田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

なぜ、わたし命をかけるの?/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-01-16 15:28:32 | Weblog
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こんな惨めな戦い。
早くおわりにしたい。
森は広すぎる。
柵の向こう側。となりにの自然教育園の森がつづいている。
都内でも有数な樹木の密生する森を形成している。
クノイチ48。その半数しかまだ集合していない。
広すぎる森でみんなばらばら。
分断された。
父の指令に従えばよかった。
仕掛けるのを、まてばよかった。
わたし、あせりすぎた。
そのために、警官もふたりとも殺された。
百子は孤立していた。
血をながしていた。細かい引っかき傷がある。
百子だからこの程度ですんでいる。

ピピっと耳もとで音がた。
ヘッドホーンをつけたまま戦っていた。

「百子。いまいくね」
「翔子なの?」
「純もきてる。美香&香世も、アンデイもきたからね」

バサッと大きな羽音がした。
また新手のvampireだ。
早く来て。翔子。わたしもたないかも……。

「そんな心配いらない。わたしアンデイ。みんなほらあそこまできている」

襲ってきたBVを片手ではねとばす。すごいパワーだ。
この男が、ミイマのようにWVのアンデイ。
みんなが、わたしのために集まってくれた。
友だちが、クノイチ48をサポートするために駆けつけてくれた。
たすかった。これでなんとか戦える。

「百子、わたしが代わる」
「ありがとう。翔子」

そして、純。翔子の彼、純も戦線に復帰した。

「よかった。よかったね。翔子」
「みんな呼びもどした方がいいよ。百子」

と、美香&香世。

「はやくここに集まるように忍者笛をふいたほうがいいよ」

犬笛みたいな笛。忍びの者だけに聞こえる竹笛。
でも森の各所からもどってきたのは傷だらけの数人。あとは?
……。

「まだ戦っている。相手から離れられないにちがいない」

百子は不安だった。
ばっと、隣の教育園の森で焔がみえた。
異能部隊の火炎放射器だ。
よかった。父も到着した。あっちのほうにまで、吸血鬼がいたのだ。
百子は休む暇もなく、さらに森の奥に走りこんだ。

笛をふきつづけた。

「ダイジョウブ。まだ5人たたかっている。こっちよ」

美香&香世のテレパシー能力。スゴイ。すばらしい味方だ。
美香が長身を利してずんずん森の奥に走りこむ。
アンデイが恋人のようによりそっている。
美香が小太刀を抜いた。
わたしおもうように走れない。
こんなに疲れているとは。きづかなかった。
みんなの駆けつけるのが、いま少しおそかったら……。
わたしヤバかったかも。

テツとトオルが襲ってきた。圧倒的な数の吸血鬼。
トキコがいた。森の奥へ誘いこまれていた。よかった。まにあった。

「リーダー。百子。みんないま駆けつけてくるから」

えっ。なにいってるの。
わたしたち、トキコを助けるために森の奥に駈けこんできた!!
あたりには翔子たちはいない。
トキコと、ふたりだけだった。
森の外で戦っている。
一瞬幻覚をみた。
これから数分後に起きることを先取りしてイメージとして捉えた。

ふたりだけで、なんとかもちこたえなければ。
百子は生まれて初めてみたイメージに戦慄した。
ヘッドホーンが音を立てた。

「百子。いま行くね」

翔子だった。

「あっ!! みんな、きてくれた」

トキコが叫んでいる。
トオルが森に引きかえしていく。
退散する。逃げていく。
あきらめの早いヤツ。
よかった。こんどこそ、リアルだ。
わたしたち、命をかけて戦っている。
どうして? だれのために?


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マニアル人間がおおすぎる/麻屋与志夫

2011-01-16 07:14:39 | Weblog
プログです。 
 
●日曜日の朝。この地方としては、初雪。静かだ。

●朝薄暗いうちに起きた。玄関をでて、雪の庭を楽しんだ。寒いのでバラの鉢は屋内にこんである。狭い庭が広く感じられる。大谷石の塀の上には5センチくらい雪が積もっていた。

●庭石の雪が融けだしていた。雪の下で庭石の色が濡れたためにきわだち、白と薄墨色の石の対比が面白い。

●自然はいいな。昔と少しも変わらない。雪は雪だ。石はあいかわらず寡黙なままの石である。


        

        

      まだ残っていた烏瓜の上に綿帽子をかぶせてくれた雪
        


●ところが人の世は変転極まりない。

●ある大型店でのことだった。ドラッグストアー。薬屋。とか、薬局とはいわないのですね。閉店の9時を少しすぎていた。お母さん風の、子育て中という雰囲気の女性が駈けこんできた。まだ店にはシャッターは下ろされていなかった。

●「子どもが風邪をひいたのです。お薬を……」
みなまで言わせず「閉店でレジをしめたから、ダメです」と店員が返事した。
「だって、病院はどこもやっていない。いつもの風邪だから、いつものクスリを飲ませれば……」「だめです。明日来てください」「そんな……」見守るわたしたちのまえには、広い店内に整然と薬がならんでいる。きらびやかに飾られている。

●わたしは、呆然としてしまった。マニアル通りの受け答えしか出来ない。そこには、もう人間らしい感情はない。クスリ棚が一瞬真っ暗になった。

●母親は泣きだしていた。わたしは知り合いの街の薬局を携帯でよびだした。まだこの街になれていないらしい女性に地図を描いてあげた。

●その小さな街の薬屋さんも、いまは大型店に圧されてやめてしまった。

●雪景色を見ながら、あのときの母親の涙を思い出した。

●人の世はうつりかわる。だが、マニアル通りの行動しか出来ない。マニアルで暗記した言葉しかはなせない。まったく人情に疎い。そんな人間ばかりになったら、恐怖ですよね。

●寒くなった。部屋にもどって、このブログを書きだした。

●カミサンはまだ起きださない。ひさしぶりに何の予定もない日曜日。ゆっくりと朝寝を楽しませてあげよう。

●起きたら二人で千手山公園に雪見に行こう。


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