田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

花を一本供えてくれればそれでいい/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-01-13 13:03:53 | Weblog
20

美香と赤毛のVは戦っていた。
香世のはったシールド。
狭い範囲内での戦い。
美香は自由に動ける。
Vのセーバが、美香の指剣がなんども交差する。
そのつど、ド派手な音がなりひびく。

玲加はふいに気づいた。
指令室に誰もいない。
あわててもどった。
赤ランプがついている。
Vの出現したしらせだ。
ヒカリからだ。
あわてて、ヒカリにれんらくする。
応答はない。
どうしょう。
助けを求めてきたに違いない。
それなのにわたしはモニターの前を離れていた。
どうしょう。
ミイマを呼びもどした。

美香の戦いはまだつづいている。
赤毛のVが、美香の指剣の放つ紫色の光に翻弄されている。

「ミイマゴメンナサイ。百子ゴメン。わたしが持ち場離れたから」
「目黒ね。いまからかけつける」

百子が悲痛な叫びをあげる。
ミイマが百子に眼顔でしらせる。
百子はミイマの視線の先のモニターテレビを見た。
意識した。
するとテレビの声がきこえてきた。

「さきほど、目黒の路上で暴漢に襲われたと110番通報がありました。警察で駆けつけるとジョギングシューズの片方が路上におちていただけでした。女子高生を救ってくれたジョギングをしていた少女も暴漢の姿もありませんでした」

「きれいに吸収されたか、拉致されたのね」

とミイマ。
残酷だ。
ひどいことばだ。
百子には。
だがあえて、ミイマは気をつかわなかった。

「みんな、伊賀で3歳のときから血のでるような修業をした。それがあまり通じない敵がいた。しかたない。あいては人間じゃない。敵はヴァンパイアなのだ。人間ではないモノにはわたしたちの技は無効なの? ミイマ。教えて」

百子の声は悔しさにふるえている。

「このままでは、クノイチはいずれ、全滅してしまう」
「ともかくリーダー、現場に行ってみます」
「いいわ、トキコ。わたしもいく」

そのとき、テレビに緊急ニーュスが入った。

「目黒の街角公園のベンチで爆発がありました」
 
ヒカリが自爆した。
いつも冗談みたいにいっていた。
プレスに、爆発物をひそませている。
助からなかったら、自爆する。
そこが、わたしが討ち死にした場所。
花を一本供えてくれれば、それでいい。
Vをうちがわから破壊する。
肉片のきれぎれにする。
再生できない。
それをヒカルがやった。
Vを消去する方法を示してくれた。
伊賀の忍びが命がけでみせた技だ。
いかにも、クノイチらしい捨て身の技だ。
命をすてれば道が通じる。
身をすててこそ……。
   
でも、百子は悲しんだ。
バイクで目黒に急いでいた。
ヒカリの骨もひろえないの。
死んだら骨を拾ってやる。
クノイチの団結の誓いなのに。
仲間の骨も拾えないの。
跡形もなく、消えてしまう――


 今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村