21
百子のレシーバに。
「いるわ。いるわ。ヴァンパイアが群れている」
「香世の声とどいている? 百子いまどのへんはしっているの」
こんどは美香の声だ。
よかった、赤毛のアメリカから来たVを倒したのだ。
「アイツとは引き分け。逃げられた。それより目黒の庭園美術館らしい風景。そこに吸血鬼がいる。香世のイメージに現われたの」
靴は警察で証拠品として押収したのだろう。
ヒカルの血らしい跡がのこっているだけだった。
ジョギングをしていた。
おそらく徒手空拳。
せめてなにか武器をもたせてやりたかった。
一矢報いたかったろう。
かわいそうなヒカル。
でも立派な最期。
相討ちだ。
街角公園のベンチはすぐわかった。
まだ人だかりがしていた。
百子たちはミイマの育てているバラの鉢から。
まだ咲いていたアイスバークを切り花してきた。
「ヒカル。初恋の花、アイスバークだよ。まだボーイフレンドもいなかった。厳しい修行にたえて、やっとクノイチ48の一員として上京できた。参加してくれたのに、ざんねんだよ。向こうでルイたち、散っていった仲間となかよく見守っていてよ。敵は、Vは、必ず倒してやるから……」
トキコたちもバラをベンチに供えている。
悲し過ぎて泣くにも泣けない。
悔し過ぎてこえもでない。
声なき声でおなじ想いをヒカルに伝えた。
さようなら。
ヒカル。
庭園美術館。
「入館はいましめきったところです。5:30分までです」
時間厳守なのだろう。受付のおばさんにガンとはねつけられた。
出口からはぞろぞろとひとびとが街にちっていく。
百子は仕方なく自衛隊の父に携帯した。
「こちらからも連絡入れようとしていたところだ。テレパスの隊員が二か所に反応した。一か所はGG刀エクササイズ。T能力を発信していたタジマ姉妹のことをいま確認したところだ。最高のサポーターだな。いや、百子のパートナーだ。そしてもうひとつがそこだ」
受付のおばさんは、自衛隊異能部隊長となのってもだめ。
ぜんぜん受け付けない。
「目黒署にれんらくする」
パトカーは直ぐにきた。
付近を巡行していたのだろう。
ぶっそうな事件があった後だ。
ようやく許可された。
警官と共にはいった庭園。
美術館へと通じる道。
庭園を照らすライトの光の中に大きなマントをひるがえしてVが現われた。
それもかなりの数だ。
百子たちだからこそ、かれらをVの群れと視認できた。
警官には閉園まじかなので出口へいそいでいるひとびとにしかみえていない。
Vの群れはこれから宵闇にまぎれて狩をする時間のだろう。
トワイライト。
人影が百子たちを取り囲んだ。
「なんだきさまら」警官が叫んだ。
陽光はなく、人工の明かりが、ともった。
庭園灯。庭をてらす灯りだった。
青緑の皮膚をした、樹木との保護色。
これがみえない。警官にはふつうの市民としてしか映らない。
首が飛んだ。
すいかした警官の首だ。
庭園はVに夜は占拠されていた。
それをしらずに警官は侵入したことになる。
ふたりのパトカーでかけつけてくれた警官。
またたくまに殺された。
百子の小太刀で斬り裂かれたV。
みるみる復元する。
回復力がビミョウにはやい。
「こいつら強いよ。ヒカルの敵だからね。こころして戦って」
百子の気合いがとぶ。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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「いるわ。いるわ。ヴァンパイアが群れている」
「香世の声とどいている? 百子いまどのへんはしっているの」
こんどは美香の声だ。
よかった、赤毛のアメリカから来たVを倒したのだ。
「アイツとは引き分け。逃げられた。それより目黒の庭園美術館らしい風景。そこに吸血鬼がいる。香世のイメージに現われたの」
靴は警察で証拠品として押収したのだろう。
ヒカルの血らしい跡がのこっているだけだった。
ジョギングをしていた。
おそらく徒手空拳。
せめてなにか武器をもたせてやりたかった。
一矢報いたかったろう。
かわいそうなヒカル。
でも立派な最期。
相討ちだ。
街角公園のベンチはすぐわかった。
まだ人だかりがしていた。
百子たちはミイマの育てているバラの鉢から。
まだ咲いていたアイスバークを切り花してきた。
「ヒカル。初恋の花、アイスバークだよ。まだボーイフレンドもいなかった。厳しい修行にたえて、やっとクノイチ48の一員として上京できた。参加してくれたのに、ざんねんだよ。向こうでルイたち、散っていった仲間となかよく見守っていてよ。敵は、Vは、必ず倒してやるから……」
トキコたちもバラをベンチに供えている。
悲し過ぎて泣くにも泣けない。
悔し過ぎてこえもでない。
声なき声でおなじ想いをヒカルに伝えた。
さようなら。
ヒカル。
庭園美術館。
「入館はいましめきったところです。5:30分までです」
時間厳守なのだろう。受付のおばさんにガンとはねつけられた。
出口からはぞろぞろとひとびとが街にちっていく。
百子は仕方なく自衛隊の父に携帯した。
「こちらからも連絡入れようとしていたところだ。テレパスの隊員が二か所に反応した。一か所はGG刀エクササイズ。T能力を発信していたタジマ姉妹のことをいま確認したところだ。最高のサポーターだな。いや、百子のパートナーだ。そしてもうひとつがそこだ」
受付のおばさんは、自衛隊異能部隊長となのってもだめ。
ぜんぜん受け付けない。
「目黒署にれんらくする」
パトカーは直ぐにきた。
付近を巡行していたのだろう。
ぶっそうな事件があった後だ。
ようやく許可された。
警官と共にはいった庭園。
美術館へと通じる道。
庭園を照らすライトの光の中に大きなマントをひるがえしてVが現われた。
それもかなりの数だ。
百子たちだからこそ、かれらをVの群れと視認できた。
警官には閉園まじかなので出口へいそいでいるひとびとにしかみえていない。
Vの群れはこれから宵闇にまぎれて狩をする時間のだろう。
トワイライト。
人影が百子たちを取り囲んだ。
「なんだきさまら」警官が叫んだ。
陽光はなく、人工の明かりが、ともった。
庭園灯。庭をてらす灯りだった。
青緑の皮膚をした、樹木との保護色。
これがみえない。警官にはふつうの市民としてしか映らない。
首が飛んだ。
すいかした警官の首だ。
庭園はVに夜は占拠されていた。
それをしらずに警官は侵入したことになる。
ふたりのパトカーでかけつけてくれた警官。
またたくまに殺された。
百子の小太刀で斬り裂かれたV。
みるみる復元する。
回復力がビミョウにはやい。
「こいつら強いよ。ヒカルの敵だからね。こころして戦って」
百子の気合いがとぶ。
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