ジョン・クーリー氏著『非聖戦 ( UNHOLY WARS )』( 平成13年刊 筑摩書房 )を、読みつつあります。
これも、市立図書館からもらった廃棄図書です。二日前に、山本裕司氏の『アメリカの正義に惑わされるな』 を、読んだばかりですが、続けて中近東関係の書を手にします。集中して読めば、アラブ諸国への理解が深まるような気がするからです。
山本氏の立場は、反アメリカ、反ユダヤでしたが、この本はどうも違うようです。かと言って、親米でもなく、どちらかといえば親アラブの感があります。
サブタイトルが、「CIAに育てられた反ソ連ゲリラは、いかにしてアメリカに牙をむいたか」ですから、米国批判の意見が多く見られます。全部で378ページの本の、44ページまで読んでいますが、著者の拠って立つ場所が、何となく明確になりません。
原文が煩雑なのか、翻訳者がうまくないのか、読みづらい文章です。詳しく書いてあるのに、前後のつながりが曖昧で、何度か読み返し、やっと人物の関係がつかめるという書き方です。
中近東諸国の情勢が入り組んでいるため、文章が複雑になるのかと、最初は思いました。しかし、二日前に読んだ山本氏の著書も、同じ中近東を扱っていましたが、文章は的確でした。この腹立たしい印象は、ヒトラーの『わが闘争』を読んだ時に似ています。ヒトラー自身が、自分を飾るため嘘を並べ、支離滅裂な意見を述べていましたが、翻訳者が文才のない学者で、辻褄の合わない杜撰な文章を書いていました。参考のため、著者と翻訳者の略歴を紹介します。
[ ジョン・クーリー氏 ]
ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン記者を振り出しに、UPI通信、クリスチャン・サイエンス・モニターなどの記者として、1960 ( 昭和35 ) 年代から、中近東を取材している。 現在キプロス駐在アメリカABC特派員。
なんと翻訳者は11名もいます。10名がNHKの記者ですから、私の偏見のアンテナが反応します。なんだ反日のNHKかと、そんな気持ちになります、それでも私は学徒ですから謙虚になり、翻訳者の名前と略歴を紹介します。
1. 平山健太郎 (序章、第1章担当 監訳者)
東大法学部卒。サイゴン、カイロなどNHK支局長、解説主幹を経て、白鴎大学教授
2. 若松賢治 ( 第2章担当 )
東大法学部卒。主として国際報道を担当。ワシントンに駐在し、冷戦時代のニクソン、キッシンジャー外交を取材。現在、海外向け英文雑誌の編集長。
3. 饗庭孝典 ( 第3章担当 )
東京外大卒。特派員として、ニューデリー、サイゴン、北京、ソウル、シドニーに駐在。その後NHK解説主幹。現在早稲田大学非常勤講師
4. 吉野昭次 ( 第4章担当 )
東大卒。特派員として、国際問題を担当。ワシントン、香港、ニューヨークに駐在。
とここまで紹介し、やっとつまらないことをしている自分に気づきました。これだけ一流大学の出身者が集まっているのに、国内に持ち込まれるNHKの海外の情報に客観性が欠け、海外に発信される報道は反日自虐性が強いのですから、優しい顔はできません。
こうした記者たちの高給を支払うため、受信料を払っているのかと思うと腹立たしくなります。
論より証拠、という言葉がありますので、息子たちと、ブログを訪問される方のために、下手な文章を紹介します。著者が悪文を書くのか、翻訳者のレベルが低いのか。私にそこは分かりません。
「1979 ( 昭和54 ) 年12月23日、ソ連軍が公式に国境を越えた時、ブレジンスキーはカーター大統領に、いまや彼らに、彼らの、ベトナム戦争を与えることができますという、手紙を書いた。」
「これがソ連を、10年あまりにわたる戦争に追い込み、ソ連にとって、耐え難い状況を作り出した。ブレジンスキーによれば、ソ連のこの、アフガニスタンへの軍事介入が、ソ連帝国の士気を打ち砕き、ついにはその崩壊をもたらしたのである。」
この部分はまだ、分かりやすい文章ですが、それでも、私の手が加わっています。句読点を加え、余計な修飾語をカットしています。そのようにしてまで、私がなぜこの文章を紹介したかについては、理由があります。
旧ソ連は、社会主義の総本山として世界に名を轟かせていたのに、アフガニスタン侵攻をキッカケに、崩壊の道を辿りました。
息子たちに言います。アメリカが仕掛けたソ連への挑発と、大東亜戦争時に、アメリカが仕掛けた「日中戦争」への挑発が、酷似しているからです。
反日左翼の学者たちが、「日本が中国を侵略した」と、今でも叫んでいますが、事実は、アメリカに仕組まれた「どろ沼の日中戦争」への罠だったのです。この経験をもとに、終わりのない戦争へ引きずりこめばソ連がやがて疲弊すると、ブレジンスキーは策略を巡らせました。
42年前のアメリカが、同じことを日本に仕掛けたのです。1937 ( 昭和12 ) 年の日中戦争の勃発でした。日本軍が最初に発砲した、中国軍が挑発したなど、いろいろな意見がありますが、私はそのような説には目をくれません。私の大胆で、独創的な、推察です。
「当時の日本は、周囲がみな敵でした。中国は無論のこと、米英仏もです。同盟を結んだり、破ったりするドイツも、ソ連も、潜在的な敵でした。」「日本が、日中戦争のどろ沼に引きずり込まれたのは、ルーズヘルトとスターリンの謀略のせいです。」
「ねこ庭の独り言」でしか、発表できない直感的正論です。当事者は違っていても、軍事大国のやることは同じです。ブレジンスキーにしても、過去の歴史を学んでいるから同じ策略を実行します。
この本の、見事な悪文を紹介しますと言いましたが、ブログのスペースがなくなりました。悪文の紹介は、次回からとします。