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11月5日広島聖文舎主催で行われた佐竹教授の講演「ヨハネの黙示
録の謎を解く」を聞いた。会場は日本バプテスト連盟の広島教会
で、聴衆は80名いた。私は佐竹教授が昔広島大学に籍を置いてお
られた頃、黙示録を担当する神学者として書籍で知っていたので、
今回直接お話しを伺えたことは大変嬉しいことであった。

78歳になる佐竹教授はしっかりした口調で2時間話された。今も黙
示録の本格的な注解書を著している教授はまだ現役として活躍して
おられることがわかって驚いた。ドイツ語版の注解シリーズにも収
録されるという。

講演の内容は学者らしく批判的であって、現在達している教授自身
の解釈を展開された。批判的というのは、キリストの再臨など「す
ぐに起こるべき事柄」が結局はずっと実現されずに今日に至ってい
ることを指摘されたことなどであり、黙示録の特徴(旧約の表現多
用、キリスト教的な要素が欠如、など)から著者がユダヤ教から改
宗した人物であると思われる、と語られた。また、私が黙示文学に
は迫害が背景にあったと学んできたが、と質問すると、13章にはそ
れに相当する内容が見られる、しかし当時の皇帝ドミティアヌスは
アジアで善政をしいていたのでキリスト者に対する迫害があったと
は考えられない、と答えられた。むしろヨハネを名乗る人物が属す
る教会内部の問題が強い動機となって執筆されたと考えられる、と
話された。また、黙示録は多層的で、個所毎に書き手の関心も異な
る、と話された。

二代目のキリスト者である教授は、講演で率直な興味ある脱線も時
折された。例えば、ヨハネは慣例を破って偉大な過去の人物の名を
借りないで本名で書いている。それは日本人が匿名が好きであるの
と対照的だ、大学生でも自分の意見をなかなか言わない。また、黙
示録に「預言者と聖徒」という組になった表現がみられるが、これ
は「指導者と一般信徒」が組みになっている日本の無教会に似てい
る。ユダヤ人がアジアのディアスポラに散乱して数百年たってもユ
ダヤ人であるのは、(日本人ならすぐに周辺の民族に埋没してしま
う)他の民族にとっては馬鹿馬鹿しい律法や儀式(安息日を守る、
豚を食べないなど)を守ってきたからにほかならない、と話された。
では末日聖徒はどうか、と私は自問した。知恵の言葉など戒律を守
ってこそ、モルモン教徒たり得るのではないかと。

黙示録の終末論的な部分では、神・キリストが支配し、悪の諸勢力、
不信仰者が新エルサレムに入れない、など二元論が見られる。信仰
者である読者は聖書の文言について各自が自分の責任で
解釈するしかない
(誰がどう言っている、と他人の解釈に頼って
はならない)と最終的な聖文の読み方について諭された。大いに学
ぶことのできた午後のひと時であった。

佐竹明教授の注解書
http://www7b.biglobe.ne.jp/~yokohama-cbs/best0708/best6.html


コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
モルモンの記号 (wasatch_15)
2007-11-09 19:34:27
>知恵の言葉など戒律を守
ってこそ、モルモン教徒たり得るのではないかと。

モルモンフォーラムの読者でもあった叔父が同じことを昔、相当昔に(私が小学生のころ)に同じことを言っていたことを思い出しました。
多分叔父は知恵の言葉に科学的な根拠を見出せずその意義を別のところに求めていたように思います。

私はシンプルに知恵の言葉は体のため霊のためと信じています。
また社会にあってはモルモンの記号として機能していて便利だと感じています。
 
 
 
同感です (NJWindow(戒律の意義))
2007-11-09 23:19:28
「知恵の言葉」に関するコメントをありがとうございます。

私も最近「他の人々にとっては馬鹿馬鹿しく見える戒律や儀式を守ってこそ・・教徒」という見方によく似た気持ちでいる自分に気づいています。

ロドニー・スタークという社会学者は、宗教の存続や発展にとって「厳しさ」という要素が不可欠であると言っています。
 
 
 
勉強中 (Wasatch_15)
2007-11-10 01:17:33
日本キリスト教団出版局「新版 総説新約聖書」を最買って読んでいます。分厚くて高価な本です。

やはりどうしても気になってしまうのは著者問題です。新約聖書には偽典的書簡が多数あるとされていますが、その根拠が簡潔に紹介されています。説得力があるだけに嫌だな(笑)と思っています。

「不都合な真実」を知るのは嫌だけど来月は「総説 旧約聖書」を買うつもりです。

話は変わりますがニーファイの讃歌を改めて読み直してみましたが内容の素晴らしさもさることながらジョセフが交差対句法を使えたとは思えず不思議な部分です。

 
 
 
総説・・聖書 (NJWindow(優れた参考書))
2007-11-13 22:56:31
私は新版ではない旧版の方のお世話になったほうです。大変参考になったのを記憶しています。(新版も読めるように図書館に買ってもらっています。)

大変高価な本ですね。
 
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