ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅      薬物後遺症と心の傷・・・18

2012-01-20 | 3章 デリー中央精神病院・入院記録

 
  12月12日(火)(入院して9日)
 
 朝六時のデリーはまだ暗くて肌寒い。毛布に包まって夜が明けるのを待っている。入院して9日目になるが、以前はティーや食事がテーブルに置かれていても、手をつけなかったり無理に食べたりしていた。肉体が回復に向かっているのだ、食べ物を欲しがる。六時はとうに過ぎただろう、ティーはまだテーブルに置かれていない。ラウラシカの奴また朝寝坊をしたのか?毎朝5時頃に起きて新鮮な牛乳をバザールに取りに行かなければならない、奴の仕事だ。ミルクをたっぷり入れた良い香りがする甘いティー、インドでは朝、起きると何はともあれ一杯のティーだ。
 ラウラシカはノックもしないでぼくの病室に入ってくると、テーブルの上にティーを置き黙って出て行った。何もカップから溢れるまでティーを入れる事はないだろう。毎日、零れたティーの上にカップが置いてある。ティー・カップを持ち上げて飲もうとすると、ポタポタと垂れるティーが着ているジャージやシーツを汚す。ラウラシカに注文をつけたが
「ノープロブレム」
インドでは何を言ってもノープロブレムだ。 毎日が同じだというふうになってきた。身体は動かないが食欲だけは1人前に食べられるようになった。午前も午後も陽が差せば狭いけど室外に出て、病院内の10mぐらいの通路を行ったり来たり歩いている。下半身が非常にだるい。毎日同じ状態なのだがそれでも少しずつ粉が体内から抜け出し良くなっているのだ。問題は遅々として進まないような1日をひとつひとつ消して行くしか良くなる特別な方法等ない。
コメント
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