ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

1994年 世界は、 -7 ( 氏の立ち位置 ? )

2020-09-01 20:47:02 | 徒然の記

 8月が終わり、今日から9月です。夕方の 5時50分、私は机でパソコンに向かい、いつものように一日が終わります。

 金賢姫のインタビューを読みますと、このありふれた一日にも感謝したくなります。私はただ、自分の息子たちのため、事実が伝えたくてブログを綴ります。

 《 でも外交官や、留学経験のある人は、そんな自国に矛盾を感じるのではないか。 》

 「多くの人がそう感じると思いますが、決して彼らは口に出しません。」「北朝鮮の社会では、どんな不満があっても、それを出しません。」「口に出せば、自分はもちろん家族も含めて、全部殺されてしまいますから。」

 《 密告制度が、徹底しているということか。》

 「文明国の人々には、考えられないほどです。」「生活している地域に、五戸担当制という仕組みがあります。」「これは、五世帯が互いに監視するというシステムです。」「ある家でどんな話をし、どんな人が来たかということを監視し合うわけですが、いつどこで、誰に見られているかわからない状態なんです。」「だから親が、党や金日成に対して不満を持っていても、口にできない。」

 「家族さえも信頼できないのです。」「私の両親も、政治的なことは一切話したことがありませんでした。」「子供は学校で、親よりも金日成の方が大切と教えられていますから、」「親が不満を言ったら、子供はそれを、組織に報告します。」「そして、親が処罰されることになります。」

 反日左翼の学者や活動家たちの中には、戦前の日本にあった隣組を、国民監視のための悪質な仕組みだと批判する者がいます。回覧板を回したり、配給品を間違いなく届けたりするため、今で言う町内会や自治会に、調査・報告・分配などの権限を持たせた組織です。

 自由な戦後になっても、親たちは隣組がひどい監視組織だったと、嘆く話を聞いたことがありません。戦争遂行のため政府が作った緊急体制と、日常生活での監視組織を同じレベルで語るところに、左翼主義者の誇張あるのではないかと金賢姫の話から教えられます。

 「北朝鮮の人たちは、生まれて一度も、誰とも、胸襟を開いて話すことができない状態にあります。」「例えば男同士がお酒を飲みながら、不満を漏らす場合がありますね。」「そういう場合、すぐ密告されて、姿が消えてしまうのです。」

 「私の周辺にも、そういう人がいました。」「昨日まで学校に来ていた子が、突然来なくなったので、その家を訪ねてみると、」「昨日の夜トラックが来て、家族全員を連れて行ったと聞かされました。」

 優秀なエリート工作員と言われる彼女が、どうしてここまで、自分の国のことを喋るのかと、そんな疑問も湧いてきます。韓国政府に監視されているので、自国の悪口を言えば刑が軽くなると、そんな気持ちがあるのでしょうか。しかしそれならば、落合氏の注釈があるはずです。注釈がない限り彼女の証言は事実だと、そう考えられます。

 「そういう人たちが、政治犯収容所に送られたということを、」「政府は秘密にしていますが、皆な何となく知っているんです。」「収容所は、生きたまま人間を殺してしまう、地獄のようなところです。」「文明国では、ごく当たり前に許されることが、死に値する。」「それが現在の、北朝鮮という国の実態です。」

 「あのような独裁体制は、一日も早くなくなるべきだと思うし、」「金日成や金正日も、なくなるべき存在だと思います。」「そのためには韓国をはじめ、世界の人々が、」「北朝鮮の人々の人権のため、そして収容所で死んでいく人々のため、」「もっと積極的に、闘争をして欲しいと思います。」

 罪も無いのに突然拉致された日本人たちは、こんな国に捕まっているのです。彼女の話を知った家族は、どれほどの悲しみに浸ることでしょう。彼女の話の受け止め方につき、私と氏の相違に違和感を覚えました。

 「確かに彼女のいう通りなのだが、6年ぶりに韓国を訪れて、私が感じたのは、」「北朝鮮についての国民の関心が、著しく欠け、6年前の緊張が、全く感じられなかったということだ。」「北朝鮮の核開発に対しても、あまり関心を見せないし、それほどの脅威とも思っていないようだ。」

 「これは一般国民だけでなく、インテリ層の間でも同じだった。」「豊かになりすぎて、日本人同様平和ボケに陥ってしまったのだろうか。」

 北の核への危機感のなさや、無関心について語る前に、氏はなぜ一言も拉致された日本人について語らないのでしょう。学校帰りの道で、夕方の散歩の途中で、いきなり頭から麻袋をかぶせられ、屈強な男たちに拉致された国民について、氏はなぜ語らないのか。質問もしないのか。

 氏の著書を半分以上読んでいますが、未だに氏の立ち位置が不明のままです。日本人が「平和ボケ」に陥っているのは事実かもしれませんが、それを言う資格が、氏にあるのでしょうか。この章の最後の言葉を転記しますので、息子たちも、「ねこ庭」を訪ねられた方々も、一緒に考えていただきたいと思います。

 「生まれた時と場所が違っていたなら、彼女はそのIQの高さと美貌で、」「何をやっても成功していただろう。」「北朝鮮という社会に生まれたが故に、」「彼女は、独裁者の狂気の計画を実行するための、単なる駒として使われてしまった。」「115人の命を奪い、北朝鮮に残してきた家族を、地獄のような収容所へ送り込んでしまったという、」「とてつもなく重い十字架を背負って、これからも生き続けなければならない。」「神も含めて誰も、その十字架を、彼女に代わって背負ってやることは出来無いのである。」

