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文学としてのモルモン書

2007-11-04 00:53:27 | モルモン教関連
ラストの著書に7つの章の副題として出てくるキーワードをリスト
アップしてみた。いずれも文学としての聖典に特徴的な要素として
取り上げられている。

1 「語り手」と「物語」 narrators and narratives
ニーファイ、モルモンなどが語り手として物語りを語る部分が多
くモルモン書を構成する。彼らは編集者、歴史家として物語りを述
べ、本文には反復、比較・対比の方法が多用されている。

2 叙事詩(史詩、長編物語) epic elements
 モルモン書全体がアメリカ大陸に移ったイスラエルの民の運命(悲
劇)を記す一大叙事詩である。叙事詩の特徴 -- 英雄的な登場人物、
地理的・時間的スケールの大きさ、英雄的な事跡、神格の登場・関与
- - が備わっている。

3 詩(韻文、詩歌) poetry
 ニーファイの賛歌(psalm、 IIニーファイ 4:15-35)がよく知ら
れているが、一般に預言や説教は韻文や詩的表現となって表れている。
また、祈り、勧告、悲嘆の表現も詩の形を取ることが多い。交差対
句法を含む修辞法が現れていることも研究されている。

4 説教、訓話 sermons
 ベニアミン王の説教、ヤコブの説教(IIニーファイ6-10章)、よく
知られたアルマの説教、イエス、モロナイの説教などがある。

5 書簡、自伝 letters and autobiography
 モルモン書の中に8通の書簡が含まれている。モロナイ・アモ
ロン間、モルモンからモロナイ宛の手紙など。また、冒頭のニー
ファイ、エノス、アルマ(息子)が自己について語る部分は自伝
の要素 - - 自分の救いに関する告白や魂の叫び - - に富んでい
る。

6 比喩的表現 imagery
 光 / 暗闇、捕われの身 / 救い出された状態、荒れ野 / 放浪、
生命の木・水、塵など。これにヤコブの「オリーブの木の譬え話
(allegory)」を加えることができる。

7 予型論 typology
歴史上の出来事や人物を繰り返されるかもしれないタイプとし
て用いる。例、出エジプトとリーハイ一家のエルサレム脱出、三
日間暗闇にいたヨナとアルマ(息子)の改宗、将来を予見するモ
ルモン書そのもの、など。

ラストは北カロライナ大学英語教授で末日聖徒。 

参考書籍
Neal E. Lambert ed., “Literature of Belief,” BYU Religious
 Studies Center, 1981
高山真知子, “Poetic Language in Nineteenth Century Mormonism,”
 江戸川大学紀要「情報と社会」1,2号 (1991, 1992)
Stephen D. Ricks, “The Allegory of the Olive Tree: The Olive,
 the Bible, and Jacob 5,”Deseret Book Co., 1994
Richard Dilworth Rust, “Feasting on the word,” FARMS &
 Deseret Book, 1997
Mark D. Thomas, "Digging in Cumorah - - Reclaiming Book of Mormon
Narratives," Signature Books, 2000
Robert M. Price, “Joseph Smith: Inspired Author of the Book
 of Mormon,” in Dan Vogel & Brent Lee Metcalfe ed., “American  
 Apocrypha,” Signature Books, 2002


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