ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

のら猫タビーのいる「ねこ庭」

2017-11-16 10:35:43 | 徒然の記

 正確には覚えていませんが、のら猫タビーが庭で餌を食べるようになったのは、去年の11月だったと思います。

 そうしましすと、一年が経つということになります。雨が降らなければ、午前と午後の二回やってきます。雨戸に面した上り口の台の上で、居間の方を向き、背を丸め、私たち夫婦が姿を見せるまで待っています、

 朝が遅いので、9時過ぎにしか雨戸を開けませんが、どうやらもっと早くから来ているようです。雨戸を繰り、カーテンを開け、日差しを室内に入れるのは私の役目なので、二階から眺めると、たいていタビーが下の台で丸くなっているのが見えます。

 タビーは白と茶と黒の三毛猫のメスで、人間で言いますと「ペッピンさん」になるのではないかと、思っています。しかしタビーは相変わらず心を開かず、決して体を触れさせません。餌をやろうと庭に下りますと、素早く台から離れ、遠くに位置します。

 最近ではやっと、餌入れをする私の横まで来て、話しかけるとじっと見返すようになりましたが、そこまでです。

 「あんたねえ、毎日餌をもらうんだから、頭くらい撫でさせたらどうなの。」

 家内が時折話しかけますが、われ関せずと、無心に餌を食べるだけです。食事のコースは決まっていて、最初にカンズメの魚をやり、次にドライフードを入れ、最後が牛乳です。歯が悪いので、ドライフードは苦手らしく、空腹でないときは残したままいなくなってしまいます。

 牛乳は好物らしく、容器を目にすると近づいてきます。餌入れに、傾けて容れてやるのですが、牛乳が鼻の頭にかかるくらい近くにきます。それを飲むと安心し、満足するのか、踏み台の上に戻り、お日様にあたりながら、毛づくろいをしたり、爪研ぎをしたり眠ったりします。

 去年初めて餌をもらいに来た頃は、あたりを見回しながら、警戒しつつ餌を食べ、終わるとすぐに居なくなっていましたので、それを思うと随分気を許してきたのだと分かります。

 付近の山で暮らしていると聞きますが、夏の間は、顔や耳を蚊に刺さされ、掻きむしった傷が沢山ありました。痩せてはいませんでしたが、栄養が足りなかったのか、今では毛並みの色が鮮やかになり、いっそう「ベッピンさん」になっています。

 人懐っこい犬と違い、もともと猫は人間に媚びず、自分の思うまま、気ままな生き方をするのですから、タビーの冷淡さときたら、並大抵ではありません。最近でこそ少し目を合わせるようになりましたが、いくら話しかけても下を向いているか、他所を眺めているかでした。

 やくざ者だって、「一宿一飯」の恩義といい、挨拶だけはしたものなのに、猫の世界にはそんなものがありません。

 それでも、訪れる者もない私たち夫婦は、タビーを愛らしく思い、猫なで声で話しかけ、せっせと世話をやいています。姿を見せないと、車にでもはねられたのか、喧嘩に負け瀕死の状態で、山のどこかでうづくまっているのではないかなど、心配したりしています。

 今までは、つれないタビーに相応しく、私たちもほどほどの受け入れをし、雨戸のすぐ近くにある大きな容器の上に、空の段ボールを置き、寝場所にしてやっていました。

 時々、箱の中で丸くなって眠ったりしていますので、気に入ってはいるようでした。安心して眠っている姿を見ますと、やはり可愛いいと思ってしまいます。これが親バカならぬ、猫バカというのでしょうか。

 急に寒気が襲い、体が震えるほど寒い日がありました。猫バカの私は、タビーの寝床になっている段ボールを少しばかり改造し、すっかり体が隠れるほどの高さにしてやり、断熱材で養生し、毛布を敷き、その上に猫座布団を乗せ、万全の寒さ対策をしてやりました。今では食事時間でもないのに、気がつくとその箱の中で眠るようになりました。

 しかし相変わらず、礼の一つもなく、マイペースで生きています。「一宿一飯」の恩義は、期待する方が無理なようです。

コメント (4)
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