田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

駐車場で襲われたら?/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-01-05 15:42:02 | Weblog
3

広い駐車場。
葛飾区立石のMスーパーの駐車場だ。
男子学生が追われている。
白昼だというのに。
中年の背の高い男がナイフを持っている。
「殺してやる」
男はわめいている。
男は目だし帽をかぶっている。
顔を隠す。
いや、日光をさけるためらしい。
ときどき、立ち止まる。
目を細め。
太陽を見あげる。
そしてまた追いかける。
追いかけて「殺してやる」と叫ぶ。
大勢の人が見守っている。
だれも止めようとはしない。

「わたしクノイチ48の携帯したシ」

女子中学生が興奮している。
5人くらいかたまっていた。

「追われてるコ、どこの中学? 見たことないね」

駐車場はネットヘンスで囲われている。
学生は外に逃げることができない。
男は狩をしているようだ。
ウサギでもおいつめるようだ。
たのしんでいる。

「殺すぞ」
「たすけて。だれか。たすけて」
だれも動けない。
じぶんの身がかわいいのだ。
じぶんが標的になったら――怖い。
動けない。
空には東京スカイツリーの展望台が見えている。

「まだなの。クノイチ」

このとき、店からジーンズに黒のジャンパーの少女がさっと跳びたしてきた。
ナイフ男の前にはだかっさた。

「わたしまだ買い物すんでないんだよね」
「だれだ、アンタァ」
「あててごらん」

学生がソバにへたりこんでいた。
腕から血を流している。
一瞬ナイフがきらめいた。
少女ははてにしたポリブクロを男の顔面にたたきつけた。
特殊警棒で男の手首をたたいた。
ナイフが落ちた。
コンクリートの床で大きな音を立てた。
周りの人が息をのんで見つめていた。
静かだった。
ナイフは二三度小さく跳ねた。

「ちくしょう。だれだ」

「クノイチよ。わたしたち街にも、クノイチ48がすんでいたんだぁ」
「カンゲキダネ」

学生は青白く震えていた。

「きみ、はやく病院にいったほうがいいよ。わたし買い物つづけるね」

「わあ!! かっこいい」

歓声をあとに少女は店にもどっていった。
とおくでパトカーの警笛の音かする。


上野公園。
厳冬の寒々とした樹木の風景がここかしこに広がっている。
炊き出しに群れているホームレスを目だし帽の男たちが襲っている。

茨城県の駐車場で学生が背中を刺された。

各地各場所でナイフによる殺傷事件がおきている。

怖いことだ。吸血鬼の影響だ。


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