フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

ケインとアベル ジェフリー・アーチャー

2012年04月21日 20時22分43秒 | 読書・書籍

 ジェフリー・アーチャーの「ケインとアベル」を読了
 
 圧巻の面白さ。最初からストーリーに引き込まれ最後まで一気に読み終わる。面白い小説を探している人は、この本を読むべき。損はしない。
 
 一人の人間の一生を描き切る小説は英米に多い。また、イギリスの文学は人間のセンチメントな部分を刺激する。
 
 「感情」を刺激すること。
 
 これは脳科学的に言えば、大脳辺縁系の扁桃体を刺激することである。どうすれば、文字でこの人間の感情を動かすことができるのか、最近、ずーっと考えていた。
 
 この「ケインとアベル」を読んで、そのことが少しだけ分かったような気がしている。
 
 それは、私たちの感情の源泉は「愛すること」にある、ということだ。
 
 激しく愛しているがゆえに、その者が傷つけられれば、強い憎しみが生まれる。愛憎入り交じる激しさが、私たちの心を動かす。そして、激しく人を愛するには、過剰なエネルギーが必要なのである。
 
 ケインとアベルは、同じ日にまったく違った境遇で生まれる。その二人が、ちょっとしたすれ違いで、対立しあうことになる。
 
 戦うことと愛することは表裏一体である。愛が深ければ深いほど、激しく戦うことになる。 
 
 激しく人を愛せる者は幸いである。たとえそのせいで不遇の人生を送ることになったとしても、「生きている」という充実感は味わえるからである。
 
 ああ、私は人を本当に愛しているのだろうか、と問いただしてみる。結局のところ、自分のことがかわいいだけなのではないだろうか、と。
 
 このメロドラマ的小説の中核は、家族愛である。それに心を揺さぶられるのなら、まだ自分は大丈夫なのかなぁと思いつつ、小説を読み終わった。
 こういう小説は大好きである。人間の中にある愛情を刺激する。
 
 ジェフリー・アーチャーの小説をもう少し読んでみようと思う。 

コメント
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