田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

霊視/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-15 22:03:31 | Weblog
「覚連の宵街翔太だ」

「Dの犬森サブロウ」

「サブロウ君か」

「あなどらないでね。ぼくらは、みかけどおりの歳ではないから……」

少年の姿がアーケイド街の照明のもとで陽炎のようにゆがむ。

そのゆらぐ姿の後ろにとほうもない年月を生きた吸血鬼の面影がダブる。

「あっ!! このにおい」

玲菜がつぶく。

なにか気づいた。

おびえている。

「そう。これが吸血鬼の体臭。

とくに攻撃パターンにはいりコウフンしたときにおい」

「大麻タバコとおなじにおいだわ」

「いがらっぽい枯れ草のにおいよね」

と理沙子があいづちをうつ。

サブロウのまわりにただよっていた乳色の人型がリアルになってくる。

「くるぞ」

翔太が理沙子に警戒をうながす。

人型は吸血鬼となる。

べつにふつうの若者とかわりはない。

吸血鬼におそわれるという先入観があった。

だからそう見えた。

ごくあたりまえの。

だが危険な雰囲気をただよわせた。

若者の群れにとりかこまれていた。

正面から蹴りが理沙子をおそう。

かるく跳んでかわす。

「覚連のヤッラだ。つぶせ」

つぶせ!

つぶせ!!

つぶせ!!!

陰気な掛け声だ。

不気味に声だ。

悪意のこもった声だ。

3

玲菜にはなにもほとんどみえない。

翔太と理沙子が演武を披露しているようだ。

でもときおり濃い乳白色の霧が。

二人の周囲でひろがったりせばまったりしている。

そしてそのなかになにかいるらしい。


one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。