23
こんな惨めな戦い。
早くおわりにしたい。
森は広すぎる。
柵の向こう側。となりにの自然教育園の森がつづいている。
都内でも有数な樹木の密生する森を形成している。
クノイチ48。その半数しかまだ集合していない。
広すぎる森でみんなばらばら。
分断された。
父の指令に従えばよかった。
仕掛けるのを、まてばよかった。
わたし、あせりすぎた。
そのために、警官もふたりとも殺された。
百子は孤立していた。
血をながしていた。細かい引っかき傷がある。
百子だからこの程度ですんでいる。
ピピっと耳もとで音がた。
ヘッドホーンをつけたまま戦っていた。
「百子。いまいくね」
「翔子なの?」
「純もきてる。美香&香世も、アンデイもきたからね」
バサッと大きな羽音がした。
また新手のvampireだ。
早く来て。翔子。わたしもたないかも……。
「そんな心配いらない。わたしアンデイ。みんなほらあそこまできている」
襲ってきたBVを片手ではねとばす。すごいパワーだ。
この男が、ミイマのようにWVのアンデイ。
みんなが、わたしのために集まってくれた。
友だちが、クノイチ48をサポートするために駆けつけてくれた。
たすかった。これでなんとか戦える。
「百子、わたしが代わる」
「ありがとう。翔子」
そして、純。翔子の彼、純も戦線に復帰した。
「よかった。よかったね。翔子」
「みんな呼びもどした方がいいよ。百子」
と、美香&香世。
「はやくここに集まるように忍者笛をふいたほうがいいよ」
犬笛みたいな笛。忍びの者だけに聞こえる竹笛。
でも森の各所からもどってきたのは傷だらけの数人。あとは?
……。
「まだ戦っている。相手から離れられないにちがいない」
百子は不安だった。
ばっと、隣の教育園の森で焔がみえた。
異能部隊の火炎放射器だ。
よかった。父も到着した。あっちのほうにまで、吸血鬼がいたのだ。
百子は休む暇もなく、さらに森の奥に走りこんだ。
笛をふきつづけた。
「ダイジョウブ。まだ5人たたかっている。こっちよ」
美香&香世のテレパシー能力。スゴイ。すばらしい味方だ。
美香が長身を利してずんずん森の奥に走りこむ。
アンデイが恋人のようによりそっている。
美香が小太刀を抜いた。
わたしおもうように走れない。
こんなに疲れているとは。きづかなかった。
みんなの駆けつけるのが、いま少しおそかったら……。
わたしヤバかったかも。
テツとトオルが襲ってきた。圧倒的な数の吸血鬼。
トキコがいた。森の奥へ誘いこまれていた。よかった。まにあった。
「リーダー。百子。みんないま駆けつけてくるから」
えっ。なにいってるの。
わたしたち、トキコを助けるために森の奥に駈けこんできた!!
あたりには翔子たちはいない。
トキコと、ふたりだけだった。
森の外で戦っている。
一瞬幻覚をみた。
これから数分後に起きることを先取りしてイメージとして捉えた。
ふたりだけで、なんとかもちこたえなければ。
百子は生まれて初めてみたイメージに戦慄した。
ヘッドホーンが音を立てた。
「百子。いま行くね」
翔子だった。
「あっ!! みんな、きてくれた」
トキコが叫んでいる。
トオルが森に引きかえしていく。
退散する。逃げていく。
あきらめの早いヤツ。
よかった。こんどこそ、リアルだ。
わたしたち、命をかけて戦っている。
どうして? だれのために?
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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森は広すぎる。
柵の向こう側。となりにの自然教育園の森がつづいている。
都内でも有数な樹木の密生する森を形成している。
クノイチ48。その半数しかまだ集合していない。
広すぎる森でみんなばらばら。
分断された。
父の指令に従えばよかった。
仕掛けるのを、まてばよかった。
わたし、あせりすぎた。
そのために、警官もふたりとも殺された。
百子は孤立していた。
血をながしていた。細かい引っかき傷がある。
百子だからこの程度ですんでいる。
ピピっと耳もとで音がた。
ヘッドホーンをつけたまま戦っていた。
「百子。いまいくね」
「翔子なの?」
「純もきてる。美香&香世も、アンデイもきたからね」
バサッと大きな羽音がした。
また新手のvampireだ。
早く来て。翔子。わたしもたないかも……。
「そんな心配いらない。わたしアンデイ。みんなほらあそこまできている」
襲ってきたBVを片手ではねとばす。すごいパワーだ。
この男が、ミイマのようにWVのアンデイ。
みんなが、わたしのために集まってくれた。
友だちが、クノイチ48をサポートするために駆けつけてくれた。
たすかった。これでなんとか戦える。
「百子、わたしが代わる」
「ありがとう。翔子」
そして、純。翔子の彼、純も戦線に復帰した。
「よかった。よかったね。翔子」
「みんな呼びもどした方がいいよ。百子」
と、美香&香世。
「はやくここに集まるように忍者笛をふいたほうがいいよ」
犬笛みたいな笛。忍びの者だけに聞こえる竹笛。
でも森の各所からもどってきたのは傷だらけの数人。あとは?
……。
「まだ戦っている。相手から離れられないにちがいない」
百子は不安だった。
ばっと、隣の教育園の森で焔がみえた。
異能部隊の火炎放射器だ。
よかった。父も到着した。あっちのほうにまで、吸血鬼がいたのだ。
百子は休む暇もなく、さらに森の奥に走りこんだ。
笛をふきつづけた。
「ダイジョウブ。まだ5人たたかっている。こっちよ」
美香&香世のテレパシー能力。スゴイ。すばらしい味方だ。
美香が長身を利してずんずん森の奥に走りこむ。
アンデイが恋人のようによりそっている。
美香が小太刀を抜いた。
わたしおもうように走れない。
こんなに疲れているとは。きづかなかった。
みんなの駆けつけるのが、いま少しおそかったら……。
わたしヤバかったかも。
テツとトオルが襲ってきた。圧倒的な数の吸血鬼。
トキコがいた。森の奥へ誘いこまれていた。よかった。まにあった。
「リーダー。百子。みんないま駆けつけてくるから」
えっ。なにいってるの。
わたしたち、トキコを助けるために森の奥に駈けこんできた!!
あたりには翔子たちはいない。
トキコと、ふたりだけだった。
森の外で戦っている。
一瞬幻覚をみた。
これから数分後に起きることを先取りしてイメージとして捉えた。
ふたりだけで、なんとかもちこたえなければ。
百子は生まれて初めてみたイメージに戦慄した。
ヘッドホーンが音を立てた。
「百子。いま行くね」
翔子だった。
「あっ!! みんな、きてくれた」
トキコが叫んでいる。
トオルが森に引きかえしていく。
退散する。逃げていく。
あきらめの早いヤツ。
よかった。こんどこそ、リアルだ。
わたしたち、命をかけて戦っている。
どうして? だれのために?
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