田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

霊視/夕日の中の理沙子( 2)  麻屋与志夫

2009-01-09 10:24:49 | Weblog
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「ふつうでは、みえなしものを、見ることができる能力はふいに目覚めるのよ」

浮遊霊が手を伸ばした。

玲菜のほうにすがるように両手を伸ばしている。

妖気が濃く渦巻く中から腕だけが伸びてくる。

「さがって。とりこまれないで」

「理沙子さん。あなた、強そう。お幾つ」

その場にもっともふさわしくないことを訊ねた。

(わたし……おかしい……?????????????)

逃げなければならないのに。おかしな質問をしている。

他人事のようにじぶんをかんがえている。

「操高校三年A組。十八歳。川村理沙子。少林寺拳法を少しカジッテいるから」

いまここに迫る危機。それを目前にして冷静な声が玲菜の問いに応えている。

それで玲菜はパニックに落ち込まないですんだ。

浮遊霊の腕があわや玲菜に触れようとした。刹那。

「オモドリナサイ」

理沙子が裂帛の気合をかけた。

消えた。渦のなかから伸びてきていた腕が消えた。

伸ばしてきてすがるように手が動いていたのに。

消えた。

恨みの指が、まさに玲菜を捕えようとしたのに。

消えた。

「ことばなんて、なんでもいいの。消滅させる気迫をこめることなの」

釈由美子の「おゆきなさい」のノリで指をつきだした。

オウヴァなジェスチャ……にたいするテレがいわせたことばだった。

(操高校の生徒。優秀なんだ)

玲菜も地元出身だから高校のランク付けにはくわしい。

おいそれとは合格できる女子高校ではない。

玲菜と理沙子はオリオンスクエアにもどってきていた。
 
       

「こちらは……? どなた」

「わたしのファン。理沙ちゃん」

高内さんは、なにもいわなかつたけど、怪訝な顔をしていた。

(わたしが、またおかしなクセをだしたとおもっている。そういう顔をしていた。

わたしのわるいくせ。『美少女狩り』。そんな場合じゃないのに)

「理沙子さん。あとでgroovyで会いましょう」

「グルーヴィね。わかったわ」

       




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ああ、快感。