約1年前に始まったJMOOC
最初の本郷先生の講義「日本中世の自由と平等」は,眠っていたATSUを起こしました。
最終レポートを載せます。
「日本中世における自由・平等・平和」について
「日本中世における自由・平等・平和」を本郷先生の考えに沿って述べます。
まず,「自由」について。 日本の中世は荘園制における職の体系に見られるように,土地の『所有権の未成熟』が考えられます。権利は分けて持ち,所有が確立していません。ヘーゲルは「自由は所有」と言っていますが,本郷先生もこの考えに基づき,自分の意思・身体を自分で所有することが自由であると述べておられます。そして,男衾三郎絵詞にみられるいつ理由もなく殺されるかもわからない時代から,所有権が確立し,所有概念が成熟していく過程が中世であると考えています。本郷先生は,網野氏のまさに男衾三郎の世界である自由論・無縁論を批判し,「日本中世は自由が徐々に確立していく時期であると言える」と結論づけておられると考えます。
次に「平等」について。 「仏の前では平等」という考えを唱えたのは法然です。それまでの天台宗・真言宗ではトップは皇族であり,高い位を持った僧侶は貴族の子でした。これに異議を唱えた法然は,「南無阿弥陀仏」を唱えれば武士でも貴族でも庶民でもみな差別なく極楽浄土にいけると説きました。弟子の『熊谷直実』は法然と九条兼実の話を部屋の外のさらに段の所にいたため聞くことができません。直実は「極楽にはかかる差別はあるまじきものを」と言ったとされ,平等というものを求める人の叫びが現れていると本郷先生は語っておられます。また,この中世的平等(リゾーム)の考えは,一向宗が広がるとともに拡大し,ツリーの考えに基づく信長には脅威となりますが,信長によってリゾームは滅ぼされます。「中世では平等の考えが生まれ,広まった。しかし,中世的平等は中世が終わるとともに消滅した(一向宗は残っても)」というのが,本郷先生の考えと思います。
最後に「平和」について。 まず,日本の『人口の増加』から平和について考えます。西暦1600年から1700年の100年間に人口が1200万人から2500万人に増えています。江戸時代のシステムが人口を大幅に増やしたと考えられます。このことから,江戸時代は平和な時代であったことが想像できます。本郷先生は今回の講義では,中世の平和について多くを語られていません。しかし,中世のはじめの男衾三郎絵詞の時代はいつ殺されるかわからない時代でした。それが,戦国時代には,自分の国を治めるのが戦国大名の義務となり,検地を行う一方で,治水・灌漑などの事業を行い,自国を守ることが重要な時代となりました。そして,江戸時代には大幅な『人口の増加』が見られます。このことから,私は「庶民にとっての平和は中世において少しずつ蕾をふくらませ,江戸時代に一気に開花した」と考えます。
実は,レポートの題が何だったのか,わからないのです。
本郷先生の講義自体はまだ見られるのですが,レポートは自分のも含め,見ることができなくなってしまいました。パソコンに保存していたから残っていますが,また講義も消えてしまうのではないか・・・と思い,ダウンロードし,ブルーレイに保存しました。ディスカッションもはずみ,本当に有意義な講義でした。懐かしいですね。