落合氏だけでなく、反日・左翼の人間たちは戦前の日本を批判する時、必ずドイツを引き合いに出します。氏は著書の中でドイツにロシアとアメリカを加え、日本は見習えと主張しています。
シベリアで30万人の日本人捕虜を強制労働させたロシアには、見習うものがないことを、前回のブログで説明しました。本日はドイツとアメリカについても、「慰安婦問題」と並べること自体が間違っている点を、紹介したいと思います。
一般にドイツの犯罪は「ホローコスト」、アメリカの犯罪は「日系人の強制収容問題」と呼ばれています。
《 1. ホローコスト 》
・ホロコーストで犠牲となったユダヤ人は、600万人以上と言われている。
・同時期にナチスの人種政策によって行われた、ロマ人、精神障害者、反社会分子、同性愛者等に対する迫害も、ホローコストに含んで語られることもある。
・独ソ戦における戦争捕虜、現地住民の飢餓や、強制労働による死亡者に対しても「ホローコスト」の語が使用されることもある。
・広い概念でとらえた場合の犠牲者数は、900万から1,100万人にのぼるとする説がある。
《 2. 日系人の強制収容問題 》
・1942 ( 昭和17 ) 年から1946 ( 昭和21 ) 年に実施され た、日本人移民の強制収容所への収監政策である。
・大統領令が発令された1942年2月下旬から、カリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州などと、準州のハワイから、日系アメリカ人と日本人移民約12万人が、強制的に立ち退きを命ぜられた。
・強制収容所は、人里離れた内陸部、その多くは砂漠地帯に設けられていた。バラック建の粗末な建物で、周囲は逃亡を防ぐため、有刺鉄線のフェンスで外部と完全に隔てられ、警備員の銃口は常に収容所内に向けられていた。
・ドイツ系とイタリア系アメリカ人の収容者は、短期間で釈放されたが、日系人の収容は長期におよび、財産の放棄や売却を余儀なくされた。
「日系人の強制収容問題」は、日本のマスコミがほとんど伝えませんので、あった事実さえ知らない国民人が多数だと思います。私もその一人で、アメリカが日本人に賠償金を払い、謝罪したと言うニュースを見て初めて知りました。過去の事件を自ら検証し、償いをしたのですから、さすがにアメリカは「移民の国」で、「人権尊重の国」と、感心したことを覚えています。
大東亜戦争の末期、ドイツとイタリアと日本は、アメリカには敵性国家でした。帰化していても、三国出身の移民への警戒心がいかに強かったかを示す事件でした。
事件を知るほどに、米国政府の仕打ちの不当さが明らかになりました。同じ白人であり、宗教が共通するドイツとイタリア系の移民はすぐに解放しましたが、日本人だけは違っていました。12万人と言う日系移民が、着の身着のままで、砂漠の粗末な収容所に4年間も入れられ、脱走者は射殺されています。
日系移民には何の罪もありませんでしたが、アメリカは日本人の忠誠心を疑い、スパイの嫌疑をかけ、荒れ果てた砂漠に隔離しました。この非人道的で差別的仕打ちに、抗議の声を上げる米国人もいて、戦後の謝罪につながりました。多くの米国人にとっては、心の痛む「人種差別」であり、犯罪行為に等しいものでした。
この二つの事件を、「慰安婦問題」と並べる落合氏の思考基準に、疑問を感じます。「慰安婦問題」は、俗な言葉で言えば、「対価を得てした売春行為」の話です。しかしこれは、親に売られ女衒に騙され、軍人相手の店で働かされた薄幸な女性たちを軽視する意見ではありません。
「慰安婦問題」は、昭和11年に起こった、2・26事件の原因の一つになっています。事件の起こる6年前、金輸出解禁と世界恐慌により、日本は深刻な不景気(昭和恐慌)に見舞われていました。企業が次々と倒産し失業者であふれ、農村では作物の価格が下落し、農村恐慌と言う言葉が生まれました。生活苦に耐え切れず、娘を女郎屋に売る親たちがいました。
原因は国際的なものでしたが、一部の財閥と政治家と軍人が贅沢をしていました。事件を起こした青年将校の多くは、農村出身者でしたから、自分の姉や妹が、売春婦として売られていくのは政治が悪いと怒りを燃やしました。「昭和維新」を決起の誓いとして、彼らは反乱を起こしました。
こうした歴史を持つ日本人が、「慰安婦問題」を軽視するはずがなく、ただ氏のよう「ホローコスト」や「日系人の強制収容問題」と並べることに、違和感と疑問を感じるのです。「慰安婦問題」は、世界のどこにでもある事実ですが、「ホローコスト」と「日系人の強制収容問題」は、ドイツとアメリカでしか起こっていない問題です。
ドイツ人と、アメリカ人が自身で反省と自責の念を持っているのですから、糾弾されても彼らは納得します。しかし世界中にある「慰安婦問題」で日本だけを糾弾し、世界一の悪者だとか、幼児的民族として蔑まれ、嫌われ続けるなど、どうしてそんな話になるのでしょう。
しかも慰安婦問題は、ペテン師吉田清治の「ウソ」から始まり、植村隆の捏造記事で世間に広まったと知れば、日本人が納得するのでしょうか。
息子たちと、「ねこ庭」を訪問される方々に尋ねます。落合氏が言うように、「これで日本という国、日本人の全てが批判・攻撃されて当然。」と思うのでしょうか。私は、ノーと言います。
今回で終わらせるつもりでしたが、いまひとつ残る氏の間違いを報告せねばなりません。あと一回だけ続けます。