田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

復讐はわたしの願い/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-01-15 09:48:56 | Weblog
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森の奥からヴァンパイアが悠然とでてきた。
それが、ごくあたりまえであるかのように――。
青緑の皮膚が変色する。

だれがみても人。
どうみても。
どこからみても人。

「なぜ、われらの生存権を侵す」
「なにいっている。アンタラが人を狩るからでしょう」
「人の生き血を吸う。人を殺す。許せない」

百子につづいてトキコが吸血鬼を叱責する。
こいつら、どこかいままでのVとはちがう。
どこかで、会ったことがある。
短い間にすっかり成長した。テツだった。
ミイマが人工の血液で飢えをしのぐことを勧めた。
テツだ。
やはり。
テツは進化系だった。まったく人と変わりがない。
変形はみについた。
だが……。

「おれたちは、地下街を追われた。いまはこの森に生きている。血を吸うことは……おれたちの宿命。吸血を止めれば、おれたちは死ぬ。だから……邪魔すれば殺す」

吸血鬼からの宣戦布告だった。
吸血行為に従う。
そう決めたテツのことばだった。

宵闇色の恐怖のなかから現われたV。
太古からこの森に住んでいたかのような存在感。
闇の住人。
闇そのもの。

「あなたの仲間が……ヒカリを殺した。春を待っていた。それなのに、桜の開花もみずに散って行ったヒカリ。あれほど東京の桜をみることを楽しみにしていたのに。恋人のできることにあこがれていたのに」
「許せない」トキコがまたつづける。
 
百子は悲しかった。
わたしのために、わたしが力不足だから、散っていった。
仲間たち。
を。
おもった。
わたしたちの明るい未来のために。
ただそれだけのために、戦い、散っていったダチ。
明るい未来のために。
ただその達成を信じて……。

百子はうれしかつた。
散っていったヒカリやルイ。
そしてGGのためにも。
戦える。
こと。
が。
うれしかった。
そしてここには森がある。
自然がある。
アスファルトやコンクリートの街ではない。
自然の中でこそ忍びの技がものをいう。
樹木がある。木トンの術。
枯れ葉がある。木の葉がくれ。
土トン。木から木にとぶ、ムササビのわざ。
古い忍法は自然に守られていた。

だが、Vは集団となって森からわいてでる。
またなんにんかのメンバーがVの牙に、鉤爪に敗れた。
血を吸われた。
さいごの肉片まで。
咀嚼されている。
食われている。
ヤッラの胃袋に吸収された。


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