 私なら彼女のことより、拉致されたままの日本人について述べます。

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1994年 世界は、 - 6 ( 北朝鮮の実態 )

2020-09-01 14:33:21 | 徒然の記

 やっと金賢姫と落合氏のインタビューです。質問者が落合氏で、答えているのが金賢姫です。

 《 北朝鮮はアジアの最貧国の一つと聞いている。実態は本当にそうなのか。 》

 「この頃は韓国の人も、自由にロシアへ行けます。」「そこで彼らは、肉やパンを求めて行列をしている人々を見て、」「ロシア人は悲惨だと言っています。」「しかしロシアでは、まだ物があるから行列ができます。」「北朝鮮では、行列は一切見られません。売る物が、ないからです。」

 「ロシアでは何百人並んでいても、順番が来れば買える。」「北朝鮮はものがないから列さえできません。」「実に悲惨です。」

《 首都平壌と地方の格差についてよく聞くが、実際にはどの程度の差があるのか。 》

 「北朝鮮では、どこへ行くにも通行証が必要です。」「平壌には現在、200万人くらいの人が住んでいるが、」「決まった人だけが住んでいます。」「そこに住んでいても、何か少しでも過ちを犯したり、」「昔お金持ちであったり、韓国に親戚がいると分かったら、」「出身成分が悪いという理由で、地方に追い出されます。」

 「これが、しょっちゅう行われています。」「平壌に住む人を決めるのは、党中央です。」「平壌には、十分でなくても、配給というものがあります。」「地方の人々は、平壌に住むのが、一生の願いのようなものになっています。」

 「ここソウルに比べれば、平壌は信じられないくらい貧しい市ですが、」「地方の人々にすれば、そこが天国であり、」「そこに住むことが、特権なのです。」

 インタビューは17ページにわたって書かれていますが、転記したのはわずか1ページです。末川氏や小田氏たちは、北朝鮮のどこを見ていたのでしょう。この愚かしい日本人たちは、どれだけ北朝鮮に利用されていたと言えば良いのでしょう。日本にいる親北の政治家や活動家たちは、弾圧されている北朝鮮の庶民には、憎しみの的になっているのかもしれません。

《 アメリカや中国筋から、北朝鮮内で暴動が発生していると聞くが・・ 》

 「人民の生活があまりに悲惨なので、以前と比べて、一般の人々の不満が、」「少しずつ表面化しているという話を、私も聞いていますが、」「それは組織だった暴動でなく、単に食べ物欲しさに、」「一部の人が動いている、という程度のことだと思います。」

 「北朝鮮のような社会で、組織だった暴動を起こすには、」「大変な勇気が入ります。」「それこそ、命がけでやらねばならないことだし、」「果たして、一般人民がついてくるかというと、大いに疑問です。」

 「北朝鮮の体制は、1945年に植民地時代から解放された時点で、」「金日成が政権をとり、それ以降全く変わっていません。」「そんな状況の中で、一般人民、特にお年寄りは、今があるのは、首領様 ( 金日成主席 ) のおかげと思っています。」

 「外部の世界を知らされていないので、世界がどのように発展し、」「自由で豊かであるかなど、全く分かっていないのです。」

 「教育も、託児所から始まって、金日成以外は考えてはいけない、という状態に置かれます。」「パパ、ママという言葉より前に、〈 金日成首領様、ありがとうございます 〉という言葉を、教えられます。」「詩を書いたり、お絵描きをしたり、歌う時も、全てが、金日成に関するものばかりです。」

 「そうすることによって、金日成に対する尊敬と忠誠心を育て、」「同時にアメリカ、日本、韓国に対する敵愾心をはぐくむのです。」

 中国共産党も、毛沢東時代は個人崇拝が行われていましたが、北朝鮮ではさらに徹底しています。金賢姫は、警察の執拗な尋問にあっても答えず、寡黙だったと言われていますが、一旦罪を認めると、何もかも喋ってしまうようです。落合氏に聞かれていないことまで、説明しています。

 「学校の体育も、普通の運動でなく、アメリカ帝国主義者の顔を描いたものを前に置いて、」「誰がそれを一番強く蹴れるか、ということをやります。」「こういう教育が毎日繰り返され、」「幼稚園から、小学校、人民学校の教科書も、全てそういうものでいっぱいですし、中学校から、大学まで同じです。」

 彼女の話を聞けば、日本国内にある朝鮮人学校の教育が、この方針で行われていると考えるのが自然です。金日成への忠誠心を育て、反日教育をし、それを「民族教育」と呼んでいるのです。政府が、朝鮮人学校への助成金を出さないのは当然で、これを批判する野党議員たちの間違いが、彼女の証言で明らかになります。

 それでも北朝鮮政府に心酔している日本人が、国内にたくさんいます。こういう人間の思考回路がどうなっているのか、私はそのようなことを考えていません。騙されているか、何らかの利権で取り込まれているのか、そんな人間のことなど考えたくありません。

 息子たちや孫、あるいは親類縁者と友人知人が、北の事実を知り、反日・左翼たちの嘘に騙されなければと、それだけを考えます。気の重くなる話ですが、貴重な証言なので、次回も報告しなければなりません。

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