23年前、メイラーの’80年ピュリッツァー受賞作「死刑執行人
の歌」を読んだ。それは当時ニュージャーナリズムと言われた
作品に関心を持っていたのと、アメリカで10年ぶりに死刑がユ
タ州で執行されたギルモアがモルモン教徒であったからだった。
しかも読んでいて私と家族がプロボにいた時期と一部重なって
ゲーリー・ギルモアが同じ地域にいたことがわかって深い衝撃
を受けたのであった。(ただ、読むうちにギルモア自身も父親
が家庭をかえりみないため、荒れすさんだ家族の犠牲者である
ことがわかった。)
文学者メイラーはこの長編ノンフィクション作品の中で、モル
モン教徒について、律法の文字にとらわれて現代のパリサイ人
のようなところがある、ブリガム・ヤングの「血を流す者は血
をもって償わなければならない」(血の贖い)と言った考え方
がまだ息づいている、と批判し、また他方若い青年男女を世界
に派遣する独自の伝道制度や、教徒の家を定期的に訪ねる家庭
訪問の活動などを随所に詳しく描いている。マーク・トウェイ
ンが昔ユタを訪れてルポルタージュを残しているのに似ていて
興味深い。
ノーマン・メイラーは昨年「どの国よりも強力なはずの米国が、
まるでいじめっ子のように行動しているのは醜い」と語り9.11
同時多発テロ後の米国を冷めた目で見つめている。
註
ニュー・ジャーナリズムは今日「文学的ジャーナリズム」と呼
ばれている。
Norman Mailer, “The Executioner’s Song,” 1979, Arrow Books
沼野治郎「ニュー・ジャーナリズムの特徴」1985(沼野「私が
接した言葉とその文脈」1999年徳山大学叢書所収)
「米、全体主義的な危険」作家メイラー氏に聞く 朝日新聞2006/9/9
の歌」を読んだ。それは当時ニュージャーナリズムと言われた
作品に関心を持っていたのと、アメリカで10年ぶりに死刑がユ
タ州で執行されたギルモアがモルモン教徒であったからだった。
しかも読んでいて私と家族がプロボにいた時期と一部重なって
ゲーリー・ギルモアが同じ地域にいたことがわかって深い衝撃
を受けたのであった。(ただ、読むうちにギルモア自身も父親
が家庭をかえりみないため、荒れすさんだ家族の犠牲者である
ことがわかった。)
文学者メイラーはこの長編ノンフィクション作品の中で、モル
モン教徒について、律法の文字にとらわれて現代のパリサイ人
のようなところがある、ブリガム・ヤングの「血を流す者は血
をもって償わなければならない」(血の贖い)と言った考え方
がまだ息づいている、と批判し、また他方若い青年男女を世界
に派遣する独自の伝道制度や、教徒の家を定期的に訪ねる家庭
訪問の活動などを随所に詳しく描いている。マーク・トウェイ
ンが昔ユタを訪れてルポルタージュを残しているのに似ていて
興味深い。
ノーマン・メイラーは昨年「どの国よりも強力なはずの米国が、
まるでいじめっ子のように行動しているのは醜い」と語り9.11
同時多発テロ後の米国を冷めた目で見つめている。
註
ニュー・ジャーナリズムは今日「文学的ジャーナリズム」と呼
ばれている。
Norman Mailer, “The Executioner’s Song,” 1979, Arrow Books
沼野治郎「ニュー・ジャーナリズムの特徴」1985(沼野「私が
接した言葉とその文脈」1999年徳山大学叢書所収)
「米、全体主義的な危険」作家メイラー氏に聞く 朝日新聞2006/9/9
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