ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

1994年 世界は、 - 14 ( 落合氏の思考基準は正常か ? )

2020-09-05 22:33:46 | 徒然の記

 落合氏だけでなく、反日・左翼の人間たちは戦前の日本を批判する時、必ずドイツを引き合いに出します。氏は著書の中でドイツにロシアとアメリカを加え、日本は見習えと主張しています。

 シベリアで30万人の日本人捕虜を強制労働させたロシアには、見習うものがないことを、前回のブログで説明しました。本日はドイツとアメリカについても、「慰安婦問題」と並べること自体が間違っている点を、紹介したいと思います。

 一般にドイツの犯罪は「ホローコスト」、アメリカの犯罪は「日系人の強制収容問題」と呼ばれています。

  《 1.  ホローコスト  》

  ・ホロコーストで犠牲となったユダヤ人は、600万人以上と言われている。

  ・同時期にナチスの人種政策によって行われた、ロマ人、精神障害者、反社会分子、同性愛者等に対する迫害も、ホローコストに含んで語られることもある。

  ・独ソ戦における戦争捕虜、現地住民の飢餓や、強制労働による死亡者に対しても「ホローコスト」の語が使用されることもある。

  ・広い概念でとらえた場合の犠牲者数は、900万から1,100万人にのぼるとする説がある。

  《 2.  日系人の強制収容問題  》

  ・1942 (  昭和17 ) 年から1946 (  昭和21 ) 年に実施され た、日本人移民の強制収容所への収監政策である。

  ・大統領令が発令された1942年2月下旬から、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州などと、準州のハワイから、日系アメリカ人と日本人移民約12万人が、強制的に立ち退きを命ぜられた。

  ・強制収容所は、人里離れた内陸部、その多くは砂漠地帯に設けられていた。バラック建の粗末な建物で、周囲は逃亡を防ぐため、有刺鉄線のフェンスで外部と完全に隔てられ、警備員の銃口は常に収容所内に向けられていた。

  ・ドイツ系とイタリア系アメリカ人の収容者は、短期間で釈放されたが、日系人の収容は長期におよび、財産の放棄や売却を余儀なくされた。

 「日系人の強制収容問題」は、日本のマスコミがほとんど伝えませんので、あった事実さえ知らない国民人が多数だと思います。私もその一人で、アメリカが日本人に賠償金を払い、謝罪したと言うニュースを見て初めて知りました。過去の事件を自ら検証し、償いをしたのですから、さすがにアメリカは「移民の国」で、「人権尊重の国」と、感心したことを覚えています。

 大東亜戦争の末期、ドイツとイタリアと日本は、アメリカには敵性国家でした。帰化していても、三国出身の移民への警戒心がいかに強かったかを示す事件でした。

 事件を知るほどに、米国政府の仕打ちの不当さが明らかになりました。同じ白人であり、宗教が共通するドイツとイタリア系の移民はすぐに解放しましたが、日本人だけは違っていました。12万人と言う日系移民が、着の身着のままで、砂漠の粗末な収容所に4年間も入れられ、脱走者は射殺されています。

 日系移民には何の罪もありませんでしたが、アメリカは日本人の忠誠心を疑い、スパイの嫌疑をかけ、荒れ果てた砂漠に隔離しました。この非人道的で差別的仕打ちに、抗議の声を上げる米国人もいて、戦後の謝罪につながりました。多くの米国人にとっては、心の痛む「人種差別」であり、犯罪行為に等しいものでした。

 この二つの事件を、「慰安婦問題」と並べる落合氏の思考基準に、疑問を感じます。「慰安婦問題」は、俗な言葉で言えば、「対価を得てした売春行為」の話です。しかしこれは、親に売られ女衒に騙され、軍人相手の店で働かされた薄幸な女性たちを軽視する意見ではありません。

 「慰安婦問題」は、昭和11年に起こった、2・26事件の原因の一つになっています。事件の起こる6年前、金輸出解禁と世界恐慌により、日本は深刻な不景気(昭和恐慌)に見舞われていました。企業が次々と倒産し失業者であふれ、農村では作物の価格が下落し、農村恐慌と言う言葉が生まれました。生活苦に耐え切れず、娘を女郎屋に売る親たちがいました。

 原因は国際的なものでしたが、一部の財閥と政治家と軍人が贅沢をしていました。事件を起こした青年将校の多くは、農村出身者でしたから、自分の姉や妹が、売春婦として売られていくのは政治が悪いと怒りを燃やしました。「昭和維新」を決起の誓いとして、彼らは反乱を起こしました。

 こうした歴史を持つ日本人が、「慰安婦問題」を軽視するはずがなく、ただ氏のよう「ホローコスト」や「日系人の強制収容問題」と並べることに、違和感と疑問を感じるのです。「慰安婦問題」は、世界のどこにでもある事実ですが、「ホローコスト」と「日系人の強制収容問題」は、ドイツとアメリカでしか起こっていない問題です。

 ドイツ人と、アメリカ人が自身で反省と自責の念を持っているのですから、糾弾されても彼らは納得します。しかし世界中にある「慰安婦問題」で日本だけを糾弾し、世界一の悪者だとか、幼児的民族として蔑まれ、嫌われ続けるなど、どうしてそんな話になるのでしょう。

 しかも慰安婦問題は、ペテン師吉田清治の「ウソ」から始まり、植村隆の捏造記事で世間に広まったと知れば、日本人が納得するのでしょうか。

  息子たちと、「ねこ庭」を訪問される方々に尋ねます。落合氏が言うように、「これで日本という国、日本人の全てが批判・攻撃されて当然。」と思うのでしょうか。私は、ノーと言います。

