田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

地下テンプルへようこそ3/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-01-25 14:05:05 | Weblog
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「あっ。法師だ。どこにいたのよ!! おれたち、あんたがいないとダメだよ!!! たすけてくれよ!!!!」

 五体満足な浮浪者は闇法師にすがってきた。
 足を鉤爪で斬りおとされて這い寄ってくるものもいる。
 みんな、痛みと恐怖で子どものように泣いている。
 戦う気力などない。
 吸血鬼は選別している。
 従者として使えるか?
 それが基準だ。
 使えると選ばれた者は――軽く噛まれる。
 レンフイルド。RFとなる。

「許さん。われわれホームレスをくいものにする、のは許さん」
「わたしたちインベーダーね。侵略するのが好きなのよ」

 なにかおかしなことばだ。
 なにか理屈をいっている。

「なんでもいいから、おれの仲間からはなれるんだ」

 エイドリアンのほかのメンバーがロックを演奏する。

「ロックンロール!! やっちまえ!!!」
 マスターの命令だ。
 吸血鬼となりたてのRFがおそってくる。

「RFは斬らないで。血清で治療できるから……」

 深く噛まれたもの。
 体を引きちぎられた犠牲者。
 喉から血を噴いているホームレス。
 かれらをヨソ眼にバトルは再開された。
 いま助けてあげる。
 かならず助かるから。
 そのおもいは美少女剣士、すべてのものだった。
 そして恋人純を失いかけた翔子には。
 その思いは――、
 ホームレスのひとたちを救いだしたい。
 そのおもいはひといちばい強かった。

「百子。あのひと、闇法師の剣さばきみて」
「伊賀の小太刀」
「わたしたちのご先祖さまよ」
「ご先祖様の剣の技を見られてしあわせだね」
「もう、5人も倒した」
「わたしたちも、いくわよ」


 洞窟は広い。
 部屋は狭い。
 テンプルというよりも。
 飯場のような安普請だった。
 付近の建築現場で建材をくすねてきたようだ。
 吸血鬼がたおれると周囲の鉄板の壁が音をたてる。
 ロックもうるさい。ただの騒音だ。

 
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