モルモン書に信仰復興運動の痕跡
[十字架で亡くなり、全地が暗くなった]
マーク・トマスの「モルモン書に見える信仰復興運動の言葉」(サンストーン誌1983年5・6月号)によれば、イエスの死直後に起こる地震や暗闇が地を覆う(マタイ27:45, 51)ことを予言したゼノスの言葉に「これらのことは、すべて必ず起こる。・・海の島々にある多くの王は神の御霊に動かされて『万物の神が苦しみに耐えておられる』と叫ぶ」(平成訳)とあるのは、19世紀信仰復興運動が引用していたディオ二ソスの「宇宙萬有の神苦しみ給ふ、もしくは天地の骨組み崩れおり」という言葉が影響していると言う。この言葉は1823年に出版された「ユダヤ古代誌」の英訳に見られる。
なお、イエスが十字架で亡くなった後の暗闇がパレスチナに限定されるものか、地球全体に及ぶものか、二つの解釈が行なわれていたが、信仰復興運動の教会では全地に及んだという説が取られ、いくつかの典拠が用いられていた。ユダヤ古代誌の一節もその一つであった。トマスは、モルモン書の他の預言の場合もそうであるが、精確に理解するためにはこの個所も当時の読者の認識を知る必要があると言う。
断片的に見えるが、ヨセフスの「ユダヤ古代誌」もモルモン書理解のための資料の一つに数えられるわけである。
参考
・「宇宙萬有の神苦しみ給ふ」(モルモン經明治訳) の英文 “the God of nature suffers”
・William Brown, “Antiquities of the Jews” (Phildelphia, 1823) pp. 48-49
・Mark Thomas, “Revival Language in the Book of Mormon” Sunstone, Vol. 8, No. 3 (May-June 1983) p. 23
| Trackback ( 0 )
|
神が預言者を選ぶ基準としては学問や訓練のあるなしは問われないが、実際に権能を発動して預言者として現実的に働くためには、何らかの学問なり基礎準備が必要になってくるということみたいですね。
ジョセフスミスの場合は、実際に金版を手にするまでの数年のギャップが、預言者としての準備期間に当たるのかも知れません。
しかし、例によって軟弱原理主義者はこう考えます(^^;
啓示による翻訳ではは預言者の生きていた社会背景が影響するのは当然のことでしょうか。
第三ニーファイの場面は終末の雛形と読まれますから、イザヤ書のその場面をなぞったものかも。
イザヤ13:6-12(リビングバイブル)
いよいよ神の時がきたのだから、恐怖におびえて金切り声をあげろ。
全能の神がおまえたちを木端微塵に砕く時が、ついにきた。
あまりの恐ろしさに腕は麻痺し、勇気はくじけ、震え上がる。
産みの苦しみにあえぐ女のように、激しい苦痛を伴う恐れに取りつかる。
おまえたちは絶望して互いに見つめ合うが、青ざめたその顔に映るのは、町を焼く炎ばかりだ。
さあ、神の日がくる。 それは、神の憤りと激しい怒りに包まれた、身の毛もよだつような日だ。 地は、そこに住む罪人もろとも滅びうせる。
星も太陽も月も、一筋の光さえ放たず、天は真っ暗になる。
わたしは世界をその悪のために、悪者どもをその罪のために罰する。
いばり散らす者と横柄な金持ちとを踏みつぶす。
わたしがひと仕事終えた時、生き残っている者はほんのひと握りだけだ。