「メタンハイドレート」の有効性を探求するため、最初のプロジェクトを開始したのは平成 7 ( 1995 ) 年の村山内閣でした。
当時の石油公団 が民間10社を率いて、特別研究「メタンハイドレート開発技術」を設立しています。以来小渕内閣、小泉内閣、麻生内閣、安倍内閣と歴代の内閣が引き継ぎ、今日で30年が経過しています。
シリーズの第1 回目に高市氏が語っていた様に、令和5年度の日本のエネルギー自給率は依然として15.2 %という低さです。青山氏は、開発の遅れの原因が経済産業省にあると説明していますが、30年が経過しても実用化の目処が立たない背景には、やはり海底資源掘削に技術的な困難さがあるのではないかと考えられます。
青山氏を「ほら吹き」と揶揄する意見もありましたので、シリーズの3 回目に「 青山氏の意見は根拠のない嘘なのか ? 」というタイトルで検討しました。村山内閣以降の取り組みを調べますと、氏の意見が根拠のないものでないことが分かりました。
空理空論のため歴代の内閣が予算を投じて、海底資源の開発研究を続けるとは考えられないからです。再検討のため、シリーズ 3回目で調べた事実を下記に転記しました。
〈 平成11年 ( 1999 ) 小渕内閣 〉
・「南海トラフ」で、日本の海洋で初めての「砂層型メタンハイドレート」の存在確認。
〈 平成13年 ( 2001 ) 小泉内閣 〉
・経済産業省「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」を発表、本格的な開発研究開始。
・開発計画をけん引する、「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」(通称、MH21)設立
・、東部南海トラフ海域、カナダ・マリック地域で掘削調査、産出試験を実施、メタンハイドレート開発に必要な技術の検証。
〈 平成20年 ( 2008 ) 麻生内閣 〉
・日本近海が、世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を持つと確認。
〈 平成24年 ( 2012 ) 安倍内閣 〉
・「海洋エネルギー資源開発促進日本海連合」( 略称「日本海連合」)設立。
・青森県、秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県、福井県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、山口県など、日本海沿岸の12府県による連合組織。
・同連合は本格的な調査・試験が実施されていない」として、経産省に日本海側での予算の確保を要請。
〈 平成25年 ( 2013 ) 安倍内閣 〉
・渥美半島~志摩半島沖(第二渥美海丘)で、世界初の海洋産出試験を実施。
・約12万立方メートル(速報値)のガスを生産、メタンハイドレート開発の機運が高まった。
・通商産業省の新たな「海洋基本計画」と「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」が改定。
・商業化プロジェクトに向けた目標を初めて設定し、海洋産出試験を含む工程表を提示
〈 平成26年 ( 2014 ) 安倍内閣 〉
・「日本メタンハイドレート調査株式会社 ( JMH ) 」を、次の目的で設立
1. 国が実施するメタンハイドレート開発の、海洋産出試験等に参画。
2. 挙国的組織体制で、効率的、効果的、円滑に業務を遂行。
3. 国内民間企業間での知見の共有のため、石油・天然ガス開発企業、エンジニアリング企業11社が賛同・参加
〈 平成27年 ( 2015 ) 安倍内閣 〉
・メタンハイドレートの実用化と開発加速化のため、「日本海連合」に青森県、山口県が加入。
同時期に欧米諸国は「海底資源の掘削」にどの様に対処していたのか。歴代内閣がどの程度の資金を投入していたのかなど、資料がありませんので分かりませんが、日本が独自に探査を始め、掘削技術の研究に取り組んだとは考えにくい話です。
青山氏が【僕らの国会】で、こうした経緯を説明したのを聞いたことがありません。複雑な話なので省略したのかとも思いますが、歴代内閣の取り組み実績を調べ、「ねこ庭」はまた新たな疑問を抱きました。
氏の説明によると「メタンハイドレート」問題に取り組んできたのは、かって氏が社長を勤めていた「株式会社 独立総合研究所」です。
平成13年の小泉内閣の時、経済産業省が設立した「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」(通称、MH21)や、平成26年の安倍内閣が設立させた「日本メタンハイドレート調査株式会社 ( JMH ) 」の名前は出てきますが、「株式会社 独立総合研究所」の名前がどこにも出てきません。
・氏が説明する様に同社が日本のパイオニア企業であるとするのなら、30年間の活動実績の中でなぜ同社の動きが語られないのか。
【僕らの国会】での氏の説明を信じ、氏を支援してきた「ねこ庭」には、素朴であるだけに重要な疑問になります。
次回は初心に戻り、氏の経歴と「株式会社 独立総合研究所」について検討したいと思います。ご存知の方はスルーしてください。