Part2 超能力wars
1
東京にめずらしく雪が降った。
上野公園にも5センチほどの積雪があった。
アツシがリャカーを引いている。
美香&香世。神妙な顔で雪景色を眺めている。
毎日みなれている公園だ。
それがまったくちがったようにみえる。
雪。
が降ったからか。
雪。雪。が広い大地を純白にうめつくしているからか。
雪。雪。雪。雪。が、樹木に白い花を咲かせているからか。
ゆきゆきゆきゆきゆきゆきゆきゆき。
雪。雪。雪。雪。雪。雪。雪。雪。
ユキユキユキユキユキユキユキユキ。
ホームレスのおじさんたち。
どこにいったの?
姉妹の心情はそこにあった。
闇法師のおじさんとの別れがあった。
いずれ会えると、法師のおじさんは言っていた。
あれから歴史のほんを読んだ。
歴女といわれても恥ずかしくない。
沢山読んだ。
それで上野の彰義隊のことがわかった。
官軍がきらいになった。明治維新てなんだったの。
あれから戦争ばかりつづいた。
坂本竜馬がきらいになった。
新撰組。
大好き。
考えてみる。
但馬家のルーツは幕臣だ。
そのためかな。
そのためかな?
美香がつぶやく。
香世がつぶやく。
ふたりはおなじことを考えていた。
『竜馬』をみなかった祖父の気持ちがチョッピリわかった。
みんなどこなの。
みんなどこなの。
リャカーに積まれた発泡スチロールの容器から。
天ぷらそばのいいにおいが積雪で人のいない公園にひろがっていく。
ポッリポッリと人影がわいた。
トイレから。
樹木の下に移動させたブルーの小さなテントから。
毛布をまきつけ。
プチプチシートをまきつけ。
ビニールのゴミ袋をまきつけ。
レジ袋を広げてつなぎあわせて。
まきつけていた。
「さあ、あたたかな天ぷらそばよ」
「さめないうちに召し上がってくださいチュ」
香世が劇画のセリフのノリで声をかけている。
ふたりとも照れているのだ。
「法師のオジサンみかけたひといないかな」
くびをよこにふった。
だれもしらないらしい。
「まだありますよ」
アツシが感激している。
泣き声で勧めている。
「まだ、ありますよ」
「容器ごともちかえってもいいかな」
「どうぞ。どうぞ」
容器ごと……。
美香&香世がどうじに顔をあげた。
妖気がただよってきた。
容器ということばを耳にするまで――。
まったく、気づかなかった。
少年たちだ。
手に手に鉄パイプをさげている。
まさかのまさかだ。
この白昼、いくら目撃者がいないからといって。
ホームレス狩をする気!!
「あいつらの雰囲気。そっくりだ。ぼくを襲ったヤツと」
「兆子さんに助けられたときの?」
アツシがウナヅク。
「どうせ、生きていてもなんの役にもたたない。クズだ。死んでみたら」
少年たちのホームレス狩だ。
このまま放っておけば、何人か哀れな男たちが殺される。
「オジサンたち、逃げて」
「なぜ、オジョウサンたち、おれたちの味方する」
「法師のダチなのよ。いなくなった法師を探しているの」
「なにうじうじいってる」
パイプがふりおろされた。少年は固まった。
ナイフで突きかかってきた。少年は凍った。
そしてホームレスのひとりが牙をむいた。少年はフリーズ。
牙をむいた男も凍結した。
「人の血なんかすうと、ソバの味がわからなくなるわよ」
美香は男があの夜たたかった吸血鬼のひとりと視認した。
「オネエ。新しい念力がみについたわね」
「みなさん、いまのうちにこの場をはなれてください」
この少年たちをわたしは消すことはできない。美香は悩んだ。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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東京にめずらしく雪が降った。
上野公園にも5センチほどの積雪があった。
アツシがリャカーを引いている。
美香&香世。神妙な顔で雪景色を眺めている。
毎日みなれている公園だ。
それがまったくちがったようにみえる。
雪。
が降ったからか。
雪。雪。が広い大地を純白にうめつくしているからか。
雪。雪。雪。雪。が、樹木に白い花を咲かせているからか。
ゆきゆきゆきゆきゆきゆきゆきゆき。
雪。雪。雪。雪。雪。雪。雪。雪。
ユキユキユキユキユキユキユキユキ。
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どこにいったの?
姉妹の心情はそこにあった。
闇法師のおじさんとの別れがあった。
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あれから歴史のほんを読んだ。
歴女といわれても恥ずかしくない。
沢山読んだ。
それで上野の彰義隊のことがわかった。
官軍がきらいになった。明治維新てなんだったの。
あれから戦争ばかりつづいた。
坂本竜馬がきらいになった。
新撰組。
大好き。
考えてみる。
但馬家のルーツは幕臣だ。
そのためかな。
そのためかな?
美香がつぶやく。
香世がつぶやく。
ふたりはおなじことを考えていた。
『竜馬』をみなかった祖父の気持ちがチョッピリわかった。
みんなどこなの。
みんなどこなの。
リャカーに積まれた発泡スチロールの容器から。
天ぷらそばのいいにおいが積雪で人のいない公園にひろがっていく。
ポッリポッリと人影がわいた。
トイレから。
樹木の下に移動させたブルーの小さなテントから。
毛布をまきつけ。
プチプチシートをまきつけ。
ビニールのゴミ袋をまきつけ。
レジ袋を広げてつなぎあわせて。
まきつけていた。
「さあ、あたたかな天ぷらそばよ」
「さめないうちに召し上がってくださいチュ」
香世が劇画のセリフのノリで声をかけている。
ふたりとも照れているのだ。
「法師のオジサンみかけたひといないかな」
くびをよこにふった。
だれもしらないらしい。
「まだありますよ」
アツシが感激している。
泣き声で勧めている。
「まだ、ありますよ」
「容器ごともちかえってもいいかな」
「どうぞ。どうぞ」
容器ごと……。
美香&香世がどうじに顔をあげた。
妖気がただよってきた。
容器ということばを耳にするまで――。
まったく、気づかなかった。
少年たちだ。
手に手に鉄パイプをさげている。
まさかのまさかだ。
この白昼、いくら目撃者がいないからといって。
ホームレス狩をする気!!
「あいつらの雰囲気。そっくりだ。ぼくを襲ったヤツと」
「兆子さんに助けられたときの?」
アツシがウナヅク。
「どうせ、生きていてもなんの役にもたたない。クズだ。死んでみたら」
少年たちのホームレス狩だ。
このまま放っておけば、何人か哀れな男たちが殺される。
「オジサンたち、逃げて」
「なぜ、オジョウサンたち、おれたちの味方する」
「法師のダチなのよ。いなくなった法師を探しているの」
「なにうじうじいってる」
パイプがふりおろされた。少年は固まった。
ナイフで突きかかってきた。少年は凍った。
そしてホームレスのひとりが牙をむいた。少年はフリーズ。
牙をむいた男も凍結した。
「人の血なんかすうと、ソバの味がわからなくなるわよ」
美香は男があの夜たたかった吸血鬼のひとりと視認した。
「オネエ。新しい念力がみについたわね」
「みなさん、いまのうちにこの場をはなれてください」
この少年たちをわたしは消すことはできない。美香は悩んだ。
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