災害時生活を考えるシリーズは今回で最終です。
1 日常の心構え
① 発想の転換
非常時には、食べるものさえままならないことがあります。しかし、こういうとき、「食べるものがない」と考えると不安で惨めな気持ちになります。しかし現在の日本では、災害時でも数日で物資の供給が始まると考えられます。だから、こういうときは「食べられない」ではなく「いずれ食べられるから、今は断食して体をきれいにしようと思う」ことで、ストレスが軽減されます。
現代は飽食の時代と言われ、多くの人は栄養の採りすぎといわれています。もちろん断食は、本来医師の指導の下に行わなければならないのですが、「食べ物がない」という事実の捉え方を変えることにより、精神的に前向きな気持ちになれると思います。
なお、数日食物を食べられないと体は実際に断食状態になります。断食の後、大切なのはその直後の食事の取り方です。断食後は胃が小さくなっていたりしますので、塩分や脂質を多く含むものをいちどきにたくさん食べようとすると、体調を崩すおそれもありますので、事情が許す範囲で医師や自分の体と相談しながら、食べ方を工夫する必要があります。
② 習慣の見直し
「片付けられない」ことをお悩みの人も多いことと思います。しかし、災害時に、思い出の品々が、不用なものと混じり合ってしまったら、本当に大変な思いをすることになります。そうならないために、日頃から「断捨離」をすすめ、身の回りを整理しておくことが大切です。
例えば思い出の品は一定の分量にしてまとめておいたり、着られなくなった洋服や書籍は寄贈したり、中には処分したほうがいいものもあるかもしれません。なくしていたものがみつかったり、しまいこんで忘れていたものを有効活用するきっかけになりますし、家の中がすっきりすると気分も良くなります。
私達はいずれこの世から去らなければならないのですから、特にある程度の年齢になったら整理整頓をこまめにしておきたいものです。自分亡き後、愛着のある品々が、ゴミのように扱われたりするくらいなら、大切にしてくれる人に譲った方が物も喜んでくれるのではないでしょうか。
2 まとめ
非常持ち出しの中身や家族との連絡方法などは、それぞれの家庭によって異なりますので、それは、家族の皆で話し合って決めておくことが大切です。
そして、災害時の生活を考えるということは、日常の生活を見直すことに尽きるのです。