 今回で終わらせるつもりでしたが、いまひとつ残る氏の間違いを報告せねばなりません。あと一回だけ続けます。

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1994年 世界は、 - 13 ( 時の流れの検証に耐えられない著作 )

2020-09-05 15:56:15 | 徒然の記

 今回は、落合氏の著作の転記から始めます。

 「慰安婦問題が市民の間で、公然の事実として囁かれながら、」「これまで表面化しなかったのは、貞操観念が極めて高い韓国では、」「とても名乗り出られなかったという、事情がある。」「それにもかかわらず、彼女たちが、勇気を奮い起こして名乗り出たのは、」「このままでは死に切れない、自分の一生をめちゃくちゃにした償いを、」「日本にさせるという、" 恨  " の思いがあったからだろう。」

 読むたびに怒りが抑えられなくなる、氏の叙述です。氏は慰安婦の数は日本人の方がはるかに多いと言う事実を知っていたのでしょうか。にもかかわらず、名乗り出ている日本人女性がいないと言う事実の重さを、一度でも考えたことがあるのでしようか。貞操観念の高さを語るのなら、名乗り出ない日本女性の方ではないのでしょうか。

 「1993 ( 平成5  ) 年8月末のある日、私は韓国人の知人の案内で、」「ソウル市麻浦区にある、元慰安婦の家を訪ねた。」

 彼女たち6人との対話が、9ページに渡って語られます。対話の中身は、日本軍と日本人への恨みと怒りです。

 「旧日本軍が、植民地朝鮮の一般女性を騙して慰安婦にしたのは、」「占領地での軍人の性処理と、性病予防のためと思われる。」「特に軍首脳が恐れたのは、梅毒の蔓延だったらしい。」

 「当初軍は、売春婦を慰安婦として駆り出していたが、」「兵士への感染が、深刻化していた。」「日中戦争以後、外地へ行くへ兵士が急増し、女性を多数確保する必要性が出てきた。」

 「そのため、素人の女性を慰安婦にするという、」「 〈 魔の計画  〉が生まれたようだ。」「計画は各占領地で実行に移され、約20万人の女性が慰安婦にさせられたという、調査もある。」

 20万人という数字や、素人の女性が突然日本軍に連行されたという話は、韓国の反日団体が、世界各地に作った慰安婦像の説明文として刻んでいます。朝日新聞が、吉田清治の記事を削除して以来、根拠のない数字と強制連行大ウソが判明しました。しかしこの数字と言葉が一人歩きし、今も世界で日本人批判のため使われています。

 氏はこの捏造話を事実であるように、著書で述べています。氏が朝日新聞に歩調を合わせ、日本叩きに参加していたと言うことになります。

 「一部の日本人は、補償は全て国家間で終わっているから、」「今更その必要はない、という。」「次から次へと名乗り出てくる人にも、支払わねばならず、」「そんなことをしていたら、キリがないと言う人もいる。」「言語道断な考え方だ。」「心から謝罪するつもりなら、そんな言葉は吐けないはずだ。」

 「時間を逆戻りさせて、もう一度彼女たちに人生を与えることはできない。」「ならば、でき得る最高のことをするしかない。」「それは、心からの言葉と、金を含めた真の謝罪である。」

 氏のような意見を、数え切れないほど聞いてきました。総理が変わるたび謝っても、都度韓国人たちは、「心からでない」「真の謝罪でない」と攻撃しました。彼らの言う「心から」とは、何を指しているのか。「真の」とは、何なのか。抽象的な基準には、ゴールがありません。多くの日本人には、次第に韓国政府と韓国人に対する不信と嫌悪感が生れました。

 韓国人とすっかり同じことを、氏が著作で繰り返しています。氏と同じ有名人で、日本を糾弾する人物に大江健三郎氏がいます。氏は韓国人から「良心的日本人」と呼ばれ、反日活動家の支えになっています。落合氏の言葉を読むと、氏もまた韓国では、「良心的日本人」の一人なのだろうと思いました。

 「真の謝罪ができなければ、日本人はこれからも、」「幼児的民族として、蔑まれ、嫌われ続ける。」「日本が大人の国として、扱われたいのなら、」「ドイツやアメリカの戦後処理を、見習うべきだ。」

 「ドイツは、いまだにナチスの残虐行為を謝罪し、」「新たな被害者を見つけたときには、補償に応じている。」「アメリカは、戦後43年を経過した年に、日本人のみを、収容所に強制移住させた過ちを認め、」「謝罪するとともに、補償金を支払っている。」

 「このように彼らは、犯した罪に背を向けず、真正面から取り組んでいる。」「ドイツやアメリカにできることが、日本にはなぜできないのだろうか。」「世界に通じない理屈を、並べ立てる時は過ぎた。」「今問われているのは、日本という国家と、」「日本民族の良心と、正義の心なのだ。」

 「時の流れが事実を明らかにする」という言葉がありますが、それを実感しています。平成5年当時なら、氏の感動的な意見は、多くの日本人に、さらなる反省と贖罪意識を促したのかもしれません。

 しかし今は、「世界に通じない理屈を、並べ立てる時は過ぎた。」と、そっくり同じ言葉を、氏に返せます。朝日新聞が、吉田清治の大ウソを記事にした間違いを認めた時から、20万人という数字が消えました。氏の著作に残された空疎な言葉だけが生き続けます。

 氏の意見は、「時の流れの検証」に耐えられない、粗末な感情論だったということです。次回は氏の間違いを、正しい事実で修正したいと思います。

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