田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

霊視/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-10 22:25:50 | Weblog
マルウオドロンのレフトアロンがかかっていた。

「どういうことなの? わたしはどうなってしまったの」

席につくと玲菜が不安げな顔でいう。

理沙子はゆっくりとコーヒーをのんでいる。

ストレートでのんでいるらしい。

シュガーのパックもミルクも受け皿のはしにおいてある。

「なにからはなしたらいいのかしら」 

「どうして幻覚をみるの? わたし気が狂いそう……」

「幻覚なんかじゃないの。かれらは存在するのよ。ただ、目覚めた者にしかみえな

いだけなの」

いくら説明されても、玲菜には理解できなかった。

このときキーンという金属音が起きた。

「きたわ。玲菜さんピアノひいて。みんなの意識をあなたの方へ引きつけておい

て」

玲菜は金属音で頭がえぐられるようだ。

必死でピアノにむかった。

なんどかテーブルのかどにつきあたった。

そのつどいやな顔をされた。

ピアノの蓋をあけた。

「あっ。宇津木玲菜さんです。宇都宮の出身のジャズシンガー玲菜さんが弾き語り

を披露してくれそうです。このすばらしいハプニングに拍手をおねがいします」

玲菜に気づいたマスターがうまくその場をとりつくろった。

玲菜の視野の隅で理沙子が異形のものと戦っている。

わからないの。

だれにも見えないの。

あそこで、理沙子が戦っている。

すこし机がゆれた。

すこしおかしなもの音がした。

すぐそばで空気がゆらいだ。

それくらいにしか、意識できないのだろうか。

それだけでも、意識できたものは感性がするどいほうなのだろう。

玲菜はピアノをひきつづけた。

ふいに男が参戦した。

どうやら、理沙子の味方らしい。

異形の者がおびえている。

「おまたせ」

「もう、遅刻もいいとこよ」

理沙子が男にいった。

「ずつとそばにいた。みはつていたんだ」

「だったらサインくらいおくってくれればいいのに。翔太がいないとまだわたしひ

とりだと自信がないのよ」

「玲菜さんは納得した? どうなんだ」

わたしのこと話している。

それにこの騒音なのに、ピアノも鳴り響いているのに。

どうしてあのひとたちの声がわたしにはきこえるの。

異形の者に翔太が指弾で銀の玉をうちつけた。



       




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。