アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

映画「食の安全を守る人々」

2022-03-11 16:24:01 | 映画とドラマと本と絵画

  ロシア軍のウクライナ侵攻が始まる前から、小麦をはじめとする食料品の値上げが話題になっています。ある友人が言っていました。「少しずつじわじわ値上げされているから、ボケっとしてたけれど、ある日ふと結構な値上げになっていることに気付いて、愕然とした」別の友人は、量が減っていることを指摘。値段は変わらなくても、中身の重量がどんどん減っている、と。

  テレビでは、こうした値上げについては取りざたしていますが、食べ物そのものの安全性については、ほとんど言及していません。

 先日、「食の安全を守る人々」という日本のドキュメンタリーを見ました。監督は原村政樹。弁護士で元農林資産大臣の山田正彦氏が、人々をとりまく食べものの実情について、日本のみならず、海外にも取材してまとめられた映画です。これまで、ばらばらに耳に入っていた情報が、まとまりのある事柄として迫ってきました。この映画は、昨年12月名古屋で開かれたオーガニック映画祭で上映されたもの。そのおりの映画の解説には、こんなことが書いてありました。

「アグリビジネスは日本に幸せをもたらすのかそれとも日本は世界の潮流に逆行しているのか?日本で、海外で農と食の持続可能な未来図を描く人たち

種子法廃止、種苗法の改定、ラウンドアップ規制緩和、そして表記無しのゲノム編集食品流通への動きと、TPPに端を発する急速なグローバル化 により日本の農と食にこれまで以上の危機が押し寄せている。

しかし、マスコミはこの現状を正面から報道するこ とはほとんどなく 、日本に暮らすわたしたちの危機感は薄いのが現状である。

この趨勢が続けば多国籍アグリビジネスによる支配の強まり、食料自給率の低下や命・健康に影響を与えることが懸念される中、弁護士で元農林水産大臣の 山田正彦が、長年、農業をテーマに制作を続けている原村政樹監督との二人三脚で撮影を進め、日本国内だけでなく、アメリカでのモンサント裁判の原告や、子どものために国や企業と闘う女性、韓国の小学校で普及するオーガニック給食の現状など幅広く取材。 果たして日本の食の幸せな未来図はどこに・・・。」

  「人体に残留しない安全な農薬」というふれこみだった、グリホサート。20年間、自分の勤めている学校の校庭で、この農薬を散布し続けていたアメリカの男性が悪性リンパ腫になり、巨大企業モンサントを相手取った裁判で勝訴しました。それ以来、アメリカや欧州で、モンサント訴訟が相次いでおり、発売禁止とした国も多いのですが、日本ではラウンドアップという名で売られているこのグリホサートの農薬は、ホームセンターやJAの直売所で山積みにして売られているそう。100均でも見かけると聞きました。

  ある学者の話では、グリホサートの日本の規制緩和は甚だしく、中国が0.2ppmであるのに対し、日本はその150倍の量が最低基準になっているとか。また、小麦の残留農薬の基準値は日本では近年どんどんあがり、この映画のできたころは米の基準値が0.1ppmであるのに対して、小麦はなんと80倍の8ppm。

  小麦は、早く乾燥させるために、収穫直前にグリホサートを撒布するのが慣行農法では当たり前になっているとか。アメリカだけの話ではなく、日本でもこの方法をとっていると知ったのは、数年前。

  それまで、アンティマキでは、ナッツやドライフルーツはオーガニックを使っていましたが、小麦は、国産品をつかっていました。国産と言っても有機栽培の国産品は高すぎて、焼き菓子の売値が相当上がってしまいます。だから、多少の農薬は使っているだろうけれど、輸入品よりましだろうと思っていたのです。

   でも、収穫直前の農薬撒布の話を聞いてから、とてもそんな粉を使う気になれなくて、ネットで探して仕入れ始めたのが今使っているオーストラリアやアメリカ、カナダのオーガニック小麦粉です。

   農薬に汚染された腸は善玉菌を殺して悪玉菌を増やし、神経を刺激して腸の外にしみ出し、脳に至る。それが発達障害とかかわりがあるのではないか、という専門家もいます。不妊症や流産を引き起こし、精子を殺すとも言われています。

  ゲノム編集した食品の安全性にも、映画では言及しています。これまでできていた「遺伝子組み換えでない」という食品表示が許されなくなる背景になにがあるかも、映画では追及しています。

  とにかく、枚挙にいとまのないほどの、危険で、驚くべき事実が次々に紹介されています。家庭の主婦、とりわけ小さなお子さんを持つ若いおかあさんたち、食品を扱う仕事に携わる人たちに、ぜひ見ていただきたい映画です。

   そこで、オーガニック映画祭の開催に長年尽力してきた、フェアトレードショップ風sの土井ゆきこさんが主宰する風の庭クラブが、6月、この映画の上映会を稲武で開くことにしました。アンティマキも協力いたします。日時と場所は以下の通り。近々チラシができるので、詳しくは追ってお知らせいたします。

   *「食の安全を守る人々」上映会と有機農法家松澤政満さんの講演会

    ■日時:6月26日(日)午後1時から4時

    ■場所:稲武交流館

    ■参加費:1000円(当日1300円)

   気になる方はぜひ、とりあえずこの日を空けておいてください。

  


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