アユミの症状は薬が効いたのか見違えるように良くなった。血圧は150~110と高いが身体の動きはよく、食欲もあり何でも自分で出来るようになった。そしてアユミは絵を描かなくなった。朝のティーは別々だが昼食と夕食はぼくの病室に運ばせ一緒に食事をしてくれる。禁断から抜け出そうと苦しんでいるぼくを労わるように、アユミは旅や日本の話をしてくれた。ベッドの上で味気ない食事をしていたぼくにとって、テーブルを囲んだ楽しい食事はぼくの心を癒してくれた。後、1週間もすれば彼女は退院してここから去って行くだろう。出会いと別れ、そしてまた新しい出会い、人は歩き続ける。心は留まることなく進まなければならない。ぼく達は旅を生きている旅人だから。
アユミが退院したらぼくはたった一人でこんな病院に閉じ込められ、残されるのか。話す相手もいない、長い日々を一人で耐え続けなければならない。今日は誰も来ない。マリーはぼくの代わりに裁判所に行ってくれているはずだ。本当に来年1月に裁判を終わらせる事が出来るのだろうか?もしそれが出来るようだとカトマンズで考えていた当初の計画を一部手直しすればまだ何とかやっていける。すぐに新しいパスポートを作りネパールへ戻れば、外国語学校での勉強も続けられるかもしれない。
だが大使館との関係はあまり良くない。下手をすればパスポートではなくトラベル・ドキュメントで即帰国という最悪の事態も考えられる。今、どうこう考えても仕方がない。頭を下げ泣きの涙で頼む、2度とスタッフはやりませんと嘘でも良いから固い約束をしてパスポートを作って貰う、それしか手はない。大使館はパスポートを交付してくれるだろうか、難しい問題だ。
アユミが退院したらぼくはたった一人でこんな病院に閉じ込められ、残されるのか。話す相手もいない、長い日々を一人で耐え続けなければならない。今日は誰も来ない。マリーはぼくの代わりに裁判所に行ってくれているはずだ。本当に来年1月に裁判を終わらせる事が出来るのだろうか?もしそれが出来るようだとカトマンズで考えていた当初の計画を一部手直しすればまだ何とかやっていける。すぐに新しいパスポートを作りネパールへ戻れば、外国語学校での勉強も続けられるかもしれない。
だが大使館との関係はあまり良くない。下手をすればパスポートではなくトラベル・ドキュメントで即帰国という最悪の事態も考えられる。今、どうこう考えても仕方がない。頭を下げ泣きの涙で頼む、2度とスタッフはやりませんと嘘でも良いから固い約束をしてパスポートを作って貰う、それしか手はない。大使館はパスポートを交付してくれるだろうか、難しい問題だ。