田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ダーリン、また来たわ/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-27 17:53:53 | Weblog
第四章 吸血鬼シェルター

1

「あっ、今宮神社の鳥居が見える」

「理沙子、だいじょうぶ? ここは、宇都宮よ。

今宮神社があるのはわたしたちの故郷神沼じゃない」

「吸血鬼とたたかっていると風景までぶれてくるの。

風景や人物が重なったり。見えないものが見えてくるの」

ふたりは脚力ではどうやら。

バイクにばかりのっている。

サターンのメンバーに勝っていた。

どたどたとした足音はまだパルコの角をまがってこない。

追っては、屋台村のあたりだろう。

「はやく。キヨミ。

さっき、わたしたシルバーリングをここにおしあてて」

凹凸デザインの大ぶりなリングがキヨミの指にはまっている。

「ヤッラ! きたわよ。

いまパルコの横からあらわれた!!」

「ここってどこよ?……?? わかない」

「あっ。見つかった。こっちにはしってくる。はやく! はやく!! いそいで!!!」

「どこよ」

「わかった。キヨミが高すぎるのよ。もっと低いとこ。わたしの背丈くらいのとこ

凹凸がある」

「みなまでいうな。わかつてそうろう」

キヨミの時代がかったかけごえに。

理沙子がどっとこけた。

カチっと音がした。鳥居の基底部がするするとスライドした。

理沙子もキヨミのあとにつづいた。

その背後でスライドドアが。

自動的にしまる。

「つかまって」

理沙子がキヨミにかけごえをかける。

鉄のポールにつかまって下降する。

「吸血鬼シェルターよ。

ふつうはここに隠れて夜明けを待つの」

「鳥居があたらしくなったとおもっていたら、こんな仕掛けがてきいたの」

「覚醒者にしかしられていないけどね」

「ここのシェルターは本部までの通路があるの。助かったわ」

地下道を5分もあるくと塙トンネルの地下街に出た。

2

「はい、コウジまたきちゃった。

キヨミがお見舞いにきてくれたよ」

病室にはいったキヨミが絶句した。

「こんなことになっていたの。

さっきはごめんね。

あたらしい彼氏なの。

なんて翔太さんのことでひやかして」

「あちらはわたしのボス。

こちらがごぞんじわたしのダーリン。

コウジ」

理沙子は悲しくなった。

涙がほほをつたっていた。






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ああ、快感。



タッパがちがう/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-27 11:06:10 | Weblog
4

「おれは……」

もごもごと宝木が唇をうごかす。

「おれは、キョミがすきなんだ。

だからいつも、レデイスの「黒髪」にけんかふっかけていた。

けんかがおれにはキヨミとのデートだった」

「いきなり、告くらないでよ。

わたしとあんだではだめ。

つりあわない」

「どうしてだ」

「迷彩服きた竹串のわたしと。

皮ジャンのダンゴじゃ。

さまにならないよ」

たしかに、タッパがちがいすぎる。

身長差。

20cmはある。

「サターンのヘッドをオチョクルきか!!!」

宝木の配下の黒のトレンチコートのオニイサンこたちがキレル。

いっせいに、おそいかかってきた。

「吸血鬼になれば、ひとの血と精気だけ吸っていきられる。

脂肪分をとらないから。

ヤセテ、背丈だっておとこは25の朝飯前までのびるっていうからな」

まだぼそぼそつづけている。

「バカか、宝木。そういうこと人前でいうことか」

キヨミが同情した。

シュンとした声になる。

「だから、すすんで噛まれた」

「逃げよう。こんなサビシイこというおとこと戦えないよ」


ようやくキヨミも逃げることに同意した。

そうときまれば長いストライドで。

脱兎ならぬ。

キリンのごとく。

夜の底を。

はしりだした。








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