晴耕雨読とか

本読んだり、いきものを見たり。でも、ほんとうは、ずっと仕事してます。

我孫子市鳥の博物館で頭骨を調べる その4

2012年10月16日 | 生き物
「これ、ガンキカはどうですかね?」とわたしのお宝を手に取った学芸員さんが言いました。

ガンキカ?

「ええ、ガンキカしてます?」

ガンキカ?

「ど、どんな漢字ですか?」
「含むに、気体の気に、化けるです」
「含気化ですか?」

まったく知らない用語です。

簡単にご説明いただいたところでは以下の通りです。

鳥の頭蓋骨は、幼鳥のころはを骨が1層で、そのため透明に見えるのだそうです。
成鳥になると、それが2層に分かれて間に空気(?)が入ることで頭蓋骨が白く見えるのだそうです。
これを「含気化」というわけです。

野鳥の標識調査をする際、捕獲した鳥の頭の羽毛をかき分けて見ると、
それが分かるのだそうで(想像つかない…)、そうやって成熟度を判定するそうです。

ふむ。

つまり……これは幼鳥の可能性がある?
帰り際のやりとりだったので、標本の含気具合(?)はチェックできなかったのですが、
基本的にはどれも成鳥という感じでした(ラベルに精巣や卵巣の確認がされていたし)。

家に帰って、お宝をライトに透かしてみました。




うむ。わからん。でも、1層っぽいような…。透き通ってますよね。。。

当初から恐れていた(大げさ)事態です。

幼鳥か……。

まぁ、現状ではたしかにお宝は、今回調査したシロハラやツグミ、アカハラとは違う感じがする。
可能性があるものとしてはクロツグミがあるけれど、それに幼鳥が入るとやっかいですね…。

頭骨を拾ったのは9月ですが、すでに白骨化していたわけで、
つまり死んでからそれなりに時間がたっていたわけです。
その段階で冬鳥であるツグミ、シロハラ、旅鳥であるマミチャジナイの可能性は低く、
アカハラ、クロツグミなどの夏鳥ツグミの可能性が高いわけです。

「まぁ、どこかでクロツグミを見ることですね」
学芸員さんからはなぐさめるように(気のせい)次の調査へのアドバイスをいただきました。

(どこかって、山階鳥研にもクロツグミの骨格標本はないのに…)

我孫子市鳥の博物館には日本の鳥と世界の鳥の剥製が多く展示してあり、その中にツグミ属もいろいろありました。


おお~、クロツグミ! こいつだ! こいつの頭骨を!!


マ、マミジロ…。こいつの可能性もあるのか…。


今回、堪能したシロハラ。キミは冬鳥だよね…。

さて…。旅は続きます。

〈謝辞〉
我孫子市鳥の博物館にはたいへんお世話になりました。
学芸員の方にも気さくにいろいろ教えていただき、本当に参考になりました。
ありがとうございました。
博物館もいいのですが、ここは鳥の巣箱ライブ配信が最高です。
今年はフクロウの巣立ちを見ました。
http://www.bird-mus.abiko.chiba.jp/

(いちおう終わり)