田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

どうして魔王が現れたの?/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-01-17 06:55:13 | Weblog
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笛をきいて森から帰還してくる。
クノイチ48のメンバーがぞくぞく走ってくる。
足もとがふらついている。
上半身を前に倒している。
息も絶えだえの――疲労。
生命のせとぎわでの戦い。
を、くりひろげていた。
もっとはやく笛をふけばよかった。
彼女たちを追撃してきた吸血鬼には。
翔子、純、美香&香世、アンデイが向かう。
迎撃する。
吸血鬼のあとから異能部隊があらわれた。
吸血鬼のむれは森を抜けた広場で挟みうちとなった。

挟撃したかにおもわれた。
百子はそうみた。
だが!!

つぶやいている。
つぶやいている。
香世が。

「くるわ。くるわ」

美香が。
動きを止めて。

「来る。くる。クル」
「みんな。引いたほうがいい」

ふたりで、どうじに叫ぶ。
翔子と純。

もちろん。
濃い霧のようなもの迫るのを。
感じている美香&香世。
そしてアンデイも退却した。
勝っているのに。
敵を圧倒しているのに。
もどってきた。

「どうしたの? 香世ちゃん」
「直ぐそこまできている。黒い。黒い。嘔吐したもののかたまりみたいな」
「そう。嘔吐物みたいな、気持ち悪い存在よ」
と、美香がつづける。
そして、それが現われた。

森の木々を揺らし。
森の端の芝生を盛り上げ。
巨大なモグラのようなものがせまってくる。
異能部隊が火炎放射器を浴びせた。
なげとばされた。
なんにんかが放射器をもったまま中空になげとばされた。
ものすごい風圧だ。

バサッと虚空で羽根の音。
新手の敵だ。
百子はそうさとった。
そのものは、芝生を盛り上げてすすむものに。
バラの杖を突きたてた。
ミイマがバサッと純白に羽ばたいた。
真っ白な雪のような羽がまぶしい。
薄暮のなかで輝いている。
大地におりたった。

「敵は――」
「ご存じ、サタンだよ」

GGに、飲み屋でからんでいた。
頭の禿げあがった小男だ。

「姿た形で判断しないで。甘く見ないで。形が在ってない者。形が見えなくてもあるモノ」
「ルシファーともよばれている」
「わたしたちが、天国を追われ、堕天使になったのも、こいつのためよ」
「そして、おまえの亭主をゴールデン街で誘惑したもの。契約は成り立たなかったがな。どうだ美魔。いまからでも、おれと組まんか。GGを黄泉の国から連れもどすこともこのサタン様ならできるぞ」
「オイシイ申し出でだこと。でも断る。人は死ぬから、人なの。いちど滅んだのを呼びもどすのは罪よ」
「罪ときましたね。神への忠誠か」
 
拍手をしている。
あいかわらず狡そうな小男だ。
ドンと体に似合わないおおきな足踏みをした。
サタンが盛り上げた大地から巨大な蛇が現われた。
鎌首をみちあげた。赤い舌。チョロチョロ。
周囲には無数の蛇の大群。

「香世。バリアをはって。できればネットヘンス」
「お安いご用」

美香&香世。
どうじに応答した。
いままでとちがう。ヴジブルなヘンス。シ―ドルだ。

ミイマがバラの杖を大地に刺した。
「ツルバラの精よ。わたしたちを守っておくれ」
みるまにヘンスがツルバラで防護された。


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