ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

ドイツミステリー『前世療法』

2013-07-29 09:20:49 | 本の紹介
byセバスチャン・フィツェック。赤根洋子訳。柏書房。
前世療法とは、催眠療法の一種。退行催眠によって出生前の記憶をひきだすことによって心的外傷を取り除くことに効果があると言われているが・・・その真偽はわからない。
弁護士ロベルトは友人の看護師に自分の患者、余命いくばくもない孤独な少年、ジーモンを紹介される。ジーモンは前世療法を受けてから自分は前世で男を殴殺したという記憶が蘇ったという。その死体を遺棄した場所から実際に死体が発見される。ところがそれは15年前のことで、ジーモンは10歳。
ロベルト自身も妻が不妊治療してようやく生まれた新生児を死なせてしまい、妻はそれを受け入れられずに離婚した経験を持つ。ジーモンはロベルトを弁護士として雇い、彼らは殺人事件を調べるうちに・・・。ストーリー展開が速く、読み始めたら止まらない。
この小説では小児性愛者の存在、乳幼児の誘拐、売買といったおぞましくも生々しいベルリンの闇の社会が描かれている。

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