真夜中になっているだろう。広い地下街は光に満ちている。
「高内さんに、連絡しといてよかった」
「心配されなかった」
理沙子のほうがまるで年上のかんじがする。
「飲んで外泊するの常習だから」
エレベーターで地下二階までおりた。
5
夏休みだった。
コウジは大学生。
理沙子は操女子高校生なって。
はじめてのデートだった。
オリオン通りのピザ屋。
思いでの場所。
ふたりはトレビの泉で食事することにした。
東京からくるコウジを駅で出迎えたかった。
コウジがことわった。
照れてるんだわ。
そのコウジが遅刻している。
胸騒ぎがして店をでた。
アーケード街を走りだした。
枯れ草のきついにおいがしていた。
なんなのこのにおい。
コウジに危機がせまっている。
携帯できないほどだ。
なにか起きてる。
コウジの性格からいって。
連絡してこないなんておかしい。
アーケードのつきるあたりに。
濃い霧の柱がうごめいていた。
その中心にコウジがいた。
喉をしめあげられている。
口をくるしそうにあいている。
口腔から青い息がもれていた。
それを輪郭のぼやけた人型のものにすわれていた。
コミックみたい。
理沙子は頭の隅でそうおもった。
おもったときには少林寺拳法で鍛えた走りとび蹴りを――。
人型めがけてはなった。
ドスツ!!!
まさにコミックの世界だ。
壁をけった。
感触。
吸血鬼の面。
ゴム面をつけたヤクザだ。
「カモネギかよ」
面をつけた男がいった。
なにをいわれたのか理沙子にはわからなかった。
「げんきな女の子だ。おう、いてえ、いてえ」
霧の中から男たちが実体化した。
三人いた。
「コウジを離しなさい」
「いさましいな」
「気にいった。おまえの精気もすってやる」
「いいからだしている。おいしそうだ」
三人ですきかってなことをいっている。
「理沙子。逃げるんだ」
「コウジこそだいじょうぶ」
「こいつらニンゲンじゃない」
「なにいつてるの。コウジこそさきに逃げて」
「おやおや。しりあいか。それも恋人同士とみた」
その危ういときに。翔太にたすけられたのだ。
病院につくまでに理沙子の説明がおわっていた。
「それいらい彼はこのとおりよ」
「わたしも……こうなっていたかもしれないのね」
「まちがいなく……」
one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
↓
ああ、快感。
「高内さんに、連絡しといてよかった」
「心配されなかった」
理沙子のほうがまるで年上のかんじがする。
「飲んで外泊するの常習だから」
エレベーターで地下二階までおりた。
5
夏休みだった。
コウジは大学生。
理沙子は操女子高校生なって。
はじめてのデートだった。
オリオン通りのピザ屋。
思いでの場所。
ふたりはトレビの泉で食事することにした。
東京からくるコウジを駅で出迎えたかった。
コウジがことわった。
照れてるんだわ。
そのコウジが遅刻している。
胸騒ぎがして店をでた。
アーケード街を走りだした。
枯れ草のきついにおいがしていた。
なんなのこのにおい。
コウジに危機がせまっている。
携帯できないほどだ。
なにか起きてる。
コウジの性格からいって。
連絡してこないなんておかしい。
アーケードのつきるあたりに。
濃い霧の柱がうごめいていた。
その中心にコウジがいた。
喉をしめあげられている。
口をくるしそうにあいている。
口腔から青い息がもれていた。
それを輪郭のぼやけた人型のものにすわれていた。
コミックみたい。
理沙子は頭の隅でそうおもった。
おもったときには少林寺拳法で鍛えた走りとび蹴りを――。
人型めがけてはなった。
ドスツ!!!
まさにコミックの世界だ。
壁をけった。
感触。
吸血鬼の面。
ゴム面をつけたヤクザだ。
「カモネギかよ」
面をつけた男がいった。
なにをいわれたのか理沙子にはわからなかった。
「げんきな女の子だ。おう、いてえ、いてえ」
霧の中から男たちが実体化した。
三人いた。
「コウジを離しなさい」
「いさましいな」
「気にいった。おまえの精気もすってやる」
「いいからだしている。おいしそうだ」
三人ですきかってなことをいっている。
「理沙子。逃げるんだ」
「コウジこそだいじょうぶ」
「こいつらニンゲンじゃない」
「なにいつてるの。コウジこそさきに逃げて」
「おやおや。しりあいか。それも恋人同士とみた」
その危ういときに。翔太にたすけられたのだ。
病院につくまでに理沙子の説明がおわっていた。
「それいらい彼はこのとおりよ」
「わたしも……こうなっていたかもしれないのね」
「まちがいなく……」
one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
↓
ああ、快感。