコレクションがその中心でした。
飛青磁花生
安宅産業が社運をかけて収集した膨大かつ大変優れた内容のものです。
オーナーの安宅英一氏が鋭い鑑識眼と美的価値観により命をかけて収集したのですが、実際に展示された陶器を見るに美しさだけではない優美さと品格をも感じる高度な次元の美意識で訴える作品ばかりです。
安宅コレクションは最後には日本陶磁、中国・韓国陶磁、速水御舟(絵画)で構成されていましたが、速水御舟の作品は既に山種美術館に売却されています。
実は安宅産業は1970年代半ばに某極悪国際石油資本の詐欺に逢い経営破たんし、伊藤忠商事に吸収されました。
いわば住友グループの管理下に入ったわけですが、東洋陶磁のコレクションは住友グループから大阪市に寄贈され、昭和57年にこの東洋陶磁美術館が誕生したのです。
重文:牡丹文盤
加彩 騎馬鷹匠傭
今回、すべての作品を見る事が出来ましたが、何か共通した美意識を感じます。
それは安宅氏の持つ育ちの良さからにじみ出ていると思うのですが、鑑識眼は厳しいものがあっても個々の作品に潜む優美さや和やかさは心の余裕がなければ発見できません。
やはり品格のある人間こそが美の持つ本物の価値を理解するのでしょう。
私などはまだまだ、です。
*なお、安宅コレクションは東洋陶磁美術館が改装のため、2007年10月13日~12月16日 の間は東京の三井記念美術館で展示されます。
カメラはフラッシュ、三脚、携帯はダメでデジカメは禁止されていませんでした。
日本を代表する陶磁器コレクターの一世一代の収集作品で、国宝2点を含んでいますから皆様も是非ご覧ください。
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ご投稿ありがとうございました!